⭕ 村落
──*──*──*── 村落
洲導彩榎
「 ──此処が≪ 村落 ≫なんだ。
ニュイちゃんのお蔭で予定より早く着けたね!
有り難ね、ニュイちゃん 」
ニュイ
「 にゅ~(////)」
サッカーボールのサイズに小さくなったニュイちゃんを抱っこして、アタシは≪ 村落 ≫の中へ入った。
洲導彩榎
「 ニュイちゃん、今日は此処で1泊しよう 」
ニュイ
「 にゅい 」
洲導彩榎
「 えぇと──先ずは宿屋を探さないとだね 」
ニュイ
「 にゅ~~い 」
洲導彩榎
「 えっ?
教会に向かうの? 」
ニュイ
「 にゅ。
にゅにゅ~~ 」
洲導彩榎
「 救世主は教会で宿泊させてもらえるの? 」
ニュイ
「 にゅ~~ 」
洲導彩榎
「 マジか~~。
宿屋代を節約出来るね、ニュイちゃん! 」
ニュイ
「 にゅ! 」
そんな訳で、アタシはニュイちゃんを抱っこしたまま教会を探す事にした。
──*──*──*── 教会・前
洲導彩榎
「 此処が教会──。
何か……ボロいね、ニュイちゃん…… 」
ニュイ
「 にゅにゅ 」
洲導彩榎
「 えっ?
名乗る名前を決めるの? 」
ニュイ
「 にゅ~~ 」
洲導彩榎
「 う~~ん……。
“ 救世主アミカ ” じゃ駄目なの? 」
ニュイ
「 にゅにゅ 」
洲導彩榎
「 救世主……救世主…………スドゥ……うん!
洲導……すどう……スドウ……スドゥ──。
“ 救世主スドゥ ” って、どうかな? 」
ニュイ
「 にゅにゅ! 」
救世主:スドゥ
「 あはは(////)
自称も “ 私 ” から “ 僕 ” に変えてみよっか? 」
ニュイ
「 にゅ~~ 」
救世主:スドゥ
「 えぇと──、じゃあ、今から男の子っぽく演じないとね? 」
ニュイ
「 にゅにゅ 」
救世主:スドゥ
「 でもでも──、いきなり『 救世主です。泊めさせてください 』なんて言って部屋を貸してもらえるのかな?? 」
ニュイ
「 にゅ~~ 」
救世主:スドゥ
「 大丈夫なの? 」
何で “ 大丈夫 ” なのか分からないけど、ニュイちゃんを信じてみようかな?
アタシはニュイちゃんを信じて、教会の中へ入った。
──*──*──*── 教会・中
救世主:スドゥ
「 ──あっ、石像が有る!
妖精の羽根を生やしたキノコ! 」
ニュイ
「 にゅ~~ 」
救世主:スドゥ
「 えぇと──、石像を見付けたら『 “ 勇気の魔法 ” を使え 』って手紙に書いてあったよね?
石像に “ 勇気の魔法 ” を込めるんだっけ?? 」
ニュイ
「 にゅにゅ~~ 」
救世主:スドゥ
「 ………………一致ょやってみる?
あの石像みたいに綺麗な像に変わるかも知れないし? 」
ニュイ
「 にゅ~にゅい! 」
救世主:スドゥ
「 よし、試してみよう! 」
ニュイちゃんを床に下ろして、アタシは美的センスを疑う石像に両手を当てる。
恥ずかしいけど半信半疑で「 勇気りんりん♥️プリズムパワー 」とも唱えてみた。
アタシの左右の甲が光って優しい緑色の光が放たれて輝く。
両手の甲には見慣れないマークが現れる。
救世主:スドゥ
「 なんて綺麗…………。
これが “ 勇気の魔法 ” …………凄い──っ!! 」
光が消えて石像から両手を離す。
感激しているアタシの目の前に1枚の手紙がヒラヒラと落ちて来る。
何処から落ちて来たのか分からないけど、手紙はニュイちゃんの頭の上に落ちた。
ニュイ
「 にゅい~~ 」
ニュイちゃんはピョンピョンと飛び跳ねてはしゃいでいる。
可愛い~~なぁ~~もぅ♥️♥️♥️
ニュイちゃんの頭に乗ってる手紙を取って、封筒を見てみる。
救世主:スドゥ
「 ……………………『 救世主スドゥ様へ 』って書かれてるのに差出人の名前は書かれてないね。
──って言うか、何でアタシが “ 救世主スドゥ ” って名乗る事にしたのを知ってんの??
怖いんですけどぉ~~!! 」
ニュイ
「 にゅ~にゅ。
にゅ~~にゅ~~ 」
救世主:スドゥ
「 そうだね。
中を見てみよっか。
悪戯だったら犯人探ししないとね! 」
封筒を開けて中を見ると便箋が入っている。
便箋を広げると文字が書かれていた。
救世主:スドゥ
「 また日本語だ。
どうやらこの手紙もアタシ宛みたいだね。
何々ぃ~~ 」
アタシは便箋に書かれている内容をニュイちゃんにも分かる様に声に出して読んでみた。
─・─・─・─・─・─
拝啓、救世主スドゥ様。
さっそく2体目の石像を見付けたんだね。
貴殿は優秀な救世主のようだね。
凄いぞ★
〈 大陸神コビダエニカの御遣い様 〉の石像は、砂糖林檎の大樹に実る砂糖林檎から作った砂糖粉を使い、妖精族が作り出した砂糖菓子だ。
“ 砂糖菓子 ” だからって舐めたり食べたりしたら駄目・だ・ぞ★
砂糖粉は生物にとって有毒なんだ。
舐めたり食べたりすると死ぬから、呉々も注意するように!
