✒ 貴方と付き合いたい 2-1
パトゥリンさんと別れた後、アタシはニュイちゃんと一緒に池を目指して歩く。
最近、公園内の池に筏乗り場が出来た──って言う噂を祈りに来てる信者さん達から聞いたんだよね。
小型の筏に乗って、池の中を移動する遊びが出来るらしいの。
筏を漕ぐのは苦手だけど、流れが急な川で漕ぐ訳じゃないから、筏を漕ぐ練習を出来るかも知れない。
──*──*──*── 筏池
そうそう、筏遊びが出来る様になってからは、“ 池 ” から “ 筏池 ” って改名されて呼ばれる様になったみたい。
救世主:スドゥ
「 筏を借りるには──、あの小屋に行けば行けば良いのかな? 」
ニュイ
「 にゅ~~にゅ!
にゅにゅ~い 」
救世主:スドゥ
「 うん、行ってみよ 」
アタシは小屋を目指して歩く。
他にも筏に乗りたい人が居るみたいで、何人かが小屋に向かって歩いている。
救世主:スドゥ
「 筏は大人気みたいね、ニュイちゃん 」
ニュイ
「 にゅ~~ 」
救世主:スドゥ
「 筏はボートと違うからロマンチックさには欠けちゃうよね~~ 」
ニュイ
「 にゅ~? 」
──*──*──*── 小屋
救世主:スドゥ
「 すみません、筏に乗りたいんですけど── 」
小屋の主人
「 うん?
アンタ、修道士かい? 」
救世主:スドゥ
「 あ…えと、僕は修道士見習いです 」
小屋の主人
「 修道士見習いが何で池に来てるんだい?
聖職者を筏には乗せられないよ。
残念だが悪いね── 」
救世主:スドゥ
「 えぇ~~~…………。
ニュイちゃん、筏には乗れないみたいだね…… 」
ニュイ
「 にゅにゅ~~ 」
救世主:スドゥ
「 聖職者は筏に乗っちゃ駄目なんて、差別じゃないんですか? 」
小屋の主人
「 聖職者は自由に使う金を持っていないだろうに。
筏に乗りたいなら、非番に来てくれ 」
救世主:スドゥ
「 非番……。
貰えるかなぁ~~ 」
まぁね、ニュイちゃんが居てくれるから、お金には困らないから良いんだけど……。
救世主:スドゥ
「 アスベイル神父に頼んでみようかな? 」
ニュイ
「 にゅにゅ~~ 」
救世主:スドゥ
「 そうだね……。
また謹慎させられちゃうかもだね~~ 」
確かに聖書の勉強会をサボったなんて事が知られたら、謹慎室に直行させられちゃうかも……。
救世主:スドゥ
「 筏に乗れないのは残念だけど、戻ろっか? 」
ニュイ
「 にゅ~~ 」
アタシは筏を借りれる小屋を後にした。
筏池を見ながら歩く。
救世主:スドゥ
「 良いね~~。
アタシも筏に乗って漕ぐ練習したかったな~~ 」
ニュイ
「 にゅにゅにゅ~い 」
救世主:スドゥ
「 そうだ──。
公園には森林浴を楽しめる散歩コースが在るんだよ。
森林浴してから教会へ戻ろうか 」
ニュイ
「 にゅにゅ~~ 」
アタシは筏池を見ながら森林浴を楽しめる散歩コースをニュイちゃんと一緒に目指す。
ニュイちゃんも森林浴コースへ行くのが楽しみみたい。
──*──*──*── 森林浴コース
救世主:スドゥ
「 此処が森林浴コースか。
良いねぇ~~、緑サイコぉ~~!! 」
ニュイ
「 にゅにゅ~ 」
救世主:スドゥ
「 あぁ~~、何か、緑を見てたら思い出すなぁ~~。
木に取り込まれちゃった人間のホラー 」
ニュイ
「 にゅ~い? 」
救世主:スドゥ
「 う~~んとね、目まぐるしく忙しい都会の暮らしに疲れ果てて辟易しちゃった主人公がね、休暇を取って、気分転換をする為に山の中に建てられた旅館へ泊まりに行くの。
大自然を満喫しまっくてリフレッシュが出来た主人公がね、今のアタシみたいに『 自然サイコ~~! 帰りたくなぁ~~い! 』なんて言っちゃったもんだから、トンネルを抜けたのに旅館へ戻って来ちゃう様になったの。
何度試しても都会へ帰れなくなて、途方に暮れちゃった主人公がね、旅館の人から帰り方を教わって森の中へ入って行ったのね。
──で、森の中で見たのが、木の中に取り込まれっちゃった人や、林檎になっちゃった人達だったの!
