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99話

女湯サイド

 ルースが男湯の方で、将来的な不安解消のために「育毛の湯」へ浸かろうとしているちょうどその頃、女湯の方では「美肌の湯」でエルゼたちが浸かっていた。



「ふぅ‥‥‥これでぴちぴちお肌になるのかしら?ルース君も魅力アップしたあたしに襲い掛かってくれないかな?」

「いや、それは流石にないだろうな。というか、私たちの年齢でぴちぴちお肌だし、これ以上なるものなのだろうか?」

「‥‥‥二人とーも、そーれは私に対すーる若さ自慢と受けとーっていいのかしら?」

「「いえいえいえいえいえ!!違います!!」」


 どことなく感じたバルション学園長からの殺気に、エルゼとレリアは慌てて否定した。


 実力で言えば、。ほぼ確実にバルション学園長の方が上であるのだ。





「にしても、美肌効果は良いとして‥‥‥」


 自身の肌に潤いを求めつつ、ふとエルゼはレリアたちを見た。


 正確には、己以上の戦力を持つ胸部を。


‥‥‥バルション学園長はタキとは違った大人の魅力はあり、少々年齢は気にしているようだが、それでもまだまだ年若い肌で、艶があり、どことは言わないが形はいい。



 そして、最大のライバルとなるであろうレリアは、年齢としては互角なのだが、スタイルとしてはエルゼ以上の物を持っていた。


「レリア、よくそんな物があって自由に動けるわね」


 嫉妬の目で見つつ、エルゼはレリアにそう問いかけた。


「ひっ!なんか怖いな」


 何処を凝視され、嫉妬されているのかすぐにレリアは感じ取った。


「え、えっとそうだな。いやまぁ、余り自由でもないんだよね。小さい時は平気だったのに、今となっては揺れて肩に負担が‥‥」

「へぇ?ならばもごうか?いえ、もぎましょうよ?」

「怖い怖い怖い怖い!!」


 ハイライトのない目でがっつり見られ、手をわきわきと動かすエルゼに、レリアは本気で恐怖というものを理解する。


 


 今まで戦姫として動き、数々の戦場などでも恐怖は特になかったのだが、グリモワール学園に留学してから、レリアはいかにしてその恐怖がどの様にして生まれ、そして脅かすのか学んだ。


 だが、ここで恐怖に屈するわけにもいかない。


「も、もがないでほしいな!!もがれたら今のバランスが崩れるし、不自由になるだろう!!」

「で、本音は?」

「女としてルースに見てもらえそうなところが無くなりそうで…‥‥はっ!?」


 ついうっかり、エルゼに誘導され本音を漏らしたレリア。



 だが、気が付いたときには遅かった。


「『魔導書(グリモワール)顕現』!!」


 レリアがとっさに防御するよりも早く、エルゼが攻撃しようと魔導書(グリモワール)を顕現させ・・・・・



「はーい、ストップチョップ!!」


ズビシィッ!!

「きゃん!?」


 すばやくバルション学園長がエルゼの頭にチョップを叩き込んで魔法の発動を阻止させた。


「エルゼさーん、そういうのはやってーはいけまーせん。そもそもここは王都の温泉宿であり、暴れーるような場所ではありませーんよ」


 にっこりと微笑みつつ、学園長はエルゼの返答があるまでチョップを叩き込み続けた。


ズビシッ!!

「痛っ!!分かりましたから」


ズビシシッツ!!

「本気で心から理解しましたから!!」



ズバビシビシッ!!

「やめてくださーーーーーーーい!!」










 たんこぶが30個ほど出来たあたりで、ようやくエルゼはチョップの連打から解放された。



「いたたたた・・・・・・酷いわね学園長」

「こーれも教育指導でーす」


 暴力教師とか色々問題になりそうなものだが、これが加減されていることをエルゼたちは理解している。


 ゆえに、訴えようにも圧倒的な力で潰されるのが目に見えるために、これ以上何も言えないのだ。


「くっ、いつか絶対にバルション学園長に勝ちたいわね」

「自業自得だと思うけどな・・・・・」

「元はあんたのせいでしょうが!!」

「責任転嫁しないでくれないか!!そっちから仕掛けてきただろうが!!」


「‥‥‥ふぅ、喧嘩すーるなーら仕方がなーいわね。『ライトバインド』」




 諦めたような声を出し、魔導書(グリモワール)をいつの間に顕現させたバルション学園長は魔法を唱えた。


 輝く縄が生み出され…‥‥










「‥‥‥何をどうしてそうなったんですか?」

「喧嘩すーるから、まとめーて黙らせたのよ」

「もがもがもがーっ!!」

「むーっ!!むーっ!!」


 風呂上り、偶然にも同時に鉢合わせたルースが見たのは、ぎっちぎちに白く輝く縄で縛られてバルション学園長に引きずられているエルゼとレリアの姿であった。


「学園長、この二人って一応公爵令嬢と帝国の王女なんですが‥‥」

「ふふふふ、生徒だというくーくりでみーているから大丈夫よ。それーよりも、もーう夜分遅いから部屋で早く寝なさーい。この二人はこーうやって動けなくさーれているから夜這いさーれる心配もないからね」

「もがーっ!!もがーっ!!」

「むーーーーーーーっ!!」



 笑いながらエルゼたちを引きずっていく学園長。


 助けを求めるような目でエルゼたちに見られたルースであったが、相手が悪いので心の中で合掌し、見なかったことにしてあげるのであった。



「‥‥‥あれ?そういえば縄でぐるぐる巻きだったけど、風呂場で縛ったのなら着替えとかは?」


 ふと考えたその疑問だが、気にしないことにするのであった。


さてと、次回は閑話で、次に新章へ。

そろそろ大事なところも出てくるかな?

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