表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
105/339

95話

謁見シーンって書きなれないなぁ‥‥

 謁見というものは、基本的に国王との会談のようなものである。


 何かあったら報告したり、相談したり、解決策を練ったりなど、細かく分ければ様々な内容になる。




 その中でも、今回は報告という分類に入るようである。


 あの屑貴族もとい元バズカネェノ侯爵家との決闘の際に出た怪物とか、その対応した方法とか、召喚魔法で国を滅ぼせるモンスターを呼べたことなどが、今回問われるそうなのだ。



「とはいえ、やっぱり正装は慣れないな‥‥」


 今、ルースが着用しているのはびしっとしたスーツのような正装。

 

 いつもの普段着の方が気が楽なのだが、流石に国王との謁見時には正装がきちんと義務付けられており、慣れない分、あとですごい疲れそうである。


 

 それに対して、バルション学園長はいつもの学園長の服よりも上質なものにしており、なんども城に来ているせいか余裕たっぷり。


 エルゼはやや控えめなドレスにしながらも、こちらも貴族ということだけあって、余裕を持たせていた。


 レリアの方は‥‥


「こういう場はどうも苦手なんだよな‥‥‥ドレスよりも鎧が着たいな」


 戦姫と呼ばれて、それでいて帝国の王女でもあるのだが、こういう公の場での正装のドレスを着るのは慣れないものらしい。


 ‥‥‥エルゼと似たようなドレスをしているはずなのに、一点だけかなり違っているのだが、これを言えばほぼ確実に殺される未来が見えるので黙っておこう。




―――――妖精用ミニマムサイズガアッテヨカッタ。


 ポケットから出て、フヨフヨ飛んでいるバトがそうつぶやいた。


 彼女が来ているドレスは、エルモア先生がいつの間にか作っていたものらしく、ここへ来る前に実は渡してくれたのだ。


 まぁ、何処か人形用の小さな衣服にしか見えないけど、似合うから良しとしよう。









王城を守る騎士たちに案内され、ルースたちが入ったのは謁見室。


 重要な報告などをする場所でもあるが、この国の国王、ハイドラ=バルモ=グレイモがいるからこそ、厳重な警備がされているようで、騎士たちがずらりと並んでいた。


 その周囲には国王の重臣たちと思われる人たちが立っており、そしてその向かう先には、玉座に座った国王の姿があった。




 前へ進み、国王の少し手前ぐらいで、ルースたちは片膝をついて礼をした。



 こういう時は、きちんとした礼儀作法を行うのである。




(‥‥しかしな)


 ルースは内心、この国王を見て思ったことがあった。


 国王と聞けば、威厳ある感じに見えるのがイメージできるであろう。


 だがしかし、この目の前にいる国王は威厳がない。


(というか、これってチャラいとかいう格好じゃないか?)



 いい年したおっさんのはずなのに、地毛ではなく染めたと分かる金髪に、見た目がどことなく派手で、悪趣味ではないが、それでもお世辞にも似合っているとは言えないようなスタイルである。


 チャラいという言葉は正確に言うと言動が軽薄な人とかを指すそうなのだが、この国王の見た目がまさに軽薄そうにしか見えないのだ。


 威厳どこ行ったこの国王。



 しかも、前々から聞いていた噂によると、正妃の王子1人、王女1人と側室の王子2人、王女1人であるとされてはいるが落胤‥‥つまり、隠し子もかなりいるそうで、貞操観念とかもゆるそうである。


 大丈夫なのかこの国。



 ルースは少々心配になったが、国が傾いていないことからそこまでの愚王ではないのは理解できた。


 まぁ、そもそもそんなチャラい国王が真に愚王であれば、とっくの前に貴族の娘を要求したり、バルション学園長に言い寄って消し炭にされていそうだからね‥‥




「‥‥別にそこまでかしこまらなくてもよい。頭を上げよ」

(あ、案外声はまともだ)



 見た目とは裏腹に、その声は厳格さがあり、ギャップがかなり感じられた。


‥‥‥もしかして、落胤とかが多くいるとされているのは、このギャップに萌えとかそういうのを感じた女性たちが言い寄っているのではないだろうか?