主人公は助言を受けれて、無事に森を抜ける事が出来て、ヒッチハイクで都会へ戻れたんだけどね、大都会は森に侵食されちゃってました──って感じのホラーだよ 」
ニュイ
「 にゅにゅ~~?? 」
救世主:スドゥ
「 まぁね──。
アタシが見たのは小学生だったから、詳しくは覚えていないんだよね。
怖かったんだけど、何と無くファンタジーっぽくて好きだったんだよね。
作り話なんてのは全部、ファンタジーなんだけど 」
ニュイ
「 にゅにゅ~ 」
救世主:スドゥ
「 人間の顔をした林檎は食べても美味しくないんじゃないかな?
食べたいとは思わないけど…… 」
ニュイ
「 にゅにゅ 」
救世主:スドゥ
「 へぇ~~。
動物を取り込んで、ジワジワと食べる樹木系の怪物が居るんだね。
こっわ~~。
流石ファンタジー世界だね。
出逢いたくない怪物だよね 」
ニュイ
「 にゅ~~ 」
救世主:スドゥ
「 そうだね!
巨大化したニュイちゃんが丸呑みしちゃえば、どんな怪物が相手でも楽勝だね! 」
ニュイ
「 にゅにゅ~~い♪♪♪ 」
ニュイちゃんは楽しそうに飛び回っている。
やっぱり定期的な散歩は大事だよね。
救世主:スドゥ
「 ニュイちゃんなら筏池でも余裕で泳げるね 」
ニュイ
「 にゅ~~ 」
御機嫌なニュイちゃんを見ているだけで、アタシは癒される。
可愛いって正義ぃ~~♥️
救世主:スドゥ
「 あれ?
誰か居る?
散歩コースで何してるんだろう? 」
アタシは嬉しそうにはしゃいでいるニュイちゃんから離れて、何かをしている怪しい人物に近付いてみた。
救世主:スドゥ
「 こんにちは──。
こんな人気の無い場所で何をしてるんですか? 」
怪しい人物
「 ひゃうぇあぁ~~~~!!!! 」
救世主:スドゥ
「 うわっ!?
急に叫ばないでほしいな。
吃驚したぁ~~~~ 」
怪しい人物
「 吃驚したのは此方の方だよ!!
全く──って…………。
何だよ、スドゥ君じゃないか…… 」
救世主:スドゥ
「 えっ?
あれ──、キピッツオさんなの!?
随分と窶れてるね……。
最近、教会へ祈りに来ないと思ってたんだよ。
何か遭ったの? 」
キピッツオ
「 ……………………はぁ………… 」
救世主:スドゥ
「 キピッツオさん、深い溜め息なんて吐いたりして、体調でも悪いの?
大丈夫?? 」
キピッツオ
「 ………………スドゥ君は──、何時も身体の心配をしてくれるんだな…… 」
救世主:スドゥ
「 そうかな?
気の所為じゃない?
──顔色も悪そうに見えるし、ちゃんと栄養ある料理は食べてるの? 」
キピッツオ
「 スドゥ君が “ 問題児だ ” って噂を耳にしてたけど、何でか分かる気がするよ。
キャロメンド神父様もスドゥ君には手を焼いてるんじゃないのかい? 」
救世主:スドゥ
「 酷い事を言うね…… 」
キピッツオ
「 今頃は聖書の勉強会の時間なんじゃないのかい?
修道士見習いとして、サボるのは感心しないよね 」
救世主:スドゥ
「 ニュイちゃんには定期的な散歩が必要だから、仕方無いんですよ!
僕もテイマーの端くれですからね!
テムモンの健康管理は何よりも優先すべきテイマーの使命なんです! 」
キピッツオ
「 物は言い様だよね、スドゥ君。
キャロメンド神父様も随分と頭を抱えてるんだろうね 」
救世主:スドゥ
「 耳の痛い事を言わないでほしいんだけど……。
僕の事は横に置いといてよ。
今はキピッツオさんの事を聞いてるんだけど! 」
キピッツオ
「 はぁ…………。
お子ちゃまなスドゥ君には分からない悩みだよ 」
救世主:スドゥ
「 それは内容に依るんじゃないかな!
的確なアドバイスは出来なくても、話を聞くぐらいなら僕にも出来るよ。
何せ “ 迷える子羊 ” に手を差し伸べる聖職者のタマゴだからね! 」
キピッツオ
「 言う事だけは神父並みに一致ょ前だね 」
救世主:スドゥ
「 笑わないでほしいな! 」
キピッツオ
「 そうだね。
それじゃあ、聖職者のタマゴさんに “ 迷える子羊 ” の悩みを聞いてもらうとしようかな? 」
救世主:スドゥ
「 ドンと来いだよ! 」
という訳で、アタシはキピッツオさんの悩みを聞かせてもらえる事になった。
どんな悩み何だろうね?
アタシには想像が付かないわ……。




