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32話

書いている季節と(2017/09/24現在)、この作中の季節がずれるのは何とも言えない気持ちになる。

季節ネタを出したいけど、内容の進行がなかなか進まないからやりにくいなぁ。

‥‥‥グリモワール学園に入学してから時間が経ち、季節は初夏へ移り変わっていた。


 この世界がどの様な構造なのか、まだルースもよくわかってはいないのだが、この今いるグレイモ王国はどうやら前世の地球の日本のような感じらしく、四季がはっきりとしているようである。



 そのあたりは別にいいのだが、この時期にある問題が学園で起きた。


 この世界にはマジックアイテム‥‥‥いわば、電化製品の電気不要版のような道具があるのだが、文明レベル的にはまだ高価なものらしく、普及率は100%ではない。


 その中には、クーラーのようなマジックアイテムがあるのだが、幸いなことに、魔導書(グリモワール)を持つ者たちが学ぶこの学園では、暑さにやられない対策として国がわざわざ援助して、取り付けられていたのである。


 その為、気温が上昇しても大丈夫であったはずが‥‥‥‥



「「「「「あつぅぅぅぅぃぃぃぃぃ‥‥‥」」」」」」

「あ~‥‥‥各人、魔導書(グリモワール)を顕現して良いから、何とか暑さに負けないように魔法を使ってくれ」


 座学の授業中、余りの教室内の暑さに、その時間を担当していた先生がそう言った途端、教室内にいた生徒たちはいっせいに魔導書(グリモワール)を顕現させ、自身の周囲を魔法によって冷やしたり風を起こすなどして、暑さに対抗し始めた。



‥‥‥そう、肝心なクーラーのようなマジックアイテムが、なぜか学園全てのものが故障したのである。


 原因はどうやら動力部分に何か異常が起きたようで、その部品の交換をすれば済む話だというが、肝心のその部品は、生憎この学園にも、学園があるこの都市の店にも在庫がなく、注文して届くのが1週間後であった。


 しかも、初夏に入ったばかりだというのに、今年はなぜか異常気象のようで、真夏のような暑さになったのである。


 当然ガンガン気温が上昇し、皆グダグダになったのであった。


「とはいえ、全員が冷やせるような魔法とかがないからなぁ‥‥‥」



 魔導書(グリモワール)によって魔法を使用し、辺りを冷やすことは可能である。


 だがしかし、その調節はまだまだ生徒たちには難しく、完璧にできないため教室全体を冷やす場合、迂闊に間違えれば極寒地獄か台風地獄となるのだ。


 教師の方々がやればいいじゃんという人もいたのだが…‥‥ちょうどいい気温というのは案外難しい。


 暑がりだったり、寒がりだったりなどと個人差があり、匙加減を間違えれば不満が出るからである。




 そこで、自己責任で自身の周囲のみという制限をかけて、身体の発汗機能なども考えて、教師の判断によって授業中の魔導書(グリモワール)の使用を許可されることによってようやく皆涼めるのであった。


‥‥‥ちなみに、赤色の魔導書(グリモワール)を持つ人の場合、出来るのがほとんど火の魔法であり、どうやって涼めばいいのだという問題が出たため、他のすずしくなれる魔法を使える生徒を頼るのを許可されている。



 ルースの場合、彼の持つ金色の魔導書(グリモワール)は複合魔法を扱え、当然氷と風を組み合わせて冷風を発生させることが出来るので問題は特になかった。


 エルゼに至っては、教科書の類をすべて防水処理して、シュノーケルのようなものを付けて、魔法で作った水の塊に潜って授業を受けているのである。


‥‥‥少なくとも、窒息死はしないだろうけど、そこまでやる必要性があるのだろうか。ちょっとシュールな光景であった。











「暑かったけど、食堂の料理は本日冷やしメニューが多くてよかったな」

『ごぼごぼっべ、ごぼぼぼぼ(その通りね、こういうのは良いわ)』

「何だろう、すごい変な光景が見えるのだが‥‥‥」


 昼食の時間となり、皆が食堂に集まって昼食をとる中、水の中にいるエルゼを見て、ちょうどやって来たスアーンがそう冷静にツッコミを入れてきた。


『ごぼぼぼぼっべ!(別にいいでしょうが!)。ごぼべばごぼぼっつ、ごぼべっべえっつごぼげぼっげっつ!!(あたしは暑がりだから、これでちょうどいいのよ下僕一号!!)』

「何を言っているのかわからんが、言いたいことはなんとなく察せるな」

「そんなの分からねぇよ普通!?なんでルースはわかっているんだよ!?」



 ルースのその言葉に、思わずスアーンがそうツッコミを入れた。


((((((激しく同意する!!)))))


 そのツッコミに対して、ちょっと距離をとっていたその場にいた一同は、同じ考えを持っていたのであった。



『ごぼぼえっつごぼーっつぼごごぼほぼごぼぼおべべっつ(あたしとルースは運命のようなものがあるからね)。ごぼぼぼっべぼぼぶぼぼうぼうぼ!!(心で通じ合えるのよ!!)』

「いや、エルゼのそぶりでわかるんだよ。とはいえ、心で通じ合っていないと思うのだが‥‥‥」

「だからどうやってわかっているんだよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


 食堂に響き渡る、スアーンの心からの叫び。


 それに同意した者は深くその場でうなずくのであった。














‥‥‥場所は変わり、グレイモ王国の王城である。


 国王ハイドラ=バルモ=グレイモは、報告書を読みながらしかめっ面になっていた。


「フェイカーの目立つ動きは、今のところなしか…‥‥この静けさは不気味だな」


 反魔導書(グリモワール)組織フェイカーの一部が関わっていたとされる、都市での事件から月日は経過したのだが、その事件以降、フェイカーによる事件のようなものが起きていなかった。


 情報があればすぐにでも動き出したいところであるのだが、そう事はやすやすと動かないようである。



 静まり返り、平穏そうな世の中なのだが…‥‥その裏で、密かにその組織による策略が進んでいるような気がして、ハイドラ国王は不安であった。


 下半身が少々緩い国王としても噂されてはいるが、それでもこの国の事を考えているのである。


 将来性を考え、国民が皆幸せに、なおかつ安全に暮らせるような国づくりを目指すのであれば、このような平穏を乱す悪党どもを放置しておくわけにはいかず、何とかしたいのだが…‥‥どうもうまいこと行かない。


 隙を伺っているのか、それとも罠を仕掛けており、それにかかるのを待っているだけか。



 できれば前者の方が突然起きる可能性が高いとはいえ、素早く対応すれば何とか対処は可能であろう。


 だがしかし、後者であればそれだけ入念に準備されたものだという事もあり、難易度は格段に上となる。



「‥‥‥結局、罠には罠で仕掛けるか?」


 そうハイドラ国王は考え、どのような一手を打つべきか素早く考え出した。



 そこでふと、彼は思いついた。


 逆に罠を仕掛けてやるとすれば、出来るだけ大きな囮があったほうが良い。


 ならば、その囮とするにはちょうど良さそうなものがあるという事を。


 だがしかし、彼の親戚筋である公爵家から警告はされているので、出来るだけ干渉がばれないようにかつ、その囮にちょうど良さそうな人物に出来るだけ自ら動いてもらえるようにしてもらわなければいけない。




 そう考えたハイドラ国王は、直ちにその思いついた案を何度も何度も練り直し、最終的にできた案を実行するときには、いつの間にか翌日の朝になっていたのであった。

 

国家の思惑が出始めたようである。

というか、本当に小説の主人公って何かしら知らないところで策略などに巻き込まれているな。

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