⭕ 救世主様の話
──*──*──*── 翌日
昨日は聖職者風の年配女性から魔法を掛けてもらって、この世界の言葉を分かる様にしてもらえた。
聖職者風の年配女性は、村の中にある教会で暮らしているらしく、詳しい話は教会に来た時に──って事で帰って行った。
それから年配夫婦に夕食を御馳走になった後、1泊させてもらって、朝食まで御馳走になった。
年配夫婦にはニュイちゃんと一緒に御礼を言って、ニュイちゃんを抱っこして教会へ向かった。
──*──*──*── 教会・前
洲導彩榎
「 ──此処が教会……。
…………随分と歴史を感じる教会だよね~~…… 」
本当に教会なのか怪しいぐらい古びている建物なんだけど、十字架が飾られているから教会なんだろうね??
教会と言えば十字架だし?
洲導彩榎
「 入ろうか──、ニュイちゃん? 」
ニュイ
「 にゅ~~にゅ! 」
ニュイちゃんは「 入ろう 」って言ってるみたい。
不安だけどニュイちゃんが居てくれるから大丈夫だよね!
アタシは覚悟を決めて、教会の中へ入った。
──*──*──*── 教会・中
教会の中へ入ると聖職者が数名居た。
洲導彩榎
「 へぇ~~。
教会の中って日本の教会と変わらないんだ?
祭壇があって、石像も有るね。
ステンドグラスは無いみたい…… 」
真ん中の通路を歩いて祭壇に近付くと、左側には立派な石像が設置されている。
普通って人の形をした石像が設置されているものだと思ったけど、この世界の石像は違うみたい。
この教会だけなのかな??
洲導彩榎
「 …………………………キノコの背中に羽根が生えてる??
何で?? 」
そう、石像は人間じゃなくてキノコ。
キノコの背中に蜻蛉が生やしてる様な羽根が生えているの。
……………………何をどう突っ込んだら良いんだろうね??
???
「 来ていただけたのですね、救世主様 」
石像を眺めているアタシに声を掛けて来たのは昨日の聖職者風の年配女性だった。
洲導彩榎
「 あっ、御早う御座います。
昨日は有り難う御座いました! 」
聖職者
「 とんでも御座いません、救世主様。
お話は此方でさせて頂きます 」
聖職者風の年配女性に案内されて、アタシは左側のカーテンへ案内された。
──*──*──*── 応接室
聖職者
「 どうぞ此方へ御座りくださいませ 」
洲導彩榎
「 有り難う御座います 」
アタシは促されたソファーに腰を下ろして座った。
テーブルの上には茶菓子と紅茶が置かれている。
聖職者
「 救世主様──。
ワタクシに分かる範囲で御話させて頂きます 」
洲導彩榎
「 お願いします。
あの──、貴女の事を何て呼んだら良いですか? 」
聖職者
「 これは失礼致しました。
ワタクシの事は “ カテーナ ” と呼んでくださいませ 」
洲導彩榎
「 カテーナさん──ですね。
分かりました 」
カテーナさんは嬉しそうに微笑んでいる。
まるで長らく会えなかった孫娘に漸く会えたお祖母ちゃんみたいな笑顔。
カテーナさんとアタシは初対面の筈だけどぉ!?
聖職者:カテーナ
「 “ この世界 ” と言うのは、“ 地球 ” と呼ばれている惑星の中に存在している≪ 大陸 ≫や≪ 島国 ≫を指しています。
“ 地球 ” には実に多くの≪ 大陸 ≫や≪ 島国 ≫が存在しておりますが、正確な数は不明とされております。
≪ 大陸 ≫と≪ 大陸 ≫の往来が出来ませんので、どの≪ 大陸 ≫とも交流も出来なくなっております。
≪ 大陸 ≫の近隣に存在している≪ 島国 ≫とは互いに船を出し合い、往来や交流が出来る様になっております。
ワタクシ達が暮らしている≪ 大陸 ≫の名前は “ コビダエニカ ” と言います 」
洲導彩榎
「 ≪ コビダエニカ大陸 ≫…………呼び難い名前ですね?
≪ 大陸 ≫の名前は誰が決めているんですか? 」
聖職者:カテーナ
「 ふふふ(////)
≪ 大陸 ≫の名前は、≪ 大陸 ≫が誕生した時に既に名付けられているのです 」
洲導彩榎
「 えっ??
