✒ 報われない勇気
◎ 読みに来てくださっている読者さん、御早う御座います。
3月5日の午前2時頃に23PVありました。
2時頃に何か有ったのでしょうか??
寝ていましたので事情は分かりませんが、早い時間から覗きに来てくださって有り難う御座いました。
──*──*──*── 1週間後
──*──*──*── 教会
──*──*──*── 食堂
神父:キャロメンド
「 お疲れの様ですね、スドゥ──。
何か有りましたか? 」
救世主:スドゥ
「 アスベイル神父ぅ~~。
………………中々思う様に行かなくて…………。
難しいな~~~~って…………落ち込んでいます…… 」
アタシは食堂のテーブルの上に突っ伏しながら愚痴を吐く。
やる気が起きない…………。
もう…………人と接するの嫌だぁ~~~~。
止めたい……。
アスベイル神父も困った様な顔をしてアタシを見てるんだろうなぁ~~~~。
神父:キャロメンド
「 心の込められた “ ありがとう ” 集めは順調──ではなさそうですね 」
救世主:スドゥ
「 はい……。
仲良くなれて、相談をしてもらえる様になっては来ているんですけど…… 」
神父:キャロメンド
「 上手く行きませんか? 」
救世主:スドゥ
「 はい……。
悩みを聞いて──、相談に乗って──、勇気を出して行動に移す処迄は順調なんです。
問題は行動に移した後なんですよね……。
勇気を出して行動をしたのに──、報われない事が多くて……。
こんな事って有るんですね……。
これじゃあ──、“ ありがとう ” なんて集まらないよぉ~~~~!! 」
アタシはテーブルの下で両足をバタバタさせる。
ニュイ
「 にゅ~~…… 」
うぁあ゛~~~~、ニュイちゃんも困ってるみたい。
神父:キャロメンド
「 ──スドゥ、何が有ったのか、詳しい事情を聞いても良いですか? 」
救世主:スドゥ
「 あ……はい……。
何人かの悩みを聞いて、相談に乗ったんですけど── 」
アタシはアスベイル神父に、悩みを打ち明けてくれた人達の事を話す事にした。
アスベイル神父はミクシャルさん,ロレンダの事は知っているから、未だ話していないパトゥリンさん,キピッツオさん,アンギナムさん,バルドーナさん,サザオースさん,フースパトさん,ケイナスさん達の事を話そうと思う。
あっ、キピッツオさんの事はアスベイル神父が仲裁に入っていたらしいから、事情は知っていたんだっけ。
キピッツオさんの話を聞いた翌日 ~ 今日迄の1週間で関わったアンギナムさん,バルドーナさん,サザオースさん,フースパトさん,ケイナスさん達の事を話した。
神父:キャロメンド
「 ──大体の事情は分かりました。
自身の思い描いた様な結果にはならなくても、勇気を出して1歩前へ踏み出せた事には変わりません。
これからです。
私で良ければ何時でも相談に乗りますし、気兼ねなく弱音も吐いてください。
聞きますよ 」
救世主:スドゥ
「 アスベイル神父…………。
…………聞いてくれて有り難う御座います(////)」
神父:キャロメンド
「 どう致しまして。
随分と頑張られている様で感心しました。
伊達に聖書の勉強会をおサボりしていた訳では無さそうで安心しました 」
救世主:スドゥ
「 あはははは……(////)」
どうやら今回は、謹慎を真似がれる事が出来るみたいかな??
──*──*──*── 公園
──*──*──*── 筏池
アタシはニュイちゃんを抱っこして、教会を抜け出していた。
何時ものサボりでっす★
救世主:スドゥ
「 此処に来るのは1週間振りだね 」
ニュイ
「 にゅにゅ~~ 」
救世主:スドゥ
「 アタシは聖職者の格好してるから筏には乗れないけど、ニュイちゃんなら池で泳げるよね。
水浴びしておいで 」
ニュイ
「 にゅにゅ~(////)」
ニュイちゃんは嬉しそうに池の中へ入って行った。
ニュイちゃんは気持ち良さそうに池を自由にスイスイと泳いでいる。
ファンタジーに溢れた異世界も世知辛いみたいね。
勇気を出して、行動をしても報われない事の方が多いなんてさ。
報われる人と報われない人って何が違うのかな??
勇気に対する心掛け??
〈 大陸神コビダエニカ様 〉の教えに対する信心の度合い??