触っても大丈夫だけど、ちゃんと石鹸で手洗いするんだよ。
因みに≪ コビダエニカ大陸 ≫にも妖精族は居るよ。
但し、砂糖菓子を作った妖精族の末裔ではないから、忘れないでね。
≪ コビダエニカ大陸 ≫に生息している妖精族は、砂糖林檎の存在を知らないから聞いても無駄だよ。
ちゃんと正しく “ 勇気の魔法 ” を使えたね。
恥ずかしいかも知れないけど、「 勇気りんりん♥️プリズムパワー 」は寿命を対価として消耗しない為には必要な事なんだ。
ちゃんと声に出して唱えるんだよ。
早死にしたいなら無詠唱で “ 勇気の魔法 ” を使いなさい。
さてさて、此処からが本題です。
石像に “ 勇気の魔法 ” を込めてくれたのは嬉しいんだけど、残念ながら “ 勇気度数 ” が足りません。
“ 勇気度数 ” を上げてから再挑戦しよう★
“ 勇気度数 ” の上げ方は、勇気を出せない悩める人に、“ 勇気の御裾分け ” をしてね。
“ 勇気の御裾分け ” をする時は「 勇気りんりん♥️ファンタジーパワー 」と声を出して唱えるんだ★
石像には必要な “ 勇気度数 ” を表示しとくから、それを目安にして “ 勇気度数 ” を上げよう❗
─・─・─・─・─・─
救世主:スドゥ
「 はぁぁぁぁぁぁぁあん??
勇気度数が足りないぃぃぃぃぃぃ??
再挑戦しろだぁ?!
勇気の御裾分けぇ??
初耳なんですけどぉ!! 」
ニュイ
「 にゅ~~にゅ? 」
救世主:スドゥ
「 ニュイちゃん、この内容、あんまりだよね!
酷いと思わない!? 」
ニュイ
「 にゅい~~ 」
アタシが封筒を振ると──、ポトって床に便箋が落ちた。
救世主:スドゥ
「 ──2枚目??
何が書いてあるんだろう?
ニュイちゃん、2枚目を読むね 」
ニュイ
「 にゅ~~ 」
アタシは拾った便箋を広げると声に出して読んでみる。
─・─・─・─・─・─
2枚目では、“ 勇気の御裾分け ” について説明するよ★
可能な限り “ 質の高い勇気を御裾分け ” する事を心掛けよう!
発動者の “ 共感性の高さ ” と相手との “ 信頼度の高さ ” が重要だよ!
より高質な “ 勇気の御裾分け ” をする為のポイントを教えちゃうよ★
“ 勇気 ” を御裾分け ” をする前に貴殿がすべき事を教えよう。
共感性を高める事。
信頼度を上げる事。
先ず、共感性を高める為にする事は──。
① 勇気を出せない悩める相手と打ち解ける事だ。
② 打ち解ける事が出来たら、悩める相手と仲良くなろう。
③ 仲良くなったら、相手から信頼を得よう。
信頼を得られたら悩みを打ち明けられるよ★
④ 相手に寄り添って、悩みを聞かせてもらうんだ。
⑤ 親身になって相談を受けよう。
相談をされると相手との信頼度が高まるよ★
順調に① ~ ⑤まで進んだら、“ 質の高い勇気 ” を悩める相手に “ 御裾分け ” をする事が出来るんだ。
相手との信頼度が高ければ、心のこもった「 ありがとう 」を受け取る事が出来るよ★
「 ありがとう 」の数が “ 勇気度数 ” になるんだ。
沢山の「 ありがとう 」を受け取って “ 勇気度数 ” を上げよう❗
─・─・─・─・─・─
救世主:スドゥ
「 クエストかよ!?
はい、無理ゲーwwwwwww。
見知らぬ相手と打ち解けて仲良くなるとか完全に無理無理ゲーwwwwwww。
他人と関わるのが面倒って思ってるコミュ力の低い私には無理無理無理ゲーwwwwwww。
どうしよう、ニュイちゃん………………怪物を倒してLV上げしてる方が数億倍も気楽な感じがするんだけどぉ!! 」
ニュイ
「 にゅにゅ~~ 」
救世主:スドゥ
「 信頼度を高めるとか、共感性を高めるとか出来ないよぉ~~~~!!
これじゃあ、何時まで経っても “ 勇気度数 ” なんて上げれないよ…… 」
ニュイ
「 にゅ~~にゅ 」
救世主:スドゥ
「 ハードぉ~~~~。
鬼ハードモードぉ~~~~。
救世主なんて辞めたい……。
ねぇ、ニュイちゃん………………救世主を辞めたら駄目かな? 」
ニュイ
「 にゅ~~ 」
アタシは便箋を手に持ったまま途方に暮れる事になった。
もっと簡単に “ 勇気の御裾分け ” が出来たら良いのにぃ!!
◎ 訂正しました。
“ 信頼度との高さ ” ─→ “ 信頼度の高さ ”