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91話

毎度おなじみ、後始末の時間です

「‥‥‥ここは」


 ふと、ルースが目覚めると、そこは病室であった。


 どうやらあの決闘場から運び込まれたようである。



 個室のようであり、窓から朝日が入ってきているのを見ると一晩経ったのかもしれない。


 左腕に違和感を感じ、見てみれば何重にも厚くされたギプスがはめられていた。


 しかし、痛みは感じない。


 薬が効いているのか、はたまたは痛みを痛みと感じないほど神経とかがやられているのか・・・・・・



 できれば前者の方であってほしいと、ルースは思った。


 いや、薬で押さえていたとして、切れたらすっごい激痛の可能性を考えるとそれはそれで嫌である。








 と、しばらくすれば部屋の扉があき、見ればエルゼたちが入って来た。


 そして、起床して体を起こしているルースを見て目を見開き・・・


「よかったルース君が目覚めたぁぁぁぁぁ!!」


 涙を流しながら、全力疾走で駆けてきた。


・・・・・が、つるっと足を滑らせた。



 どこかで見たことがあるような、というか以前はタキであったようなパターン。


 デジャブのようなものを感じつつ、そのままエルゼが宙を飛んで・・・・



ドガッツ!!

「ぐえっつ!?」


 手を広げていたので、見事なラリアットがルースの首に直撃したのであった。


 もう嫌だこのパターン。











「‥‥‥で、結局俺のこの状態はどうなんだよ?」

「魔法でなーんとかなって、少なくとも義手を回避でーきたね」


 ラリアットの一撃から回復した後、続けて入室してきたレリアやタキ、バルション学園長たちからルースは今に至るまでの状況説明を受けた。


 なお、エルゼはラリアットをかましてしまったショックから、隅っこの方で体育すわりをして落ち込んでいる。・・・・・なんだろう、被害者側なのにこの重い感じは。




 とにもかくにも、あの決闘騒ぎからすでに3日経っていることが判明した。


 それだけ長く寝ていたということにルースは驚いたが、原因としては・・・・あのタイタニアだった怪物を倒す際に全力を出した反動と、今の左腕の治療で体力を使ったのが考えられるそうだ。


「なにしーろ、かなーり酷い状態だったかーらね。神経断裂、筋肉断裂、56%以上損失・・・・・正直言って、義手に切り替えたほうがいんじゃなーいかとまで言われたよ」

「そんなにひどい状態だったのか!?」


 あのタイタニアだった怪物の中で左腕から溶かされていたようで、骨まで見えている状態だったらしい。


 魔法があるこの世界とはいえ、流石に医療技術は神レベルというわけでもなく、腕を切り落としたほうが良いのではないかと言われるほどひどかったらしい。


 だけど、懸命な治療のおかげで何とか文字通りつなぎとめることができたようなのだ。


「まぁ、入院期間としーては冬休み中にーなっーたけどね。リハビリを含めてだーし、休み潰れたねー」



 腕が残ったとはいえ、リハビリとかが必要らしく、冬休み中ずっと病院暮らしが決定してしまったようでらう。


 その事を聞き、休みがつぶれたことにルースはショックを受けた。








 とりあえず、その他にあったと事としては、あのバズカネェノ侯爵家の当主になっていたソークジの事である。


 どうやら、決闘場に身元不明の代理人の選出及び、それが怪物と化して周囲を危機的な状況に追い込み、その上貴族としてあるまじき醜態などもその場にさらしまくったことから、非常に重い処罰が下されたようだ。


「なんというか、とんでもない馬鹿と屑の塊でもあったからなぁ」

「いろいろと、他の貴族にもやらかしていたようなのよね」


 レリアと立ち直ったエルゼが説明した。


 なにやらあのソークジもとい屑は、他の貴族たちの娘を狙っていたらしい。


 この決闘に置いて代理人が勝利を収めれば、そのような者を引き込めたという実績で注目を浴び、力を欲するような他の貴族家からの娘が縁をつなぎに来るようになるとも考えていたそうだ。


「え?てことはつまり、あの屑は結局老け専とかじゃなかったのか?」

「そーこに驚愕かね。まぁ、ストライクゾーンがひーろかっただーけらしいよ」


‥‥‥ある意味、そこが今回一番驚くべきところなのだろうか。



 なお、他にもその事で自分を誇示して、繋ぎに来ないような貴族家にも手紙を出して、自分はこれで出世するので、娘を出してくれればいいようにしてやるなど、屑の所業をやらかしていたそうだ。