≪ 大陸 ≫が誕生した時には決まっているんですか?? 」
聖職者:カテーナ
「 はい。
≪ 大陸 ≫は生きており、意思を持っております。
≪ 大陸 ≫には持ち主が居られます。
〈 皇 〉と呼ばれている存在が≪ 大陸 ≫の持ち主であり、所有者なのです 」
洲導彩榎
「 ≪ 大陸 ≫に所有者が居るなんて初耳です。
持ち主が居る≪ 大陸 ≫なんて──不思議ですね?? 」
聖職者:カテーナ
「 ≪ 大陸 ≫で暮らしている人類,亜人類は “ 陸民 ” と呼ばれております。
陸民は皆、≪ 大陸 ≫から大自然の恩惠を受け、惠を分け与えて頂く事で、生かさせて頂いている立場となります。
ですから、≪ 大陸 ≫の自然や環境を破壊する様な恩を仇で返す行為を行いますと≪ 大陸 ≫の防衛本能が能かれ、大規模な天災──自然災害が起きてしまうのです 」
洲導彩榎
「 そ、そうなんですね……。
生きている≪ 大陸 ≫が自分の意思で天災──自然災害を起こす……。
じゃあ、心無い恩知らずで罰当たりな人間達が原因を作っている──って事なんですね。
………………自然を怒らせると恐いのは私の居た世界だけの話じゃないんですね 」
聖職者:カテーナ
「 救世主様に分かって頂けて嬉しいです。
≪ コビダエニカ大陸 ≫にも怪物──モンスターと呼ばれる異形の存在が実在しております 」
洲導彩榎
「 モンスターですか?! 」
聖職者:カテーナ
「 怪物だけではなく、魔物──マタムトと呼ばれる異形の存在,悪魔──デモンと呼ばれる異形の存在,魔族──ディモムと呼ばれる異形の存在,魔神──ディダンと呼ばれる異形の存在も実在しております 」
洲導彩榎
「 うっそぉ…………。
怪物だけじゃくて、魔物,悪魔,魔族,魔神って──まるでゲームの世界みたいじゃないのぉ~~ 」
聖職者:カテーナ
「 これ等の異形の存在が発生している原因も “ 心無い恩知らずで罰当たりな人間達 ” である事をどうか忘れないでいてください。
陸民を苦しめている異形の存在は、≪ 大陸 ≫の防衛本能が能いた事により、大地から発生した不浄から生み出されている存在なのです 」
洲導彩榎
「 不浄?? 」
聖職者:カテーナ
「 はい。
不浄は “ 負気 ” とも “ 魔気 ” とも呼ばれております。
不浄は陸民の身体を蝕み、様々な病を引き起こし、重症化させ寿命を削ります。
異形の存在を生み出す不浄を浄化させる聖なる能力から授かっておられるのが異世界から転移召喚された救世主様達なのです 」
洲導彩榎
「 救世主様……達ぃ!?
えっ──救世主って私だけじゃないんですか!?
他にも居るんですか?? 」
聖職者:カテーナ
「 はい。
救世主様が御越しになる約170年程前にも1人の救世主様が異世界より転移召喚されたと聞いております 」
洲導彩榎
「 今から170年も前に…………。
じゃあ、もう……その救世主様は……亡くなってますよね…… 」
聖職者:カテーナ
「 いいえ、今でも当時と変わらぬ容姿で≪ コビダエニカ大陸 ≫を旅しながら不浄を浄化しておられます。
此方の村へも60年程前に訪れて下さいました 」
洲導彩榎
「 そ、そうなんだ……。
60年も前に── 」
聖職者:カテーナ
「 救世主様も≪ コビダエニカ大陸 ≫を旅していれば、他の救世主様とも出逢えると思います 」
洲導彩榎
「 私以外の救世主様か──。
私より170年も長く救世主様をしている先輩──。
旅の楽しみが出来た気がします 」
聖職者:カテーナ
「 それは良かったです。
救世主様は相棒として怪物を1体だけ仲間にする事が出来るのです。
怪物を仲間にしますと、テイムモンスター──テムモンとなり、救世主様の旅の助けをしてくださいます。
救世主様が仲間に選ばれた怪物は、虹色スライムなのですね。
虹色スライムは “ レインボースライム ” と呼ばれたり “ オーロラスライム ” と呼ばれています。
稀少価値が高く珍しいスライムでもあります。
知能も高く、あらゆる生物の言語を理解する能力を持つと言い伝えられております 」
洲導彩榎
「 そうなんですか?
