銀歯の下に地獄が眠っとるんや!—歯医者嫌いが地獄の門をくぐるまで—
数カ月前や。
銀歯がポロッと欠けてん。
でも痛ないから「まぁええか〜」って放置してたら、月日が経つにつれて……しみる、しみる!
なんやこれ、歯が四季を感じとるんか⁉
ほんでワシ、歯医者が大っっっ嫌いやねん!
「キュイーン!」て音聞いた瞬間、口から魂がシュワ〜っと逃げ出すねん!
「ガリガリ」って削る音も、あれもうホラー映画や!
なんで歯医者だけ、BGMがサスペンスなんや!
そのたびに命がけや!
歯医者行くたびに、ワシ、寿命ちょっとずつ削られてんねん!
先生が「痛かったら言ってね〜」言うけど、言うたらどうなる?
「はーい、じゃあちょっと我慢してね〜」って続行や!
なんのための“言ってね”やねん! 地獄のフルコースや!
気づいたら指に力入りすぎて、パー出してんねん!
気を練ってるんか、ワシは!
歯医者で修行してどうすんねん!
で、今日ようやく銀歯が被さって、「やっと終わった〜」思たらや……開いたんや。
地獄の門が‼
痛いねん! 前より痛いねん! なんでやねん!
冷たいもんも熱いもんも、全部しみる!
……歯がグルメになっとるんか⁉
麻酔で気づかんかっただけやったんか!?
神経取っとけばよかったんか!?
でも先生は「問題ない」言うてたやんか〜!
もうええ! 再診や! ワシの歯、まだ終わってへんねん!
銀歯の下に、地獄が眠っとるんや!
歯の闘いは続くんや!
人生は歯との戦いや!
――って、誰がそんな人生望んだんや!
【了】




