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162話

今回は主人公不在回


 ルースたちが精霊王の下にいるその頃、都市メルドランにある病院内で、ある人物が入院していた。



「ああもう、俺っちだけまた仲間外れか」


 階段にて、落ちてきた少女をキャッチし、ぎっくり腰になったスアーンである。


 腰にはコルセットが巻かれ、負担をかけないように周囲は柔らかいものに包まれた状態であった。



 この世界には治癒魔法があるとはいえ、ぎっくり腰は再発の可能性があり、魔法ですぐに治さず、ゆっくりと時間をかけて再初の可能性を減らす治療を受けているのだが…‥‥そのせいで今回、ルースたちに同行できず、こうして治療に励むしかなかったのだ。



 空いていたのがちょうど個室であったから自由にのびのびできるとはいえ、宿題などが消えるわけでもないし、そもそも腰が痛いので動かしにくく、何も良いことはない。


 いや、むしろ少し動かすだけでも痛いのでマイナス面しかないのだ。



「はぁ、あいつらだけ行くのはなんかなぁ」



 ルースたちの事を想いつつ、スアーンはそう溜息を吐いた。


 元は村でガキ大将して、ルースに対してやらかしかけたところを、エルゼによって心の底から服従を誓わされ下僕となっていた。


 そして、学園に来るまでは基本的にルース、エルゼ、スアーンの3人で遊んだりすることが多かったのだが…‥‥。



 グリモワール学園へ入ると、ルースの周囲に女の影が見え始め、エルゼによってスアーンは見張るための下僕としてフル活用されていたが、そのうち忘れさられてあまり彼らと関わりを持たなくなっていた。



 そしていつしか、そばにいた友達・下僕として離れていき、ともに行動することもあまりできなくなっていたのである。


「畜生、俺っちは不憫な目に遭っているというのに、何でルースの周囲に女が見え隠れするんだ‥‥‥」


 ドンッと手を打ちつつ、悔しがるスアーン。


 学園に来てから、ルースの周囲に見える少女たちがうらやましいのである。



 一応、健全な男子でもあるし、ルースにエルゼやレリア、バトといった美少女たちが集まるのがうらやましい。


 一人ぐらい分けてほしいが、それは絶対叶わぬ夢であろう。


 第三者の目から見れば、皆が全員ルースにある程度、もしくはそれ以上の好意を持って居るのは目に見て分かるのだ。


……まぁ、エルゼに関して言えば、昔植え付けられた逆らってはいけないと魂の底に刻まれるほどのトラウマや、そのストーカー気質などを理解しているので、うらやましいかどうかでいえば、むしろお断りというか、押しつけたかったので微妙なところである。


 容姿だけは良い。中身を知らなければまともそうに見えるのだ。



 なお、タキにミュル、それに最近増えたヴィーラなどに関しては、あれは「少女」と言うカテゴリーではないので見ないことにしている。


 バルション学園長?あれはエルゼに並ぶ恐怖の権現だし、エルモア先生は単なる研究者としかスアーンは見ていない。そもそも教師と生徒にそんな間違いが起こるとは考えにくい…‥‥はずである。


 いや、そう考えるのであればミュルも現在は教師としてはいるわけでもあるのだが…‥。






 何にしても、精霊王の下へ行く用事があるといながらも、それらの美少女たちと一緒にいるルースをスアーンは嫉妬していた。


 友とはいえ、やはり見ていてうらやましいものがあり、困るようなことがあったとしても、むしろその立場に立ちたいと思ってしまうのものである。


 ゆえに、その嫉妬があるからこそ、友人として側にいることもあまりなくなり、実は密かに学園内にできている「ルースに嫉妬同盟」とやらに最近加入していたりもするのだが‥‥‥。



「はぁ、何で同じ男なのにこうもモテ度が違うのだろうか」


 溜息を吐きつつ、スアーンががっくりと肩を落としたその時であった。



ドズウウウウウウウン!!


「!?」


 突如として起きた地震のような揺れに、スアーンは驚愕する。


 いや、地震とは異なって、何かこう重いものが落ちてきたかのようなそんな音だ。



「な、なんだ!?」


 ぎっくり腰で腰が痛むのも忘れて、嫌な予感がしながらもスアーンは窓の外を見た。


 そこにあったのは‥‥‥‥。



「か、壁?」


 一枚の大きな、壁のような物体であった。


 のっぺりとした感じで、表面はつるつるに見えるが、何色と言い難いような不気味な色合い。


 そして、その壁は非常に大きく、都市自体を覆い隠せるほどであり、時計塔ベルビックンの高さよりも高いのだ。



 と、そこまで考えていたそんな時であった。



ぐらっつ

「え?」


 なにやら妙な音が聞こえると同時に、その壁が傾く。


 いや、傾いたのではなく…‥‥倒れてきたのだ。



 逃げようにも今の状態では逃げることもできない。


 魔法を使おうとしても、身体がすぐには動かない。


 悲鳴が聞こえる中、そのまま壁は目前へと迫って‥‥‥‥‥




――――――ズウウウウウウウウウウウウウウウウン!!


 都市そのものを、その壁は覆い隠し、いや、潰したのであった‥‥‥‥

……突如、都市を押しつぶした巨大な壁。

そのことにルースたちが気が付くのは‥‥‥

次回に続く!!


……ここの次回予告、スランプ故か今回良いのが思い浮かばなかった。こう考えると、毎回アニメとかで次回予告する人とかすごいな。

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