ニュイちゃんが、虹色スライム……。
ニュイちゃんって凄いスライムだったんだね 」
ニュイ
「 にゅい~~(////)」
洲導彩榎
「 あの──、この村に立ち寄られた救世主様が仲間にしていた怪物は何だったんですか? 」
聖職者:カテーナ
「 大空を自由に飛ぶ事の出来る大空の覇者──グリフィンドルフでした 」
洲導彩榎
「 グリフィンドルフ?? 」
聖職者:カテーナ
「 グリフィンドルフも稀少価値の高い珍しい怪物です。
広大な≪ コビダエニカ大陸 ≫を移動するには、グリフィンドルフを仲間にされたのは賢明な判断と言えます。
戦闘力だけでなく、防御力,素早さ,移動力も高いで戦闘にも有効なテムモンです 」
洲導彩榎
「 そうなんですね── 」
聖職者:カテーナ
「 救世主様には浄化の能力を身に付けて頂く為に、神殿にて〈 大陸神コビダエニカ様 〉の信徒となる為の洗礼を受けて頂く事になります。
洗礼を受けて頂いた後、〈 大陸神コビダエニカ様 〉の石像の前で祝福を与えて頂きます。
祝福を与えて頂きますと不浄を浄化する事の出来る “ 聖女の魔法 ” を授けて頂けます 」
洲導彩榎
「 聖女の魔法??
それって──、私にも魔法が使える様になるって事ですか?? 」
聖職者:カテーナ
「 はい。
聖女の魔法を使いこなし、不浄を浄化してしてください。
不浄を浄化して頂きますと熟練度が上がり、浄化力が増します。
浄化可能な範囲も広がります 」
洲導彩榎
「 そうなんですね。
私にも魔法が使える──。
頑張ってみようかな(////)」
ニュイ
「 にゅ~~ 」
洲導彩榎
「 そうだね。
〈 大陸神コビダエニカ様 〉の洗礼を受けてみようか?
カテーナさん、此処の教会で洗礼を受けても良いですか? 」
聖職者:カテーナ
「 救世主様──、洗礼は神殿で受けて頂く事になっております 」
洲導彩榎
「 でも──、この教会にも石像は有りますよね?
蜻蛉の羽根を背中に生やした怪しいキノコの石像が──。
あれが〈 大陸神コビダエニカ様 〉なんですよね? 」
聖職者:カテーナ
「 教会に設置されている石像は〈 大陸神コビダエニカ様 〉ではなく、〈 大陸神コビダエニカの御遣い様 〉の石像なのです 」
洲導彩榎
「 〈 大陸神コビダエニカの御遣い様 〉の石像ですか??
洗礼を受けるのは絶っっっ対に〈 大陸神コビダエニカの御遣い様 〉の石像じゃ駄目なんですか??
〈 大陸神コビダエニカ様 〉の石像じゃないと祝福は受けれないんですか?? 」
聖職者:カテーナ
「 いいえ……。
そんな事は御座いません。
〈 大陸神コビダエニカの御遣い様 〉の石像の前で洗礼を受けて頂けますし、祝福も与えて頂けます。
聖女の魔法も授けて頂けます 」
洲導彩榎
「 それなら此処の教会でお願いします!
ニュイちゃんも『 此処で受けて 』と言ってくれてますし 」
聖職者:カテーナ
「 救世主様──。
有り難う御座います!!
此方の教会で〈 大陸神コビダエニカの御遣い様 〉の洗礼を受けて頂けるなんて──。
こんなに嬉しい事は御座いません(////)
幸栄の極みです。
直ぐに洗礼の準備を始めさせて頂きます。
準備が整いましたら呼びに参りますので、暫く応接室にて御待ち下さいませ 」
洲導彩榎
「 はい……。
お願いします(////)」
カテーナさんは泣いちゃう程喜んでくれたけど、そんなに嬉しい事なのかな??
洲導彩榎
「 ニュイちゃん、聖女の魔法だって!
楽しみだねぇ~~。
どんな魔法なんだろうね? 」
ニュイ
「 にゅい~~ 」
ニュイちゃんも楽しみにしてくれてるみたい。
あぁ~~、異世界に来たならやっぱり魔法だよねぇ~~♥️
魔法を使える救世主かぁ~~。
夢が叶って良いじゃないのぉ?
楽しみ過ぎるぅ~~♥♥♥
◎ 訂正しました。
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