第九話:現実の衝撃
地元新聞を一部、コンビニで買った。
『お悔やみ欄』を見る為だ。沖縄では亡くなった親族を、知らせる枠がある。それなら、13年忌もあるはずだと考えた。
『忌明け』と小さく見出しがあり、四十九日の法事があった。
(えっ、これって、まさか!)
『大城・K・敬子』
Kのイニシャルを目にしたとき、頭の中に衝撃が走った。
忘れもしない、学生時代の彼女だった。名前に続く年齢から、間違いないと感じた。左下に喪主と書かれ、夫、『大城亮蔵』とある。イニシャル、R.O。あの悪友の『ゴリー』だ。
(死んだって、まさか……)
インベーダーゲームの自慢話を話しながら、彼女の身の上を聞いたことがある。
彼女の父親は米軍基地で技術者として働いていた。母親はそこでの軍雇用員だ。結婚後、父親はしばらく那覇の近くの居住地に住んでいたが、グアムへ異動となった。落ち着く暇もなく、半年後にはサンディエゴに移った。結局は一、二年後に母子だけが戻ってきた。通う小学校について喧嘩をしたのだと。
T町に実家を持つ祖父が敬子を可愛がり、手放したくなかったとも聞いた。地元の小学校へと通い、そこの駄菓子屋(一銭町屋)の看板娘にもなった。
慎吾は敬子の実家、その店があった場所へと足を運んだ。彼女の死の事実を、身をもって確認したかったから。