そう言えば、「 信じる心が力になる! 」って、何とか──って漫画の台詞にあったっけ。
う~~ん、お母さんが子供の頃に読んでた好きな漫画の1つだった筈──。
タイトルを思い出せないのが悔やまれるわぁ~~。
でも、「 信じる心が力になる! 」って言う台詞は、心に残るよね。
アタシが召喚されたファンタジー世界は、“ 信じる心が力になる世界 ” じゃないって事か。
ファンタジー世界も色々なんだね。
ファンタジーな世界なのに、大人は当然の権利の様に子供を虐げて楽しんだり、便利な道具の様にぞんざいに扱っているし──、子供は何時だって身勝手な親の犠牲者で、子供なりに苦労している。
両親と暮らしていても、必ずしも幸せとは限らないのは、アタシの故郷と変わらないみたいだね。
アタシは両親と暮らせて幸せだったけどね!
筏池で泳いでいるニュイちゃんを見ていたら、水上に浮いている筏が次々と壊れ始めて、乗っている人達が溺れ始めた。
救世主:スドゥ
「 ──急に筏が!
どうしちゃったの!? 」
村人
「 大変だ!
早く助けないと! 」
村人
「 飛び込んで助けろ!! 」
村人
「 泳げる奴は居ないか!
泳げる奴を呼んで来るんだ! 」
筏池の周囲は、騒然となって大騒ぎ。
泳げる人が助けに行っても、しがみ付かれたら一緒に溺れてミイラ取りがミイラになっちゃうんだよね……。
止めなくちゃ!!
救世主:スドゥ
「 ──待って!
人命救助の未経験者が無闇に飛び込むのは危ないよ! 」
村人
「 何を言ってるんだ!
“ 助けるな ” って言うのか! 」
村人
「 時間との戦いなんだぞ!! 」
救世主:スドゥ
「 一緒に溺れるのがオチ!
救助は僕に任せて!
皆さんは救助された人を医療院へ運んでください! 」
アタシは池で泳いでいるニュイちゃんに声を掛けて、溺れている人達の救助を頼もうとした。
だけど、ニュイちゃんは既に巨大化していて、次々に溺れた人達を救助してくれていた。
優秀ぅ~~~~!!
アタシが御願いする前に独断で助ける判断をして行動に移してるなんて、超絶有能ぉ~~!!
流石、救世主の相棒だよぉ~~~~!!
おっと、こうしちゃいられないね!
救世主:スドゥ
「 男性の方は此処に残ってタンカーを用意してください!
タンカーが出来次第、救助者を医療院へ運んでください!
タンカーが出来る間に、回復魔法を使える方は救助者に回復魔法を掛けてください! 」
村人
「 回復魔法を使える人なら教会に居るわ。
聖職者を呼んで来るわ 」
救世主:スドゥ
「 御願いします!
──女性は濡れた身体を拭く物を用意して、救助者の身体を拭いてください!
風魔法を使える方が居たら、身体を乾かすのを手伝ってください! 」
村人
「 風魔法を使える人も教会に居る筈だ 」
村人
「 呼んで来るわ 」
村人
「 身体を拭ける物も借りて来ます! 」
救世主:スドゥ
「 有り難う御座います!
御願いします!
──女性の方は医療院へ行って、救助者の受け入れ体制を整えてください!
身体を拭く物,着替え,冷えた身体を温める為に部屋を暖かくしてください!
温かい飲み物も用意してください! 」
村人
「 修道士、タンカーの数が足りないんだが、どうする! 」
救世主:スドゥ
「 タンカーは作れます!
2本の棒を用意して、衣服を棒に通せば、タンカーになります 」
村人
「 棒と服で作れるのか?
よし、折れ難い棒を集めろ!
タンカーに使う衣服も集めるんだ!! 」
凄いな……皆まるで自分の事みたいに動いてる!
こんな姿、アタシの故郷じゃ見られないね。
アタシは積極的で正義感が強くて行動力の有る村人達に感心しながら溺れた人達を救助してくれているニュイちゃんに声を掛ける。
それにしても何で突然、筏が壊れたの??
池の中に人を襲う魚でも泳いでるのかな??
救世主:スドゥ
「 ニュイちゃん!
有り難うね! 」
ニュイ
「 にゅ! 」
池から上がったニュイちゃんを持ち上げて抱きしめる。
池を泳いでいたのに濡れてないのは何でかな??
救世主:スドゥ
「 ニュイちゃん、筏が壊れた原因って分かったりする? 」
ニュイ
「 にゅにゅ! 」
救世主:スドゥ
「 ニュイちゃん、凄いよ!
救助してる間も池の中を調べてくれていたなんて!
それで何が分かったの? 」
ニュイ
「 にゅにゅにゅい 」
救世主:スドゥ
「 ──へ??
