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38話

フラグって言葉、一体いつからあるんだろうか?

‥‥‥作物巨大化事件。


 バルスト村の畑にある作物が、どれもこれもが通常よりも大きく成長し、その成長速度は異常なほど早い。


 どうしてそうなったのか、その謎を解明するために。村の外からその手の専門家が呼ばれたのであった。





「初めまして、農業部担当調査官ファームラーでありんす」

「こちらこそ初めまして調査官殿」


 朝早くから、村長が専門家…‥‥というか、調査官の人と話しているのをルースたちは見ていた。


 こういう田舎の村ゆえに、外から来る客が珍しいからつい集まってしまうのはどうしようもない。


 村から離れて学園の寮で生活していたとしても、なんとなくの感覚でつい皆で見に来てしまったのである。



 やってきた調査官とやらは、見た目が背高のっぽという感じだが、頭がややでかくてなんかマッチ棒みたいな見た目である。


 ひょろ長いというか、こんな人が本当に農業に携わるのかと皆内心そう思ったのであった。





 異常が起きている畑に案内する村長と一緒に行く調査官の後を、村の興味を持った者たちがぞろぞろとついていく。



「あんな人が、本当に畑に関して分かるのかなぁ?」

「ま、物事はなるようになるわよね」


 ルースとエルゼは興味を持ったが、別についていくほどでもないだろうと思い、その場に残り、スアーンの方は村長たちと一緒に畑へと向かって行った。



「しかし、ああいった人って誰が呼んだんだろうか?」

「村に呼ばれたのはわかるそうですけど、誰がというのは謎よね」



‥‥‥調査官、実は公爵家の方でも呼んでいないらしい。


 村の誰かが呼び寄せたので、その情報が伝わり村に来るのはわかっていた。


 だがしかし、その呼び寄せた本人が不明であり、調査官の対応は村長にゆだねられたのである。



 誰が呼んだのかもわからない人を受け入れるこの村もどうなのだろうかと思いたいが‥‥‥‥まぁ、気にしても意味がないであろう。どうせわからないし。


「そういえば、お酒の発酵を今日も母さんに言われていたな。さっさと向かわないとな」

「あ、ついでにあたしも一緒に行くわ」


 ここでふと、ルースは今日やるべきことを思い出し、エルゼは暇だったのでルースと一緒に向かうことにしたのであった‥‥‥












…‥‥畑に到着後、調査官ファームラーはその様子を見て驚いた。


「話には聞いていたが、異常な成長をしているでありんすな」

「そうなんです。通常ここまでなることはないのですが…‥‥」


 畑中の作物が、どれもこれも所狭しという状態で巨大化しているのを見て、ファームラーは手に取って確かめてみる。


「ふむ‥‥‥色や艶もやけに濃いでありんすな。ただ単に肥大化するだけであれば、表面積が増える分、薄くなったり、悪くなったりするでありんすが‥‥‥」


 触ったり、叩いたりしてみて、その状態をファームラーは確かめていく。



「村長、質問なのだがこれを実際に味わってみていいでありんすか?」

「大丈夫です。ただ、この現象がやけに不気味ゆえにまだ収穫をしていなかったのですが…‥‥とりあえず手ごろなこれから取ってみましょう」


 畑の持ち主を呼び、許可をとってからその作物を収穫し、中身を直接見てみようとした時であった。



‥‥‥シュルシュルシュルルル

「ん?何の音でありんすか?」


 ふと、何かがうごめく音をファームラーは察知し、辺りを見渡す。


 そして、すぐにその異音の正体を見つけた。


「村長!!その場からすぐに離れてくださいでありんす!!」

「え?うわぁぉぉぅ!?」


 そのファームラーの叫び声に、村長は一瞬疑問に思ったが、すぐに何が起きたのか気が付き、慌ててその場から離れた。



ドスドスドスドス!!


 すると、先ほどまで村長がいた場所に何かが突き刺さった。



 見れば、それは作物の根元から伸びてきた細長い何か、いや、根っこのようなものであろう。


「さ、作物が攻撃してきただと・・・・・・・!?」


 あまりの衝撃な出来事に、村長及び周囲で見ていた野次馬たちも絶句した。


「皆急いでここから逃げるでありんす!!他の作物たちも!!」



 ファームラーの叫び声に、皆がはっと我に返って気が付くと、畑の作物たちが動き始めていた。


 どれも自ら根っこを土から抜け出させ、ゆっくりと皆に向かって進み始めたのである。


 ふと気が付けば、一番大きな玉ねぎのような植物が前に出てきて‥‥‥



【ギシャァァァァァァァァァァァァ!!】


 そう雄たけびを上げた。


 いつのまにかその植物には口が出来ており、中には鋭い牙が生えそろい、よだれのようなものをだらだらと垂らして、そして大きな目玉のようなモノまでできていた。


「さ、作物の化け物だぁぁぁぁぁぁぁ!!」



 突然起きた畑の作物の化け物発生。


 その光景に皆は悲鳴を上げ、逃げ出し、その後を同じように変化し始めた作物たちが追いかけるのであった…‥‥

平和な村に突如起きた大事件。

作物の化け物たちが襲い掛かってきた!!

果たしてこの事件はどうなるのだろうか?

次回に続く!!


‥‥‥なお、最初に出てくるの化け物は、スイカにしようと最初は考えていたが、丸いだけだとなんかいま一つなので、インパクト的に玉ねぎモドキにしました。唐辛子のようなものでもよかったかもしれないけど、こういう村って何を育てているのかを考えると一般的に思えそうなものになるんだよな。

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