 エルゼのミストラル公爵家にも来たようだが、当然現当主はそれを一蹴し、他の貴族たちも一蹴した。


 それどころか、明らかに挑発しているので全員で手を組み、この際排除することに決定したようだ。


【そして、そこに我がトドメを刺したんじゃよね】

「え?」


 今回の件に置いて、最も重大視されたのはタイタニアの怪物化。


 それの原因が、どうもフェイカーのせいであり、バズカネェノ侯爵家と取引をしていたということになり、超・問題視されたのだとか。


 そこにタキが「あれは完全にフェイカーが創り出した怪物だ」と証言し、ほぼ明確にフェイカーの関与が確定したようである。



 何しろ、タキは国を滅ぼしたことがあるモンスター。

 

 今回の一件で、バルション学園長はそれを公表し、その上タキ自身が証言したものだから覆しようのない事実である。


 国と敵対し、排除対象でもある反魔導書(グリモワール)組織フェイカーとのつながりが見えた時点で、バズカネェノ侯爵家は終わりが見えたらしい。


「その他にも、汚職、学生時代の不正、当主の座を譲り渡された後のずさんな領地の管理経営実態等、様々な事が出てきたものだから・・・・・」

「当然、処罰は厳しくされたわ」



 流石にそのまま貴族を潰すと、残された領地の管理が大変なので、ここは一旦バズカネェノ侯爵家を潰し、別の貴族家として遠縁の親戚が引っ張り上げられたそうだ。


 そして、ソークジは貴族籍剥奪の上に、フェイカーとの繋がりから拷問行きになったそうだ。


 まぁ、どうせたいした情報も期待できないので、その後は鉱山送りとかの無期限永久労働の刑に処されるらしい。


 取りまきたちは関与は特にしていなかったそうだが、止められそうな立場なのに実行せず、そんな屑にくっついていたせいで今後の貴族としての生活は白い目で向けられ、難しくなるようだ。


 で、マリアーンヌとかいう人は別件で罪があったらしい。


「どうも結婚詐欺の常習犯だったらしいぞ」

「あれでか!?」


 お世辞にも美しいマダムとか言えないし、むしろかなりふてぶてしいおばちゃんのような見た目だったが・・・・あれで結婚詐欺の常習犯か。世の中ってわからないものである。


 今回の決闘場の場で姿を現し、以前被害を受けた方が気が付き、衛兵たちによって捕縛されたようだ。


 

 なお、当然のことながらリディア=バルモ=エーズデバランド・・・・・リディアさんの婚約は破棄された。


 それどころかなかった事にされ、彼女の経歴には傷がないようにされたそうだ。


「まぁ、ルース君にこうなったのもあなたのおかげよとかいうお礼があったから、入院費用の全額負担をしてもらっているのよね」

「ありゃ・・・・それはなんか申し訳ないな」

「良いのよルース君。元々関係ない他人でもあったし、そんなに気にすることもないのよ」


 にこにこというエルゼ。


 なんとなく、聞いてはいけないような雰囲気が一瞬出たが、まぁ、気にしないでおこう。




 とにもかくにも、これでやっと面倒ごとが終わりを・・・


「と、そうは簡単にはいーかないのよね」

「‥‥‥まぁ、分かってました」



 

 今回の決闘で、タイタニアを消し去ったのはいい。


 けれども、これで完璧にルースについての事がばれたようであり、それについての言及が待ち構えているようである。


「とーはいえ、馬鹿をやらーかせば屑の二の舞といーうのは分かっているよーうだし、当分は仕掛けてーくるようーな人たちはいなーいはずよ。まぁ、それを踏まーえて、国王陛下から、退院後謁見するようにきたーわ」


 バルション学園長の言葉に、ルースはうなだれる。


 分かっていたこととはいえ、まだまだ面倒事から解放される様子はない。


「謁見って、何をすればいいんでしょうかね・・・・」

「国を滅ぼせるモンスターの使役に関しーてや、そーの金色の魔導書(グリモワール)に関しーての事、そしーてタイタニアを葬り去ったあーの力など・・・・・まぁ色々ね」


 どう考えても、問題が山積みとしか思えないのであった‥‥‥‥

‥‥‥国王との謁見決定。

さてと、国に囲われるのか、それともどう扱われるのか。

とにもかくにも、面倒事は続くようであった。

次回に続く!!


‥‥‥なお、リディアに関してちょっとまだ捨てがたい。このまま残して新たなヒロイン枠に入れ込むべきか・・・・でも学園が違うしなぁ。

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