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165話

鼻水酷かった…‥‥何でかたまーに物凄い酷い日がある。

原因不明だし、本格的に体調が悪くなる時があるのはなぜだろうか。

ついでに紙で指切って痛かった。何であれ切れる上にかなり痛いのだろうか。

 精霊王の下へ着いていたのは、確か時刻的に昼前ごろ。


 それから数時間ほど経過し、ようやくルースたちは見覚えのある場所にまで駆け抜けてきた。



「ここは‥‥‥確かスッパリンの木の実を探しに来た場所だな」

【あの怪物が出て、色々とやらかした場所でもあるようじゃな】


 都市メルドランからやや離れた湖、その近くに来たようである。



 以前、事情があってスッパリンという木の実を探し求めてきて、そこで思いもがけぬ戦闘が発生したが‥‥‥あの時の爪痕がまだ残っている地まで、ルースたちは到達した。



……まだ地面がえぐれているが、結構時間が経っているので木が生えてきており、そのうち隠されるはずである。




 とにもかくにも、ここまで来たらあと一息で都市に到達するのだ。




 と、ここまで駆けていると、ふとヴィーラが足を止めた。



【んン?】

「どうしたヴィーラ」

【地下のホう‥‥‥なにヤら変な空洞がアるよウに感じる】


 下の方をスンスンと嗅ぎ、いぶかしげな表情になるヴィーラ。



 彼女は土の中をシャベルを持って掘り進むのだが、その長年の経験からか、地下の異常に気が付いたらしい。



【感覚的に多数の何カが掘り進み…‥‥向カったノは都市ノ方だね】


 もふもふっとした兎の腕を向けたのは、ルースたちが向かう場所、都市メルドラン。



 そこへ向かう地下の何かと言われれば……何があるのだろうか。



 とにもかくにも、ろくなものではなさそうだという結論となり、足を速めるルースたち。


 嫌な予感がしつつも、今はただ、都市の無事を確認しに行くしかできないのであった…‥‥


「と言うか、精霊状態になって飛んだほうが早いかな?」

【それを先に思いついたほうが良かったと思うのじゃが…‥‥】


 ルースのその案に、タキは呆れたように答えるのであった。












がぎぃんっつ!!

「どえっせいでアール!!」


 大振りで金棒を振り回し、怪物たちを殴り続けながら声を上げるミュル。



 今、都市を覆い被さっている壁の上で、彼女は湧き出てきた怪物たちを相手に戦っていた。



 相手は溶解液を吐いてくるようで、毒もあるかもしれないので、受けないようにかわしつつ、懐へもぐりこんで金棒で渾身の一撃を叩き込んでいく。


 すでに5、6体ほどは息絶えさせたが、まだまだその数は多い。



【【【【グゲゴギガハァアッァァァァア!!】】】】


 仲間がやられるたびに怒りの雄たけびを上げる怪物たち。


 その声をまともに受けても鼓膜がイカレそうなので耳を防ぎつつ、胴体や頭に金棒の一撃を叩き込んでいく。



「でやぁぁぁぁ!!」

「そいやぁぁぁぁあ!!」


 周囲では、他にもミュルが破って作った穴や、個人個人で作った穴、溶解液で溶けたところから何とか這い出してきた人たちが、それぞれ戦闘に参加できるのであれば参加し、魔導書(グリモワール)で魔法を撃ったり、剣で攻撃したりなどしているが…‥‥いかんせん、相手が多すぎる。


 大規模な殲滅魔法などを扱えるのであればまだしも、この場で戦闘しているのはだれも単体撃破のみに集中しているので、手が足りない。



「ちっ、数的不利なのは辛いアルな!」


 舌打ちをしつつ、接近して蹴り上げようとして来る怪物に対して、ミュルは金棒でその指の部分を強打させたり、飛び上がって脳天にぶちかます。


 だてに元幹部を名乗っていたわけでもないし、そもそもルースに唯一の致命傷を与えた実力はあるのだ。



……だがしかし、いくら強者でも数の暴力は辛い。



【ギャゴガァァァァァァ!!】

【グギャァァァァ!!】



 と、二体の怪物が咆哮を上げ、ミュルへ向かって口から溶解液を飛ばしてきた。



「おっと!」


 素早く避けて、反撃しようとしたその時であった。



ズボォォン!!

