「ドラゴンタトゥの女」
現代アメリカ最高の映画監督デイヴィッド・フィンチャーの現時点での最高傑作と言ってよい。
去年観ていたら、年間一位に選出していたかもしれない。
ただ暴力とエロスが激しく、一種のホラー映画ともとらえられるので、激しい作品、残酷な作品が苦手な人は読まないで下さい。
この作品はヨーロッパ中を夢中にさせた推理小説「ミレニアム・ドラゴンタトゥの女」のハリウッド版である。
ミステリとしても、人間ドラマとしても素晴らしく、エンターテイメントの面白さもあり、映画としての芸術性や前衛性があり、それでいてラストの方では感動の涙が流れた。
だいたいデイヴィッド・フィンチャーは音楽のプロモーション映像から映画にやって来て、私は主要作はほとんど観ている。
ポール・トーマス・アンダーソン、アレクサンダー・ペインなどとだいたい同世代でライヴァルと思うが、彼らが世界の映画祭やアカデミー賞で認められているのに比べて、アカデミー賞会員に嫌い抜かれているようである。
「ベンジャミンバトン」というブラッド・ピット主演の感動作を作った。その時はフィンチャーもアカデミー賞を狙っていたと思う。しかし「ノーカントリー」「スラムドッグミリオネア」など強力作品と同じ年だったためだろう。
アカデミー賞は惨敗だった。
そしてこの「ドラゴンタトゥの女」
本当の天才が力をセーブしない時の神々しさすら感じる。
これはフィンチャーから映画界への、いや俗世間への宣戦布告である。
ノミネートはされているがアカデミー賞からは無視されるだろう。
しかしこういう傑作が残ったことは映画史に刻まれる。
年間ベストワン候補!




