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閑話 奇妙な店

83話予定だったけど、内容的に閑話にしました

 たまにはこういう男二人だけの会話もいいものである。


 そうルースは思っていた。



 普段何かとエルゼやレリア、バトにタキといった面子がおり、中々この年頃での同性での会話の機会が少なかったからだ。


・・・・・・いやまぁ、他の男子たちにそう話したらほぼ確実に怨嗟とか嫉妬が飛んでくるだろうけどな。




「にしてもなぁ、物凄くさっきから殺気のようなものを感じるのは気のせいか?」

「気のせいだろ。後方からだとしても、時折悲鳴のような音が途切れても、物音がしても気のせいに違いないぞ」


 なんとなく、先ほどから後方で聞こえているのだが、まぁ、街中のよくある騒音の一つだとルースたちは思いたかった。


 スアーンにも問いかけてみたが、同じようにただの騒音だと思うことにした様である。


 藪蛇というか、この世の中にはうかつに首を突っ込んではいけないことがあるからね・・・・・大体予想できるけど、振り返りたくないというのがある。



 知らぬ存ぜぬ聞かぬの「3ぬ」が大事なのだと、ルースたちは思うのであった。




「ん?俺っちが見たことがないような、なんか変わった店があるぞ」


 ふと、スアーンが見つけて指さした先にある店は、なにやらあまり見かけないような店。


 

「『占いの館』?・・・・・どっちかといえばテントじゃないか?」

「それはツッコまないほうが良いんじゃないか?」



 何事にも事情があるのだろう。


 館ではなく、空き地にテントを張っただけの店のようだが、こういう風変わりなところを覗いてみるのも面白そうだ。


 というか、占いってこの世界にもあるんだな。ああ、そういえば予報とかあるんだし、似たような関係であってもおかしくないのか。








 とりあえず、興味を持ったのでルースとスアーンは店内に入ってみた。



 中は案外広く、なにやら水晶玉しかなかった。


「・・・・・あれ?人がいないな?」


【ようこそきたな!この占いの館へ!!】

「うおっつ!?」


 人がいないかと思いきや、いきなり部屋全体に声が響いた。


【さぁ、悩める者たちよ!!なにか悩みがあるならばその水晶玉に手をかざし、念じるのだ!!さすればその解決方法が浮かび上がり、万事解決するであろう!!あ、一回ワンコインです】



・・・・・最後の一言が、台無し間半端なかった。


 いやまぁ、そこは金をとるんだろうけどさ、最後までだまってくれなかったのかな?





 どうやらここはほぼ無人の店のようで、ちょっと見る限りどうも録音などのマジックアイテムを使った感じのようだ。


 あらかじめ録音しておいて、試してもらって金をとり、満足いかなかったら金をとらないのであろう。



 利益とかはどうなのだろうかと思うのだけれども、多分どこぞやの貴族の道楽なのかもしれないな・・・・・


 何にせよ、面白そうなのでやってみることにした。


「それじゃ、まずはスアーンからな」

「俺っちからかよ。まぁ、やってみるかね」



 おかれていた水晶玉にスアーンが手をかざすと、音声が流れだした。


【悩み事を念じていてください。1分後にその回答が浮かびます】


・・・・・残念感あるなぁ。もっとこう、おどろおどろしくやってほしいよ。


 とりあえず、言われるがままに待つこと1分、水晶玉に文字が浮かび上がり始めた。



「どれどれ・・・・『【最近友人がやけに女子にモテています。俺っちもどうしたらモテモテになれるのでしょうか?】という悩み対しての回答ですが・・・・【諦めろ。お前には無理だ】』」


「「・・・・・・」」



 なんというか、すっごい気まずい。


 というか、コレ占いか?悩み相談(役に立たない)じゃないか?



「なんでこんな結果になるんだ?」

「というか、俺っちモテないのかよ!?しかも諦めろってなんだこりゃぁぁぁぁぁ!!」


 スアーン、魂の叫びである。


 同情しつつ、次はルースがやってみることにした。


「俺の悩みといえば・・・・・やっぱあれか?」




1分後。



「お、出てきたな」

「どれどれ・・・・『【ストーカーな友人に困っています。彼女が優しいのは分かるのですが、時折恐怖の威圧が怖いのでどうかしてください】という悩みの回答ですが・・・・・・【黙れモテ男!!てめぇは他にも好意を寄せているやつがいるじゃねぇか!!もげろ!!】』」


「「・・・・・」」


「いやなんだよこの結果!?」

「すっげぇあっている!!でも回答が罵倒だろ!!」



 どう考えてもリアルいタイムで事情を知っているやつが送っていそう。


 というか、もげろって何だよ!!






 役に立たない回答というか、まったく解決していない。



 料金を払う意味は無さそうなので、ルースたちはその店を後にするのであった。









 その背後の方で、エルゼたちは店内に入り込んだ。



「本当はルース君たちを見て、不審者たちを潰す役目があるけど・・・・ちょっとだけならいいわよね?」

「こういうのは不確定だが、面白そうだしな」

―――――ヤッテミル?


 こういう時は女の子というべきか、三人とも占いに興味を持った。



 というわけで、まずはエルゼから。



1分後。



「あ、でてきたわ!」

「どれどれっと、『【ああ、愛する(以下省略)】・・・・・長すぎるので回答不可能。ひとこと言わせてもらうならば、【あんた愛が重すぎるので、別の人に取られるよ】』」


「・・・・・・ぷっ」

ーーーーーフフフッ

「何笑っているのよ!!」



 まさかの回答に、レリアとバトは吹き出し、エルゼは激怒した。


「冗談じゃないわ!!この水晶玉たたき割ってやるわ!!」

「いやいやまてまて、次は私がやってみようじゃないか!」


 流石に店での乱暴はまずいので、慌ててレリアはエルゼの凶行を収めた。


 そして、今度は自分がやってみることにした。


そして1分後。



「『【最近、肩がこる。これを治せないだろうか?】という悩みの回答ですが・・・・・・スイマセン、本日はここで終わりです。回答者が【さっきの子よりもそんなたわわに実っているから重いんだ!!今から握って】と、阿呆な事を言いだしたので、撲殺し、黙らせました』」


「・・・・・回答者いたのか!!」

「というか、これもしかしてどこかから見ていたのかしら?だったらこういう分になるのも納得ね」

ーーーーーエット、ナニコレ?



 どうやら、この水晶玉占いは別の場所にいる誰かがこの様子を見て、回答していたらしい。


 そして、その回答をしていた人はおそらく男性であり・・・・・


「良し、まずはこの不埒者を潰すか」

「ええ、人の身体的特徴を言うような輩は潰しましょう」

ーーーーー目、目ガチョットマジダヨ。



 その答えを見つけ、理解したエルゼとレリアはハイライトの消えた目で言いあい、バトはその様子に震えた。



 数日後、ある時路地裏に迷い込んだ子供はそれを見つけた。


 逆さ磔にされ、どうも下部から隠し撮りしていたらしい写真を全身に張られ、顔面が原形をとどめていないほどフルボッコにされた男性を。


 後の衛兵たちの調査によると、どうやらどこかの貴族の馬鹿子息だったようで、家の金を使って盗撮をして楽しんでいたようで、その後、性根を叩き直すための再教育へ送られたのだとか・・・・・・犯人は、捕まっていないそうである。



 


次回はきちんと本編です。

たまにはふざけたくなりましたので、すいませんでした。

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