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1話

本日2話目!!今日は後1話投稿いたします!!

‥‥‥ここはどこだ?


 ふと、俺‥‥‥ルース=ラルフが気が付くと、どこか奇妙な場所にいた。


 あたりは暗く、自分の身体だけが浮かんでいるかのような、不思議な空間である。


 ここがどこなのか考え‥‥‥夢だという結論に、ルースは至った。


 どう考えても、夢の中以外ではこんな摩訶不思議な空間にいることはあり得ないのである。






 あたりを見回してみると、なにか一冊の本があることにルースは気が付いた。


 金色であり、引き込まれるような感覚をルースは感じた。



 そして、何もしていないはずなのに、その本が勝手に開き‥‥誰かの言葉のようなものが、頭の中に直接響くように伝わってくる。



――――さぁ、この我を使え、使え、使え、使え、使え、使え、使え、ツカエ、ツカエ、ツカエ、ツカエ、ツカエ、ツカエ‥‥‥



――――――――――――――――――――――――――――――――――

「朝っぱらから恐怖の夢過ぎるだろぉぉぉぉぉ!!」

「ぎゃふんっつ!?」



‥‥‥物凄く、サイコじみた謎の夢にツッコミを入れ飛び起きたルースの頭突きに、誰かが突き飛ばされたようであった。



「イタタタ…‥相変わらず物凄い石頭だねルース君」

「誰が石頭だよ…‥と言うか、どうやって俺の部屋に入ったエルゼ?」


 痛む顎を押さえつつ、立ち上がったルースの幼馴染の少女でもあるエルゼ=バルモ=ミストラル。



 はっきり言って、少しストーカーじみていると言えなくもない奴である。


「あははは、あたしにとっては簡単だね!おばさんにきちんと挨拶してから、家の中に入らせてもらって、部屋の扉の鍵‥‥ではなく、扉そのものを外してから侵入したんだよ!」


 ぐっと指を立て、笑顔でそう答えるエルゼ。


 見てみれば部屋の扉が横たわっており、外されたのがよくわかった。




「なるほど‥‥‥破壊するよりも、外したほうが良いと考えたわけか」

「その通り!!さぁ、せっかくだしここでお目覚めのキスでも」

「しないし、人の部屋の扉を外す馬鹿がどこにいるんだぁぁぁぁ!!」

「ここにい、」


めごぅぅぅぅ!!

「えんでばぁっつ!?」


 ここにいるよ、と答えようとしたエルゼだったが、渾身のルースのチョップを喰らい、奇声を上げて撃沈するのであった。








「全く、母さんもなんでこんな馬鹿を通すんだよ」

「いいじゃないのルース。せっかくあなたを好いている娘が、わざわざ起こしに来るぐらいだし、好きにさせたいのよ。‥‥‥金持ちだしね」


 おい、母さんや本音が漏れているんだが。



 ルースはにこやかに本音を漏らした母のアバウト=ラルフに、心の中でツッコミを入れた。




 


 今、ルースが住んでいるこのバルスト村の領主はエルゼの父親なのである。


 エルゼの家は貴族家‥‥‥その中でも、意外や意外の公爵家なのである。と言うか、領地経営好きの前線に出たがりらしい。




 この国、グレイモ王国の王族の血筋であるミストラル公爵家の3人の娘の末っ子であり、本来であればただの庶民であるはずのルースとの接点はないはずなのだが‥‥‥




「まぁまぁ、良いじゃないのルース。あなたがエルゼちゃんを助けたからこうやって一緒にいるんでしょう?」

「そうそう、あの時のルース君の姿に惚れたのよ!!」

「‥‥正直言って、物凄く後悔しているんだけど」



 にこやかに言う母アバウトとエルゼの二人に対して、ルースは溜息を吐いた。





 思い出すのは今から10年ほど前である。


 当時4歳ごろだったルースだったが、その時からすでに世間がどういう状態なのかよく見ていた。



‥‥‥そう、実は俺、よく物語とかで聞くような転生者のようです。


 前世は地球の一般男子高校生だったはずなのに、何が原因でこの世界の転生したのやら‥‥‥思い出した時期が4歳になってからでよかったけどな。赤ちゃん時代に記憶持ちのままいたら絶対きつかった。


 死因はよく覚えていないけど、確か空から光る物体が落ちてきて激突したんだが‥‥‥あれ何だったのだろうか?



