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133話

さてさて新章開始!

この章では色々とやらかしていきたい意気込みがある。

 夏休みも終了し、グリモワール学園では始業式が行われていた。


 生徒たちは全員集まっているのかと思われていたのだが‥‥‥‥



「…‥‥なんか人数が少ないような?」


 始業式の会場は校庭となったのだが、どうも人数が終業式時よりも少なく感じられた。


「なんでも数日ほど前にどこかで事故があったらしく、馬車が何台も巻き込まれた影響らしいな」


 ルースのつぶやきに、レリアがそう答えた。


「そうらしいわよね。そのせいでその馬車に乗り合わせていた生徒たちがまだ到着していないらしいのよ」


 続けて補足するようにエルゼも話す。



 彼女達が知っているのは、女子特有の情報網で、割と数多くの情報が入ってきているそうである。


 噂として流れているだけで、正確性に難はあるのだが、それでも大体の事は分かったらしい。


「事故って、何があったんだ?」



 多くの馬車が巻き込まれたらしいが、そこまで大事になることなのだろうか?


 現代地球での自動車はともかく、馬車での事故とかは今一つ不明だが‥‥‥


「どうも道路中に穴が開いていたらしいのよ」

「穴?」

「『モドラ』というモンスターがそのあたりを掘削し、通りかかった馬車が次々に陥没する地面に落ちたそうだ」


――――――

「モドラ」

モグラの体と手、蛾の翅と触角、顔をもつ小型のモンスター。

地中に巣を作り、日中は巣を広げるための掘削を行い、夜間は背中の翅を活用して飛行し餌を求める。

手のひらに載るほど小さく、攻撃性もないおとなしい種族だが、どこの地中でも掘削できるという能力を持っているせいで、馬車の通り道が巣の対象とされて地下に空洞ができ、落盤、陥没にはまるなどの被害に遭うことがある。

――――――


 いわば、モグラによる被害とでも考えれば早い話のようだ。



「本当ならば、そんなことになる前に追い払ったりして馬車の通り道が穴だらけになるのを防ぐそうだが…‥」

「どこぞやの貴族が管理していた地域が、どうも甘かったようで今回の事態が引き起こされたらしいわよ」


 何処ぞやの貴族というのはわからないが、今回の被害の事も考え、処罰は免れないであろう。


 そもそもそう言った被害が出ないように国から支援金が出て、馬車道は管理されているのに、この体たらくでは横領の可能性も出てきているそうだ。




 何はともあれ、特に関係ない事だよなとルースが思っていた時であった。


「-----、さーて、こーこで生徒たちに一つ知らーせておーこう」


 いつのまにか壇上に立っていたバルション学園長が、そう口を開いた。




「去年から、我が学園では少々騒がしーいというか、事件が起きーてーいるのは分かーっていーるだろう」


 謎の液体事件、突然出て消えた化け物、決闘騒ぎなど…‥‥そういったことを指してバルション学園長は続けて言った。


「と、まぁ物騒なーことが多いので、魔法が使えーる魔導書(グリモワール)持ちの諸君らも、念のーために少しーは護身術といーうべーきか、魔法無しでーも身を守れる最低限の手段を得てほーしいと思った」



 もしや、学園長直々の特訓を全校生徒に施されるのではないだろうかと、生徒全員に緊張が走る。



「そーこでだ、今学期よーり新たに教師を招き、護身術に関しーての授業を入れーることにした。これは自由選択であーり、強制ではなーい」


 その言葉に、あからさまに「ほっ」という音が大きく聞こえるほど、全員の安どの息が盛れる。



「でーは、来てもーらった教師を紹介すーる!」


 そう言いながら、バルション学園長がその教師へ向け指し示し、生徒全員の注目が向かった。



「‥‥‥ん?」

「え?」

「あれ?」


 その教師の姿を見て、ルースたちは思わずそう声に出した。


 褐色の肌色に合うような色のチャイナドレスのような衣服を身にまとい、身長を伸ばしているように見えるハイヒールを履き、頭にはお団子のように髪がまとめられた女性。


 ただ、その額には少し継ぎ目が見えるけど、修復したらしい角を生やしており、綺麗に整えられたその容姿。



 他の生徒たちは初めて見る姿だが、ルースたちはその姿をした女性に見覚えがあった。


 

「諸君!我が今学期より護身術の授業を承るミュル=ウォーランでアル!どうぞよろ、」


がぶっつ

「っつ!?」


 緊張していたのか、がちがちに固まっていたせいか、その女性は盛大に舌を噛んだようで、口を押えて涙を流していた。



 聞こえた音からものすごく痛そうだと皆が思っている中、ルースたちは驚愕していた。


「み、ミル?」


 それは、忘れもしないというか、かつてこの学園に生徒として潜入し、共に学園長の訓練に耐えていた仲間。


 そして、フェイカーの幹部でもあって、一度はルースの心臓を潰した女性。


 壇上に立ち、舌を抑えて痛がっている女性は、その彼女…‥‥ミル=ウィンとほぼ容姿が同じであった。




まさかまさかの再登場?

かっこつけようとして、盛大に舌を噛む醜態をさらした彼女。

果たして、ミルと同一人物なのだろうか?いや、そうに違いない。

次回に続く!


……何で舌って噛む時があるのだろうか。そのせいで口内炎が出来たりして、痛くなるのが辛い。

ちなみに、本当はモドラじゃなくて別の生き物の予定だった。けれども、こっちの方が穴を掘っているイメージが付くかなと考えたのである。

「他の候補」

オケラ、アナホリフクロウ、某ドリルロボなど

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