【ギャギャギャギャゴォアァァァァ!!】

「何っ!?」



 いつのまにか下に潜り込んでいたらしい怪物の一体が真下から攻めてきて、その頭の上にミュルは乗ってしまう。



 上へ向かう勢いに押され、とっさに飛び上がることができない。


「こいつら、この野郎を犠牲にして攻めてきたのでアルか!!」


 他の二体が気を引きつけたすきに、別の一体が真下から攻めてきて、ミュルを攻撃してきたようだ。


 真下から喰らうつもりだったのかもしれないが、偶然にもその頭の方にミュルが乗ってしまった形になったようであるが、臨機応変に対応する用で、この個体を犠牲に、上る勢いで動けないミュルへ向かって、先ほどの怪物たちが迫って来る。


「ぐっ!!」


 足場が上昇し、身動きを素早く取れないミュルはやって来るであろう怪物たちの攻撃に備える。



ドッガァァァン!!

「ぐわぁぁぁぁぁぁっ!!」


 喰らわれるのかと思いきや、体当たりをかましてきたようであり、その衝撃にミュルはふっ飛ばされた。




 一気に地上へ落下し、受け身を取るが体に痛みが生じる。


 とっさに取ったが、どうも完璧ではなかったようだ。



「っつ!?」


 しかも立ち上がろうとした瞬間、足首に痛みをミュルは感じた。


 よりによって、こんな時に足を痛めてしまったようだ。



 金棒を支え棒にして立つが、足の痛みでうまい事立てず、その場に倒れる。


「ぐっ‥‥‥ここまでか」


 迫ってくる怪物たちを見て、ミュルはそう声に出す。



【【【グギャゴガァァァァァ!!】】】


 口を開けて咆哮を上げながら迫ってくる怪物たち。



 ミュルが覚悟を決めて、せめてもの一撃として、金棒を構え直したその時であった。



『精霊状態解除!!からの「魔導書(グリモワール)顕現」&「ボルケーノ」!!』

「!?」


 突然聞こえた声に、思わずミュルはその声の方へ顔を向けた。


 そこにいたのは、精霊状態から解除し、素早く魔導書(グリモワール)を顕現させたルースの姿が。



 そして、放たれた魔法は‥‥‥‥かなり容赦ない魔法であった。


 火・土・風の複合魔法のようで、超・高熱で熱されてできた溶岩が、風の渦に巻き込まれ、怪物たちへ容赦なく襲い掛かる。



 ジュブクワァァァァァァ!!

【【【グギャァァァァァァァァ!!】】】


 皮膚が一瞬のうちに灼熱にさらされ、内部の体液が沸騰し破裂したのか悲鳴を上げて絶命していく怪物たち。



 その凄まじい断末魔に、思わず同情を覚えそうになったミュルであったが、今はやって来た救援のルースたちに喜ぶべきであろう。



「って、しまった勢いがぁぁぁぁぁ!!」

「へ?」



…‥‥が、精霊状態で飛んできたせいか、魔法を撃っての反作用を受けてないせいか、精霊状態を解除したルースは飛んできた勢いそのままで落下してきた。


 それも、ミュルの目の前に。



 思わず間抜けな声を漏らし、あっけに取られるミュル。


 気が付いたときには、目の前にルースが迫ってきて、そのまま彼の落ちてくる衝撃に襲われるのであった‥‥‥‥



「痛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「ごめーーーーーーん!!」

…‥‥ルース、主人公なのに格好がつかなかった。

と言うか、一応元々はツッコミ担当だったのに、今では立派なボケもこなすようになった。

そんなことはどうでもいいとして、都市にようやく到着したようだが‥‥‥

次回に続く!!


……主人公がすべて完璧にかっこいいということはないのです。何かしらの欠点や弱点があるんだよ。

と言うか、足をやられたミュルにトドメを刺したような気がする。この後の戦況、大丈夫なのだろうか…‥‥不安しかない。

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