⭕ 貴方と付き合いたい 1
──*──*──*── 公園
ニュイちゃんを散歩に連れ出したアタシは公園で、子供達と遊んでいた。
“ 達磨さんが転んだ ” を教えたら、意外にも子供達からは大盛況だった。
子供達に受け入れられた原因は、「 転んだ 」の後に鬼が振り向くんだけど、その時に奇抜なジ◯ジ◯ポーズをした状態で止まって、ポーズをキープして見せ付ける事を付け加えたら、それが子供達に受けちゃったのよね。
今では公園で子供達が “ 達磨さんが転んだ ” をする度に、工夫された様々な奇抜で浮いたジ◯ジ◯ポーズを見る事が出来る様になっている。
ジ◯ジ◯ポーズって異世界でも受けちゃうぐらい偉大なんだね!
よし、アタシは立ち寄った≪ 集落 ≫≪ 村落 ≫≪ 町 ≫で、ジ◯ジ◯ポーズを入れた “ 達磨さんが転んだ ” を弘めようと思うの。
異世界でジ◯ジ◯ポーズを布教しちゃうぞ!!
救世主:スドゥ
「 あれ?
あれってパトゥリンさんじゃないかな?
落ち込んでるみたいだね 」
ニュイ
「 にゅ~~? 」
救世主:スドゥ
「 声を掛けてみようか? 」
ニュイ
「 にゅにゅ 」
アタシはベンチで座っているパトゥリンさんに声を掛ける事にした。
救世主:スドゥ
「 ──こんにちは、パトゥリンさん!
今日は絵を描いてないんですね? 」
パトゥリン
「 あら……。
誰かと思ったら修道士見習いさんの── 」
救世主:スドゥ
「 スドゥです。
この子は僕の相棒のニュイちゃんです 」
パトゥリン
「 そうそう、君はテイマーだったわね 」
ニュイ
「 にゅにゅ 」
救世主:スドゥ
「 ニュイちゃんも “ こんにちは ” って言ってます 」
パトゥリン
「 ふふふ(////)
スライムさんと話せないのが残念だわ。
テイマーならスライムさんとも話せるのかしら? 」
救世主:スドゥ
「 う~~ん……。
僕は自分以外のテイマーと出逢った事が無いので未だ分からないんです。
あっ、分かった時には手紙を出しますね!
教会に手紙を出せば、宛先の人へ届けてもらえるみたいなんです。
聖職者の特権ってヤツらしいです 」
パトゥリン
「 あら、それは楽しみ♪
分かった時は、お願いするわね 」
救世主:スドゥ
「 パトゥリンさん、スランプなんですか? 」
パトゥリン
「 う~~ん…………一寸違うのよね。
私ね……ある人に…………恋をしてしまったみたいなの(////)」
救世主:スドゥ
「 恋??
好きな人が出来たって事ですか?
それは、おめでとう御座います!
良かったですね! 」
パトゥリン
「 あ…有り難う……(////)
そんなに喜んでもらえるなんて……変な感じね…(////)」
救世主:スドゥ
「 だって凄い事じゃないですか!
今迄、絵を描く事にしか興味を抱けなかったパトゥリンさんが、どんな経緯であれ自分以外の誰かに興味を抱く事が出来る様になったんですよ!
これってとっても凄い事です。
お祝いしなくちゃな事柄ですよ! 」
パトゥリン
「 そんな……お祝いだなんて……。
大袈裟過ぎないかしら?(////)」
救世主:スドゥ
「 何言ってるんですか!
大袈裟なんかじゃないですよ!
自分以外に興味を抱けたって事はですよ、今迄よりも視野が広がるし、選択肢も増えるんです!
芸術家である絵描きにとっても喜ばしい事じゃないですか!
視野が広がって、選択肢が増えれば、作品の幅も広がります!
何事も善に解せば、より良い素晴らしい作品を描ける様になる筈ですよ! 」
パトゥリン
「 スドゥさん……。
貴方の考え方は前向きなのね 」
救世主:スドゥ
「 〈 大陸神コビダエニカ様 〉の教えをアスベイル神父から耳タコですから……。
毎日の聖書の勉強会は眠くて……(////)」
パトゥリン
「 まぁ!
ふふふ、居眠りの常習犯なのね(////)
でも──、こんな前向きな考え方が出来るんだもの、素晴らしい教えなのだわ。
あまり、抜け出してサボってはいけないわね 」
救世主:スドゥ
「 えへへ(////)
バレちゃいましたか── 」
パトゥリン
「 ──絵を描いているとね、その人の顔が過ってしまって……、彼の絵しか描けないの……。
風景画を描けなくなてまっているの…… 」
救世主:スドゥ
「 パトゥリンさん、想い人にパトゥリンさんの気持ちを伝える事はしないんですか? 」
パトゥリン
「 えっ?
気持ちを伝える??