 まぁ、とにもかくにも記憶が戻ってから少しだけワクワクはしたけど、すぐに現実を見るようにした。


 内政チート?うん、俺貴族生まれでもなくただの庶民ですからできません。

 魔法チート?いや、この世界では魔法ではなく『魔導書(グリモワール)』というのがないとできないようで、それがもらえるのは14~15歳ごろに行われる儀式を受けなければ得られず、しかも確実にというわけでもありません。



 そもそもチートとかはいらないんだよなぁ‥‥‥どう考えても面倒ごとにしか巻き込まれないからな。


 このグレイモ王国にしても、政治的に見ればこの辺りを治めている領主はまともらしいけど、酷いところはひどく、どう考えても強い力をめぐっての争いは起きるだろうしね。


 ま、得たとしてもそんなに争う事もないし、ひっそりと隠して生活に役立てる程度にしか使用できないだろう。




‥‥‥と言うか、チートなんかよりもモフモフが欲しい。


 ルースはそう思っていた。


 なぜなら前世、彼は犬や猫、鳥などモフモフした可愛らしい生き物が好きな男子高校生だったからである。


 モフモフこそ正義と言ってもいいかもしれないが、なかなかこの世界では巡り合う機会が少ない。



 持っているのは犬や猫、鳥などという感じだが、この世界だと人間以外の生物がモンスターなんだよね…‥


 あと、モフモフを持っている中には魔族と呼ばれるような一族もいるそうで、人に近い外見を持つ者たちを指すようだ。人間と争っていることは特にないそうだけどね。





 というわけで、4歳のある日、モフモフを求めて一念発起して少しバルスト村の外を一人で探検しに行ったのだ。



 その時に‥‥‥


「あの時、お父様たちと喧嘩して、家出していたら足をくじいて、動けなくなったところをルース君に助けてもらったのよね。あの時、背負ってくれた背中があたしの頭のメモリーにきちんと刻み込まれたのよねぇ」

「‥‥‥本当に、すっごい後悔しているんだよな」




 そう、あの時村の外で偶然にもエルゼが足をくじいていて、動けなかったところに通りがかって、放っておけないから家に運んだのが選択の間違いであっただろう。


 最初は何処かの家の子かと思っていて、家出してきた公爵家の娘だとは全く考えていなかった。



 すぐに親が引き取りに来て、感謝されたのは良いんだけど…‥‥その後が問題だった。





 エルゼはルースに惚れてしまったようで、それ以来付きまとうようになったのである。


 公爵家の方でも、公爵は娘の恩人でもあるし、親バカなようでどこかのバカ貴族の嫁に出すよりも、娘の幸せを願って恋している人の下へ行かせたほうが良いと判断しているそうである。


 婚約までやっていないのは、流石に貴族と平民なので体裁を考えてらしいが‥‥‥



『ふふふ、あの小僧は将来的に大物になると見た!!』


 そう公爵は発言したようで、物凄い買い被られたように思えるのだが、それでも娘がルースの下へ通うのを許可したのである。




「たまに替えの上着や下着、食器が無くなるんだけど‥‥」

「大丈夫だよルース君!全部キチンと隠し部屋に保管しているからね!!」

「どこが大丈夫だぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 ストーカーと化した幼馴染の頭に、ルースはツッコミをまた入れるのであった。


‥‥‥もしかして公爵ってさ、娘のこのストーカー気質を見抜いて押しつけたとかじゃないよね?



ツッコミ役が欲しいところ。

‥‥‥ボケが増えると、作者の方が大変です。

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