真・摂政戦記 0015話 出発
【筆者からの一言】
どっかの傭兵部隊と自〇〇のやり方が混ざっているのはきっと気のせい。
1941年中旬 『アメリカ西海岸』
アメリカ西海岸、カリフォルニア州の港町ユリーカ。
開戦と同時に日本軍に占領された港町である。
その町の広場に今、日本軍「桜華丁班」に所属する一部隊が集合していた。
兵士達が不動の姿勢で整列してる。
その後ろには100台を超えるバイクと数十台の自動車が並んでいた。
バイクの8割はサイドカーであり軽機関銃を装備している。
車は改装され重機関銃が取り付けられていた。
これらのバイクと車両はアメリカ本土にある閑見商会のダミー会社が調達したものである。
日本陸軍にも軍用バイクはあるし軍用自動車もある。
九七式側車付自動二輪車や九五式小型乗用車だ。
しかし、それを船で運ぶとなるとかなりのスペースが必要となる。
だが、アメリカ本土で現地調達すれば、そのスペースは必要なくなるし他の物資を積み込める。
元々、閑見会社はアメリカ本土攻撃作戦での必要性からアメリカ国内に幾つものダミー会社を設立している。
これらのバイクと自動車もそうしたダミー会社の一つが集めたものである。
ただし、全部が中古車だった。
会社が新車を大量に購入すれば人目をひく事になる。
それ故に閑見商会のダミー会社として中古車会社を設立し中古バイクと中古車の売買を始め必要数を集めていた。
この時代、世界大恐慌の時代であるから家計が苦しくなり車とバイクを手放す者は多かった。
必要なバイクと自動車は直ぐに集まり改装を施し整備して時が来るのを待っていた。
そして「桜華丁班」の上陸作戦に合わせ運んで来たのである。
今、そのバイクと自動車が使われようとしている。
「報告!」
大隊副官の張りのある野太い大声が響き渡る。
その命令に応じ兵士達の前にいた5人の男が一歩前に出た。
各部隊の指揮官達であり順番に報告を始める。
「第1軽機動中隊点呼完了! 全員集合済み! 出撃準備完了しました!」
「第2軽機動中隊点呼完了! 全員集合済み! 出撃準備完了しました!」
「第3軽機動中隊点呼完了! 全員集合済み! 出撃準備完了しました!」
「特殊機動中隊点呼完了! 全員集合済み! 出撃準備完了しました!」
「本部付小隊点呼完了! 全員集合済み! 出撃準備完了しました!」
その報告を受けて大隊副官が大隊長に向き直り改めて報告する。
「全部隊点呼完了! 全員集合済み! 出撃準備完了しました!」
報告を受けた大隊長は大きく頷き副官に合図する。
副官はそれを見て号令をかけた。
「せいれーつ! 休め!」
兵士達が一斉に休めの動きをしてザッという音が鳴り響く。
大隊長が兵士達に向け訓示を始める。
「将兵諸君、我らは来た!!
遥々8000キロの大海原を越え遂にここまで来た。
それは民主主義の美名の下に有色人種を弾圧し、皇国に横暴を振るうアメリカ合衆国を誅する為である!!
我々の戦いは皇国の未来のみならず全世界に自由と平和を齎すための正義の戦いである!!
敗北は断じて許されない!!
この戦いの成否はひとえに諸君らの双肩にかかっている!!
大義の為に、正義の為に、果たすべき役割を全うし皇国に命を捧げよ!!」
大隊長は訓示を終え副官が号令をかける。
「きぃをーつけぇ! かしーらーなか! なおれ! 出撃準備! 乗車!!」
一連の動作を終えた兵士達が駆け足でそれぞれ割り振られたバイクや自動車に飛び乗る。
ヘルメットを被り、キーを差し込みエンジンに火を入れる。
たちまち各車から猛り狂ったようなエンジン音が轟き渡った。
大隊長は先頭の指揮車に乗り立ったまま後ろの全部隊に対し大声で命令を下す。
「我々の後ろに皇国の明日は無い。前にあるのだ!! 行くぞ諸君!! 出撃!!」
大きく振り下ろされた大隊長の右腕の合図で全車両が動き出した。
戦争の狗達が走り出す。
周辺でそれを見ていた手隙の兵士達がヘルメットや拳を振り上げ激励している。
広場の出入口付近にはユリーカ攻略部隊司令部の指揮官をはじめ司令部の面々が敬礼で見送っている。
それに答礼しながら第4特殊軽機動大隊は出撃していく。
それはユリーカ港だけの動きではなかった。
同じ頃、日本陸軍「桜華丁班」が占領した他のアメリカ西海岸の港町も部隊が出撃していた。
オレゴン州の小さな港町クーズ・ベイからは第1特殊軽機動大隊が。
同じくオレゴン州でクーズ・ベイの北隣にあるノースベンドからは第2特殊軽機動大隊が。
クーズ・ベイから南に約170キロの地点にあるカリフォルニア州の港町クレセント・シティからは第3特殊軽機動大隊が。
それぞれ出撃していた。
オートバイとサイドカー、それにピックアップタイプの四輪自動車から成る部隊は一路、与えられた目標を目指して疾駆する。
任務を果たすべく。
そして大義と皇国の勝利を信じて……
【to be continued】
【筆者からの一言】
昔、メ〇フォースという映画がありまして、今見ると……と言う部分もありますが、それでも結構好きです。