⭕ 洗礼,祝福,聖女の魔法
──*──*──*── 聖堂
準備が整ったらしくて、カテーナさんが応接室に呼びに来てくれた。
カテーナさんの後ろを歩いて、祭壇と石像の有る部屋──聖堂に入る。
ズラッ──と並んでいる長椅子には大勢の村人達と聖職者達が腰を下ろして座っている。
村人は洗礼を受ける救世主の様子を見学しに来たのかな??
聖職者:カテーナ
「 救世主様、〈 大陸神コビダエニカの御遣い様 〉の石像の前に御立ちください 」
洲導彩榎
「 はい── 」
アタシは〈 大陸神コビダエニカの御遣い様 〉の石像の前に立つ。
〈 大陸神コビダエニカの御遣い様 〉の石像はウインクをしていてピースしている。
まるで戦闘終了後の決めポーズみたい。
因みに蜻蛉みたいな羽根は、虹色に輝く “ 妖精の羽根 ” なんだとか。
妖精の羽根を背中に生やした怪しいキノコの生物を〈 大陸神コビダエニカの御遣い様 〉として作った職人の美的センスを疑いたくなる。
神聖な像に対して、おふざけ過ぎてな~~い??
〈 大陸神コビダエニカの御遣い様 〉の石像の前で洗礼を受けたけど、実に簡単な洗礼式だった。
アタシは石像の前でニュイちゃんを抱いたままの状態で両目を瞑って立ったまま──。
「 これより、救世主様の洗礼式を始めます 」って宣言したカテーナさんは、祭壇に上がると持っていた薄っぺらい本を開いて書かれている内容を読んでいた。
途中から他の聖職者達や見学者達も一緒に声を出して、祈りの言葉を唱え始めて──。
またカテーナさんが1人で薄っぺらい本を読み始めて、最後に聖職者達,見学者達も一緒に言葉を出して祈りを始めた。
洗礼が終わった後は、〈 大陸神コビダエニカの御遣い様 〉の石像の前に両膝を付いて、胸の前に両手を合わせて合掌をした。
教会って合掌して祈るんじゃなくて、指を組んで祈るんじゃなかったっけ??
異世界だから違うのかな??
カテーナさんが「 〈 大陸神コビダエニカの御遣い様 〉──、異世界より召喚されし救世主様へ祝福を御与えください 」って祈りを捧げてくれた。
そんな訳で現在に至るんだけど──、「 洗礼式って言っても特に変わった事は起きないんだな~~ 」って心の中で思っていた。
そしたら、石像の方からパキパキと音が聞こえて来たの。
ニュイ
「 にゅにゅ~~♪ 」
ニュイちゃんがやけに嬉しそうにテンション高げにはしゃいでいる。
危険は無いみたいだね。
石像の表面がパラパラと床に剥がれ落ちて行く。
石像だった〈 大陸神コビダエニカの御遣い様 〉は虹色に輝く綺麗な本体を現したの。
洲導彩榎
「 何…………これ…………??
すっごく綺麗── 」
ニュイ
「 にゅにゅ~~♥️♥️♥️ 」
聖職者:カテーナ
「 こんな事が起こるなんて── 」
洲導彩榎
「 石像じゃなかったんですね 」
聖職者:カテーナ
「 〈 大陸神コビダエニカの御遣い様 〉は砂糖粉で作られた砂糖菓子だと言い伝えられていましたが──、本当だったのですね。
今はもう根絶してしまった砂糖林檎の大樹から採れる砂糖林檎から作られた砂糖粉を使い、妖精族が作られた世にも美しい砂糖菓子── 」
洲導彩榎
「 砂糖菓子って事は食べれるんですか? 」
聖職者:カテーナ
「 いいえ、“ 菓子 ” と呼ばれていますが、食べれはしません。
救世主様──、全身が光りに包まれています 」
洲導彩榎
「 えっ?? 」
ニュイ
「 にゅにゅ 」
洲導彩榎
「 これが祝福なの? 」
ニュイ
「 にゅ! 」
洲導彩榎
「 これで私も魔法を使えるって事だね?
聖女の魔法を授かったんだ! 」
ニュイ
「 にゅい~~ 」
???
「 救世主・洲導彩榎よ。
〈 大陸神コビダエニカ様 〉の祝福を持って、汝に “ 勇気の魔法 ” を授ける。
“ 勇気の魔法 ” を駆使し、超魔王より囚われし〈 皇 〉を解放せよ。
我、汝の後ろ楯とならん──── 」
洲導彩榎
「 へ?
勇気の魔法??
聖女の魔法じゃなくて?? 」
聖職者:カテーナ
「 救世主アミカ様が〈 大陸神コビダエニカの御遣い様 〉により〈 大陸神コビダエニカ様 〉の御神託を賜わりました!!
救世主アミカ様が〈 大陸神コビダエニカの御遣い様 〉の後ろ楯を得られました!! 」
洲導彩榎
「 えっ── 」
カテーナさんの言葉を聞いて聖堂の中は拍手喝采に包まれた。
立ち上がっている聖職者達,見学者達が嬉しそうに喜んでいる。
何か……とてつもなく凄い事が起きちゃった感じ??
村総出で盛大な御祝いをしてくれる事はになったみたい。
洲導彩榎
「 ニュイちゃん、何か大変な事になっちゃったね 」
ニュイ
「 にゅ~~ 」
洲導彩榎
「 あの、カテーナさん 」
聖職者:カテーナ
「 救世主アミカ様、おめでとう御座います!
救世主アミカ様は〈 大陸神コビダエニカの御遣い様 〉の後ろ楯を得られました。
これは歴史に名を刻まれる伝説となります! 」
洲導彩榎
「 伝説ですか……。
良く分かりませんけど、有り難う御座います……。
あの、それで、ですね──。
“ 勇気の魔法 ” って不浄を浄化する事は出来るんですか? 」
聖職者:カテーナ
「 そうでしたね。
では、改めまして応接室にて御話させて頂きます 」
洲導彩榎
「 有り難う御座います。
お願いします…… 」
カテーナさんに促されて、アタシはニュイちゃんを抱っこしたまま聖堂を出て応接室へ向かった。
◎ 変更しました。
横椅子 ─→ 長椅子
美的感覚 ─→ 美的センス