4話
本日2話目!!
ちょこっとどうなるかの説明かな?
金色の魔導書を顕現させ、気を失ってから半日しか経っていなかったと、気絶から目が覚めたルースは、エルゼから現在の状況までの経緯を聞いた。
気絶した時に、どうやら素早く彼女は青色の魔導書によって使える水の力で、水魔法を発動させて、ウォータースライダーのごとく、水の流れで一旦俺の自室へと運んでくれたらしい。
‥‥‥その際に体も濡れたはずだが、なぜかきちんと乾燥されていて水滴一つ落ちていない。
びしょ濡れな体を一体どうやって‥‥‥いや、タオルとかで拭いたんだろうけど、なんとなくその光景を考えるとどこか恐怖を感じたので、俺はその疑問を考えるのを止めた。
とにもかくにも、ルースが顕現させた魔導書なのだが、今まで見つかった色とは違う金色‥‥‥既に「黄金の魔導書」という情報で、その手の研究機関に素早く通達されたそうだ。
「って、金色の輝きから『黄金の』って…‥ややこしいような」
「そっちの方が響きが良いと、あの村に来た監察官が言ったのよ」
ああ、あの熊のようなおっさんか。意外に動きが早かったようである。
いや、熊とかって結構速いというし、意外でもないのかな?
「後日、あたしたちは魔導書を手に入れられたのだから村から出て、国の育成機関への輸送馬車へ乗ることになるのだけれども‥‥‥それまでに、ルースのその魔導書がどのような力を持っているのか、調べるために調査官がやってくるそうよ?」
現在、確認されているのは赤、青、緑、黄、茶、白、黒の7色の魔導書。
でも、今回新たに金色が出たということで、それが与える力が何のかわかっていないのだ。
そこで、その調査官とやらを派遣してきて、どのようなものか調べるらしい。
「国の育成機関へ行くのは5日後。でも調査官の人が来るのは2日後よ」
今のうちに、出来るだけその詳細なデータを早く取りたいのだろう。
超特急で向かってくるそうだが、それまで俺は魔導書の使用を出来るだけしないように言われているようだ。
使い方は、魔導書を手にした時に情報の洪水の中でなんとなくわかっているのだが、未だに不安な要素も多いので、きちんと調べてからのほうが良いのかもしれない。
‥‥‥それに、夢の中での会話。あれもどういうことなのか、今後はっきりさせないとな。正体不明のしゃべる力の存在って、中二病ではないけど恐怖はあるしね。
「っと、そういえばエルゼはもう十分その水色の魔導書を使えていないか?俺をここに運ぶまでに使用したんだろ?」
「うん!!あたしの場合拘束系でゴホンゴホン、えっと水の力が結構わかりやすくて出来るんだよ」
今なんかごまかさなかったか?
拘束って‥‥‥水に関連して確か氷とかも扱えるんだし、氷の手錠とか、足かせとか‥‥‥
エルゼのその言葉に、今後自衛のために警戒を強めたほうが良いのかなと、ルースは心からそう思うのであった。
‥‥‥というか、もしかして一番魔導書を持っちゃ危ないような人に、持たせてしまったのではないだろうか?
ルースがそう考えていたその頃、エルゼの父親であり、バルスト村の領主、グレイモ王国の王家の血も引く公爵のカイゼル=バルモ=ミストラルはその情報をすでに得ていた。
「くっくっくっくっく、儂の予想通り、娘の想い人のあの小僧は面白いことをしでかしたようだな」
執務室にて、村での叡智の儀式で金色に輝く魔導書をルースが手にしたという情報を聞き、笑い声をあげるカイゼル公爵。
人を見る目があると自負しているのだが、その目の自信を付けてくれそうな情報であったからだ。
「さてと、どのような力を持つのかは気になるな」
一通り笑い声をあげた後、カイゼル公爵は真面目に考え始める。
魔導書は、赤色なら火、水色なら水の力をといった具合にわかりやすくなっているのだが、金色というのは未知の力である。
現状どのようなものなのかは不明であり、もしかすると‥‥‥いや、かなり高い確率でとんでもないような代物だという予感をカイゼル公爵は感じ取った。
「調査官が来るようだが、せっかくだし儂も立ち会おうかな?」
ルースのいるバルスト村の領主でもあり、その村内での出来事であるならば、様子見として自分が行ってもおかしくはない。
そう考え、立ち会えるように準備をし始めるのであった。
「そういえば、セバスリアンよ」
ふと、準備をする前にカイゼル公爵は執事のセバスリアンを呼んだ。
「何でございましょうか公爵様?」
呼ぶと同時に、音もなく影からすっと出てくる執事のセバスリアン。
彼は黒色の魔導書を持っており、いつでもどこでもカイゼル公爵の呼びかけに応じることができるのだ。
「娘のエルゼも水色の魔導書を受け取ったそうだが‥‥‥念のため、バレてないと思っている隠し部屋をこっそりと防水仕様に直しておけ」
「はっ」
カイゼル公爵の命令を受け取り、影に戻って動くセバスリアン。
‥‥‥エルゼのルースに関するストーカー品収集部屋の存在は、公爵たちにはすでにバレバレなのだが、愛娘のために見てそ知らぬふりをしつつ、そっと応援をするのであった。
愛娘がストーカーのようなものになっても、カイゼル公爵は愛娘を大事にするのだが‥‥‥どこか間違っているようなところは、親子で同じであった。
‥‥‥主人公のルースよ。その考えは間違っていないだろうな。
ストーカー対策を練るのが一番であろう。
というか、黒色よりも水色の方が実はやばいのではないだろうか、書いていたら思ってきた。氷も扱えるから…‥‥考えてたら怖くなってきた。