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【超超超短編小説】ひどいひと

掲載日:2025/12/21

 原子爆弾が落とされて廃墟になった街で、ひとり生き残った男が瓦礫の中で立ち上がり、最初に発したそれがロックだと言う。

 その言葉にならない言葉は、惨めで不細工で友達の居ない孤独な奴の救いとなるだろうか。

「とにかくイギー・ポップみたいな奴は死ぬべきだ」

 だってそうだろ?

 ジェームス・キャメロンだってそうさ。原子爆弾にそんなロマンチックなイメージを持つなら自爆すればいいんだ。


「あなたは酷いひとね」

 ロックンロールが死んだ国の女は言った。

「君は林檎を持っているね」

 俺は韻を踏んで返す。

 女は気怠そうに笑って林檎を齧る。

 水密が垂れて女を汚したけれど、既に女はミートソースで汚れていたから、またさらに少し汚れが増えただけだった。


 だから何も変わったりしない。

 その女が実際に汚される事は無い。

 正確には実際の俺に実際のミートソースをかけられる事は無い。だからロックンロールが死んだ国の彼女たちは、俺に汚される事が無い。

「亡き女想えば即ち金の鹿なりて胡蝶に酔ひし醒めぬ夢の魔に間に俯いて泣く」

 そう言うことさ。

「それはあなたの希望なの?」

 白い女が尋ねる。これで千回目だ。

「救いと希望はまた別だよ」

 そう、俺は救われたいけれどそれは俺の希望では無い。

 何故なら彼女たちは俺を愛する事がないし、だから俺は安心して彼女たちをミートソースで汚す空想ができる。


「それであなたは救われるの?」

「いや、ますます遠ざかるだけだ」

 そうだ、誰もが遠くにいる。

 同級生や店長や上司のミートソースで汚されたはずの女たちは綺麗な姿で微笑む。

 綺麗な姿で微笑む。

「それは棚に並べられた女と何が違うの?」

 俺は林檎を手に取る。

「だから追放されたのさ」


 夜が終わった。

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