⭕ ヘレゼオジュの街へ
──*──*──*── フィールド
神父:キャロメンド
「 ──此処からは出現する怪物,魔物が変わります 」
救世主:スドゥ
「 アベルはそんな事も分かるの? 」
神父:キャロメンド
「 長い間、彼此を巡回していましたからね。
出現する怪物や魔物が変わる境が何と無く分かる様になりました 」
救世主:スドゥ
「 アベル──、次はアベルの番だよ。
あの強そうな怪物について教えてよ 」
アタシはアスベイル神父に故郷でされている遺体の尊葬について、アタシの分かる範囲で話をした。
世界が違うし、外国風の異世界だから受け入れられるとは思ってない。
≪ コビダエニカ大陸 ≫では棺に死体を入れて掘った穴の中へ柩を入れて土を被せるみたい。
故郷のキリシト教と同じ様な事をしてるみたい。
普段の尊葬では遺体を火葬するなんてしないみたいだし、棺を買えない平民は掘った穴の中へ遺体をそのままの状態で埋めて、目印に石を1 ~ 3個を置くみたい。
個人墓ばかりで、先祖代々の家墓なんて無いみたい。
個人墓ばっかりなんて、子孫が先祖のお墓参りする時、大変そう~~。
1人1人、別々に参りに行かないといけないなんて、お金も時間も掛かって大変だし効率が悪過ぎる。
同じ墓地に墓が有れば良いけど、違う墓地が何ヵ所も有ったら体力的にも辛いかも知れない。
若ければ苦にならないかも知れないけど、歳を取って自由に動けなくなった後の事は考えてないのかな?
アタシは個人墓だけは遠慮したい──って思うけど、独身で死んだら確実に個人墓だよね~~。
弔ってくれる人が誰も居なかったら、地面の上に放置されたまま肉体が腐って土に溶けちゃう前に怪物や魔物に食べられちゃうんだろうね。
追善供養も四季彼岸供養も盆供養も1回忌 ~ 500回忌とかの年忌供養もしてもらえないんだろうな……。
まぁ、子孫が居るからって必ず供養してもらえる保証もないんだけどね?
共働きで毎日が忙し過ぎて、受け継いだ先祖代々の家墓の世話をしたり供養していくのが面倒だから──、困難だから──、先祖の必要性が分からないから──、供養なんかして意味あるの??──とか、色々と理不尽な理由で身勝手に墓終いされちゃって──、先祖代々の墓石は処分されて、遺骨の入った骨壺も廃棄処分されて、粗末な扱いされちゃうかも知れないし……。
なんて世知辛い世の中なのかな……。
アタシの話を聞いたアスベイルさんが何を考えて、何を思うのか──、アタシには分からない。
遺体の尊葬に対しての考え方が違うから、ドン引きされちゃったりしてないかな……??
神父:キャロメンド
「 ──そうですね。
あの怪物は人間に飼育されていた可能性が高いと思います 」
救世主:スドゥ
「 ──えっ?
人間に飼育??
怪物って人間が飼育なんて出来るの? 」
神父:キャロメンド
「 幼い状態で調教すれば飼育も可能だと思われていますね 」
救世主:スドゥ
「 幼い状態って── 」
神父:キャロメンド
「 親となる雄と雌の怪物を捕らえ、交尾をさせて子供を産ませます。
産まれた子供を調教し、ある程度飼育が出来るの様になったら、貴族の集まる非公式のオークションで競売に賭け、売買をします 」
救世主:スドゥ
「 …………神父様なのに詳しいね…… 」
神父:キャロメンド
「 誰もが知っている事です。
貴族の中には変わった趣向の持ち主が多いですからね。
テイマーにしか出来ない怪物や魔物を仲間にして手懐ける事を、テイマーではない自分も “ してみたい ” と思う貴族も居ます。
その様な貴族達に目を付けた者達の手により、怪物売買,魔物売買が始まったと言われています 」
救世主:スドゥ
「 お金持ちの貴族だから、稼げる絶好の御得意様になる──。
怪物だけじゃなくて、魔物にも手を出してるの!? 」
神父:キャロメンド
「 商売には終わりが無いですからね。
魔物を調教し、飼育するのは怪物よりも難しいと聞きます。
それでも欲しがる相手は大金を叩いてでも飼育の出来る魔物を欲しがるそうです。
貴族の中には自分好みに調教したがる者も居るそうですし、愛玩動物の様に愛でたい者も居るそうです 」