 それはともかく、今回の謁見の理由となった、決闘での怪物についての話題に入り、ルースはありのままに語った。


 時折、少し不足しているように感じられたのであれば、より細かい部分をエルゼたちが語り、情報の正確性を上げる。


 そして、召喚したモンスターの話題にも触れた。


「国を大昔に滅ぼしたモンスターと信頼関係にあり、召喚が可能だと聞いたが、今この場でそのモンスターとやらを召喚できないかね?」

「国王陛下!!この場でですか!?」


 国王の言葉に、側近の人達が驚いて声をあげる。



「むろん、危害を加える気はないと保証できればの話だが‥‥」

「‥‥分かりました」


 万が一の場合はあるけれども、信用はしてくれているようなのでルースはタキを召喚する手はずを整え始めた。



「『魔導書(グリモワール)顕現』」


 まずは魔導書(グリモワール)を出すと、顕現されたその金色に輝く黄金の|魔導書に対して、周囲は驚愕の目になった。


 今までに確認されているどの魔導書(グリモワール)の色にはなく、話しをしたとは言え実際に見ると衝撃があるのだろう。


「そして『召喚タキ』!!」



 召喚魔法を唱えると同時に、あらかじめ召喚場所に指定され、相手いた場所に、巨大な九尾の狐の姿のタキが召喚された。



【‥‥‥ふむ、ここが王城内かのぅ】


 タキがそうつぶやくが、周囲は驚愕の状態で顎が外れた人まで出た。


 そりゃ、召喚魔法でいきなりタキの姿を見たら驚くであろう。


「タキ、一旦人の姿を取ってくれないか?その状態だと天井があって狭いだろ?」

【うむ、召喚主殿の案なら従うのじゃ】


 そう言い、タキはいつもの着物を着た美女の姿に変化した。



 モンスターから美女に変化したことで、さらに驚き過ぎてもうぶっ倒れた人まで出てしまったようである。


‥‥普通はこのような驚愕が正しいのかもしれないけど、もう慣れたルースたちは平然としていた。


 ふと国王を見てみれば、流石に驚いたのか目を見開いていたが、それでも王としてきちんと驚愕から立ち直ったようである。



「な、なるほど‥‥話には聞いていたが、やはりすさまじい力を持つモンスターのようだな」

【ふむ、お主がこの国の王か。初めまして、我が名はタキじゃよ】


 国王を見て、タキはお辞儀をしながらそう言った。







 その後、タキも交えて決闘での怪物騒ぎの全容を話し、謁見は終了した。


 特にこの力などについては言及もされず、ただ報告しに来たという感じだったに等しいだろう。





 タキの召喚を解除して送還した後、ついでにある行事に招待されることになった。


 どうやら今晩王城で晩餐会が開かれるようで、名目上はこの決闘での屑追放お祝いパーティらしい。


 どうもあのソークジ含むバズカネェノ侯爵家は、他の貴族たちから見ても相当な屑だったようで、いなくなって良かったようなので祝うのだとか。


 で、その際に追い出すための功労者としてもルースは招待されたのであった。



「‥‥さっさと帰りたいけど、こういう時って欠席したら何か言われそうだよな」

「まぁまぁ、精々一晩だけですし、ゆっくり楽しむと良いわよ」

「宿もきちんととっているし、宿泊は問題ないぞ」


 エルゼとレリアに言われたが‥‥出ないわけにもいかなさそうであるし、楽しむように努力すればいいか。












「‥‥‥まぁ、本当はその宿泊がメインよね」

「それが目的だろうと思ったぞ。ただな、この晩餐会でルースに対して将来的な有望株だと思って狙うやつが出るのが間違いないだろうな」

「うん、それは言われずともわかってはいるわ。その為にも、あたしたちもきちんと対策を練らないとね」


「‥‥こういーう時は協力しあーうのね」

―――――昨日ノ敵ハ今日ノ友、今日ノ友ハ明日ノ敵ッテ事ニモナルカナ?


 ルースがどの様に楽しむか考えている最中に、聞こえないようにひそひそと話し合うエルゼとレリア。


 その様子を見て、バルション学園長は呆れたように肩をすくめ、バトは自分もその話し合いに加わろうとするのであった。



晩餐会、それはあの屑追放お祝いパーティである。

とはいえ、その屑が滅亡するきっかけになったルースは他の人には見過ごせないものである。

その為、寄り付く輩を考え、エルゼとレリアが手を組む。

次回に続く!!


‥‥‥晩餐会後の宿泊が一番危険なイベントのような気がするけどね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