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真・摂政戦記 0019話 不足

【筆者からの一言】


摂政の狙いが明らかに? 今回はそんなお話。


第一話の前書きで言っていた「人の革新はあり得るのか? 今回の小説はそんなお話」の真意が明らかに?

 1941年12月中旬 『日本 東京 閑院宮邸』


 足りぬ。

 まだまだ足りぬ。


 その日の夜、摂政は書斎で椅子に座り卓上に灯る蝋燭の灯りを見ながら胸のうちでそう呟いていた。

 

 アメリカでの死者は推計で1000万人を超え、更にその数は増すと予想されている。

 死の灰もアメリカ東部から中西部にかけて広い範囲で降りかかるだろうから、その影響で死ぬ者も大勢出る筈だ。

 数千万人が死んでもおかしくはない。

 

 連邦政府を失い、主要工業地帯を失い、これからあらゆる物資が不足するであろうアメリカ本土では大勢の人々が食料や医薬品、生活必需品を求めて争う事も予想される。

 略奪や暴動が頻発する事になるだろう。それでまた大量の血が流れる。


 だが、それでも死者が足りない。そう摂政は考える。


 史実の第二次世界大戦では世界で8000万人が死んだ。

 今回の歴史ではそれを超える死者を出さなければならない。


 でなければ人の進化の可能性を探る事はできない。


 超神秘的人類生物学の分野において、人類霊的進化論とも言うべき説が存在する。


 人はどうやって猿から進化してきたのか……


 猿からアウストラロピテクスのような猿人へ。

 猿人からホモ・ハビリスのような原人へ。

 原人からネアンデルタール人のような旧人類へ。

 旧人類からホモ・サピエンスのような新人類へ。


 何故、人と言う種は進化を成し遂げて来たのか。


 中にはネアンデルタール人などの旧人類以前の存在は、この地球原生の生命体であるが、ホモ・サピエンスは他の星から来た異星人の子孫などと唱える者もいる。


 しかし、超神秘的人類生物学の一説には、種の存続に危機がおとずれる程の大量死が発生した時、種としての集合的無意識が霊的進化を起こさせ危機を乗り超えさせたと論ずる人類霊的進化論とも言うべき説がある。

 

 火山の噴火や気候変動、巨大隕石の落下、古代の地球で起きた、そうした様々な天変地異により発生した生命の大量死が、人類をここまで進化させたのだと……


 猿から猿人へ、猿人から原人へ、原人から旧人類へ、旧人類から新人類に進化した時、そこには種の大量死が原因としてあったのだと……


 史実において、この説を実践しようとした男がいたと言われる。


 その男の名はアドルフ・ヒットラー。


 何故、彼がただひたすらに戦争への道を進み続けたのか。何故ユダヤ人を大量虐殺したのか。

 何故、世界史に名を残すような大量殺戮者になったのか。

 彼は人類を進化させようとしていたからだと言う。

 かつてヒットラーの側近だった人物がそうした話しを証言したと言われている。

 表の歴史には出てこない裏の歴史での話しだ。

 

 一つ言える事は史実の第二次世界大戦において人類は進化しなかった。


 摂政はこの度の戦争において、それを試してみるつもりだった。

 戦争に勝利すると共に大量殺戮を行い、人類に霊的進化を起こさせる。


 その為には、まだまだ人の死が必要だった。

 第二次世界大戦では8000万人が死んでも人類は進化しなかった。

 もっと犠牲がいる。


 その為のアメリカ本土における「ウラン爆弾(原子爆弾)」による無差別大量虐殺だった。


 本当に人類の霊的進化が可能かどうかはわからない。

 実は摂政も半信半疑どころか殆ど信じていない。

 だが、事実は小説よりも奇なりとも言う。万が一という事もある。

 だから敢えて今回の歴史では実行した。


 アメリカに勝利するついでに試してみた……その程度の考えからである。


 そう日本が戦争に勝つついでの無差別大量殺戮だったのだ。

 それ故の核の嵐だった。


 摂政の行いは正に悪魔の所業であった。

 

 【to be continued】

【筆者からの一言】


人類の霊的進化……そんな馬鹿げた事を言っているのは、この「真・摂政戦記」の摂政のみです。

他の「総長戦記」の総長や「摂政戦記」「摂政戦記R」の摂政はそんな事は考えていません。


「本当に進化は無いと言えるのかね?」


えっ誰?

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