救世主:スドゥ
「 …………上には上が現れるんだね…… 」
神父:キャロメンド
「 人身売買も亜人種売買も似たようなモノです。
怪物売買も魔物売買も人身売買,亜人種売買よりリスクが高い分、儲かるそうですよ 」
救世主:スドゥ
「 …………≪ コビダエニカ大陸 ≫には奴隷として売買される人間や亜人種が居るの? 」
神父:キャロメンド
「 普通に居ますね。
奴隷には労働奴隷,愛玩奴隷,性奴隷,犯罪奴隷と4つ分類されています。
犯罪奴隷から産まれた子供は、労働奴隷,愛玩奴隷,性奴隷に振り分けられています 」
救世主:スドゥ
「 ………………僕の故郷では人身売買は犯罪なんですけど──、≪ コビダエニカ大陸 ≫では犯罪にならないんですか? 」
神父:キャロメンド
「 罪を犯した罪人を奴隷に堕とす制度が認められていますから、奴隷制度は犯罪になりませんね。
奴隷売買も犯罪にはなりません 」
救世主:スドゥ
「 そうなんですね……。
奴隷売買をしているのは人間だけなんですか? 」
神父:キャロメンド
「 そうでも無いですよ。
亜人種は同族に対しても怪物,魔物に対しても捕まえて売買はしません。
捕らえて奴隷として人身売買するのは人間に対してだけです。
反対に人間は同族に対しても平気で奴隷にしますし、亜人種も奴隷にします。
怪物や魔物にも手を出す恐い者知らずが多いです。
人間の欲深さは異常だと言えます 」
救世主:スドゥ
「 ………………陸民が奴隷や人身売買,亜人種売買を受け入れているのが≪ コビダエニカ大陸 ≫の常識なんですね……。
僕は慣れれるのかな…… 」
神父:キャロメンド
「 無理をしてまで慣れなくて良いと思いますよ。
抵抗を感じている陸民も居ますから── 」
救世主:スドゥ
「 そうなんですね…… 」
かなりダークなファンタジー世界感なんですけどぉ~~。
探したら普通に臓器売買とかしてそうな匂いもプンプンして来そう──。
人間に逆らえない様に調教したり、飼い慣らした怪物や魔物に対して、虐待をしてストレスを発散させる店とかも探せば在りそうじゃないの?
何か一気に嫌な感じがして来たかもぉ~~。
神父:キャロメンド
「 貴族の中には買い取った怪物や魔物を雇った調教師に任せて鍛えさせた後、専用のコロシアムに出場させて勝敗に賭けて楽しむ娯楽施設も在ります。
その様な特別な施設は≪ 都 ≫にしか在りません。
コロシアムが開催される期間は≪ 都 ≫に訪れる陸民も多いです 」
救世主:スドゥ
「 そうなんだ…… 」
なんてダークでカオスでヘヴィーなんだろうね?
裏社会にはあまり関わりたく無いかもぉ~~。
此方から近付かないのが吉だよね!
救世主:スドゥ
「 アベルは本当に詳しいね。
知らない事が知れて勉強になるよ…… 」
神父:キャロメンド
「 スドゥの役に立てたなら嬉しいです。
聖職者は裏社会とは無縁な立場ですし、此方から近付かなければ関わる事も無い筈です。
気にしないで旅を続けましょう 」
救世主:スドゥ
「 そ、そうだよね!
首を突っ込まないのが1番だよね! 」
ニュイ
「 にゅにゅ~~ 」
救世主:スドゥ
「 どうしたの、ニュイちゃん? 」
ニュイ
「 にゅい~~ 」
神父:キャロメンド
「 どうやら目的地の≪ ヘレゼオジュの街 ≫が見えて来た様です。
馬車で3日も掛かる距離を日が暮れる前に着けるなんて、ニュイさんは凄いですね 」
軽自動車並みに動けるニュイちゃん、大活躍じゃん!!
ニュイちゃんが居てくれたら、旅の移動は楽チンだね♥️
≪ ヘレゼオジュの街 ≫か──、どんな≪ 街 ≫なんだろう?
折角だし、数日くらい滞在して観光を楽しんだりしても良いよね??
◎ 此処まで読んでくださり、有り難う御座います。
3月12日迄の企画という事で【 空から「 こんにちは! 」】は今回で完結させて頂きます。
暇潰しのお供に選んでくださり、読みに来てくださった寛大な心の読者さん方、本当に有り難う御座いました。
現在投稿中の作品がありますので、良ければ暇潰しのお供に読んでいただけると嬉しいです。