鰐の仕業? 」
ニュイ
「 にゅ~~ 」
救世主:スドゥ
「 鰐って人を襲って食べる鰐? 」
ニュイ
「 にゅにゅ 」
救世主:スドゥ
「 鰐が池の中を泳いでる……。
それって凄くヤバいよね!
皆に知らせないと! 」
そんな訳で、アタシは小屋の主に鰐の存在を話して、救護活動に徹してくれている村人達へ当分の間、池には近付かない様にと伝えてもらった。
鰐を捕獲しないと安心して池で筏遊びは出来ないからね!
救世主:スドゥ
「 だけど、何で鰐が池に住み着いてるんだろうね?
誰かが鰐を池へ放したとか?? 」
ニュイ
「 にゅにゅ~~ 」
救世主:スドゥ
「 えっ──、ニュイちゃんが捕まえてくれるの? 」
ニュイ
「 にゅにゅい! 」
まるで「 任せて! 」と言わんばかりに、ニュイちゃんは意気揚々と再び池の中へ入って行った。
村人
「 修道士、アンタのテムモンが池へ入って行ったけど、止めないのかい? 」
救世主:スドゥ
「 ニュイちゃんなら大丈夫です!
鰐を捕まえてくれるみたいなので。
解体の出来る方は居ますか? 」
村人
「 解体か……。
よし、解体場所を此処に作って作業を始めよう!
お~~い、鰐を解体する場所を作るから手伝ってくれ! 」
村人
「 よし来た!
テントを張るか 」
村人
「 解体道具を持って来よう 」
村人
「 教会から応援を呼んで来る!
神父様達なら怪物の解体を出来るから手慣れてる筈だ 」
救世主:スドゥ
「 皆さん──、有り難う御座います!
御願いします! 」
そんなこんなで、人手が集まって、人命救護を優先する人達とニュイちゃんが捕獲した鰐を捌く人達に分かれて作業は進む。
池ではニュイちゃんが大暴れ──じゃなくて、大活躍をして池に住み着いていた鰐を捕獲してくれた。
教会からも神父や修道士,修道女が応援が来てくれて、作業は順調に進められて行った。
救世主:スドゥ
「 ニュイちゃん、お疲れ様!
いっぱい頑張ってくれたね! 」
ニュイ
「 にゅにゅ! 」
ニュイちゃんは何処と無く誇らし気に見える。
解体された鰐の肉は皆振る舞われる事になって、肉以外の部分は素材として利用される事になった。
聖職者は施す側の立場だから、鰐の肉を報酬として事が出来ないんだけど、信者さん達からの御厚意もあって、〈 大陸神コビダエニカ様 〉と〈 大陸神コビダエニカの御遣い様 〉へ捧げる貢ぎ物──という名目で教会へ寄附された。
こんな形で頂いちゃって罰は当たらないのかしらね??
こう言うのを “ いけない抜け道 ” って言うんじゃないのぉ~~。
まぁ、アタシは聖職者じゃなくて、救世主だから鰐の肉は有り難く頂くし、美味しく頂きますけどね★
──*──*──*── 教会
──*──*──*── 執務室
神父:キャロメンド
「 スドゥ,ニュイさん、今日は大変な御手柄でしたね。
ニュイさんが池に居なければ、溺れた人達は助からず、鰐の餌になっていた事でしょう 」
救世主:スドゥ
「 終わり良ければ全て良し!──ですね♪ 」
神父:キャロメンド
「 ですが──、聖書の勉強会を抜け出した事を容認する事は出来ません。
スドゥとニュイさんは謹慎室で過ごしてください 」
救世主:スドゥ
「 えぇ~~!?
謹慎するんですか? 」
神父:キャロメンド
「 当然です。
今回は反省文を書いてください 」
アタシはアスベイル神父から原稿用紙を受け取った。
救世主:スドゥ
「 ご…5枚も書くんですか!? 」
神父:キャロメンド
「 おや、不服ですか?
5枚では “ 書き足りない ” と言う事ですね。
追加で10枚── 」
救世主:スドゥ
「 5枚で十分です!!
有り難う御座います! 」
神父:キャロメンド
「 足りなくなったら遠慮しないで教えてください。
原稿用紙は沢山あります♪ 」
救世主:スドゥ
「 遠慮しときま~~す…… 」
ニュイちゃんを抱っこして執務室を出たアタシは、何故かアタシ専用に用意された謹慎室へ向かった。
専用の謹慎室って……、あんまりじゃないかな??
反省文を5枚も書かないといけないなんて、最悪なんですけどぉ~~。
反省文って、何を書いたら正解なのかしらね??
イレギュラーが起きて頑張ったのに報われないなんて──、悲しいぃ~~~~。