そ……それって──告白をするって事よね? 」
救世主:スドゥ
「 そうですね 」
パトゥリン
「 む…無理よ……。
本人を前にして気持ちを伝えるなんて……(////)」
救世主:スドゥ
「 パトゥリンさん、告白ってのは、相手と両想いなる為にするばかりじゃないですよ 」
パトゥリン
「 えっ? 」
救世主:スドゥ
「 告白をしたからって相手と付き合える訳じゃないんです。
傍から相思相愛に見えるくらい仲が良くても告白をしたからって付き合える訳じゃないんです。
“ 告白 = 付き合う ” は絶対の方程式じゃないんです。
告白をしても付き合えない事の方が事例的には多いんです 」
パトゥリン
「 付き合えないのに告白をするって事なの? 」
救世主:スドゥ
「 そうです。
告白なんて結局は自己満足の集大成みたいなもんです。
自己満足で良いじゃないですか。
相手に気持ちを伝えて、想いが実らなくたって構わないんです。
だって、自己満足で行う事なんですから。
自分の好意を相手に伝える事は悪い事じゃないと思います。
他人が邪魔をする権利も──、他人が文句を言う権利も──、他人が責める権利だって無いんです。
胸を張って堂々と相手に好意を伝えたら良いんです。
告白は現状の自分にケジメを付けて、前へ進む為に行う自分ファーストなイベントでもあるんですよ 」
パトゥリン
「 自分ファースト?? 」
救世主:スドゥ
「 今のパトゥリンさんは、想い人の事で頭が一杯な状態で、頗る困っているんですよね?
今の現状から脱却する為に1番てっとり早い方法は “ 告白 ” なんです。
パトゥリンさんは自分の好意を想い人へ伝えて、モヤモヤしている気持ちをスッキリさせて、整理を付けた方が良いと僕は思います。
未来の自分の為に勇気を出して、前へ踏み出してみてください。
1歩を踏み出すのが難しければ、半歩でも良いんです。
誰の為でもない自分自身の為に勇気を出してみませんか? 」
パトゥリン
「 …………スドゥさん… 」
救世主:スドゥ
「 自分の好意を相手に伝えられずに人生が終わってしまうのは、辛い事だと思います。
時間は掛かるかも知れませんけど、勇気を出して好意を伝えれた時の自分自身の行動に “ 良かった ” って思える時は必ず来ます。
相手に好意を受け入れてもらえなくても何の問題も無いんです。
好意を伝えた自分を想い人に受け入れてもらう事が告白の目的じゃないんですから。
自分の為に区切りを付ける為の告白をするんですから── 」
パトゥリン
「 未来の私の為に…………。
気持ちの整理を付ける為に…………。
………………でも……やっぱり無理よ……。
恥ずかしいもの(////)」
救世主:スドゥ
「 まぁ、確かに恥ずかしいですよね……。
その想い人とは話した事が有るんですか? 」
パトゥリン
「 絵を描いていた時に声を掛けられて──、それから少しずつ話す様になったの。
仲良しって訳じゃないけど、挨拶をした後に世間話をする程度の関係という感じかしらね 」
救世主:スドゥ
「 何度か話してる間に知らず知らずの内に惹かれちゃって好きになていた──って事ですかね? 」
パトゥリン
「 えぇそう。
そんな感じなの!
彼って、容姿が男らしくて声も素敵で包容力も有りそうで……。
私が絵の話をすると楽しそうに聞いてくれるの(////)」
救世主:スドゥ
「 聞き上手な人なんですね 」
パトゥリン
「 えぇ……そうね。
そうかも知れないわね 」
救世主:スドゥ
「 因みに名前は知っているんですか? 」
パトゥリン
「 えぇ、名前は確か──、エイザックだったかしらね? 」
救世主:スドゥ
「 えっ?!
エイザックって、あのエイザック・ウェルドフですか? 」
パトゥリン
「 あら、スドゥさんも知っている人だったの?
奇遇ね~~ 」
救世主:スドゥ
「 あ~~えぇと…………。
実はエイザックさんは…………御自分よりも歳上の熟女が御好きな方でして──、恋愛対象も結婚対象も熟女じゃないと駄目な事で割かし有名な男だったりするんですよね…… 」
パトゥリン
「 まぁ……!
そうなの??
御自分よりも目上の熟女好きさんなの??
まぁ…………そぅ…なの…………人は見掛けでは分からないものなのね 」
救世主:スドゥ
「 確かにエイザックさんの外見は男前だし、声色も素敵だし、気さくで話し易い男でもありますから、独身女性からの人気も高いんです。
今迄も何人かの独身女性がエイザックさんに告白をされてましたけど── 」
パトゥリン
「 熟女好きだから断られてしまう──という事ね 」
救世主:スドゥ
「 そう……なんですよねぇ………… 」
パトゥリン
「 ふふふ(////)
何か、それを聞いたら安心しちゃったかも知れないわ 」
救世主:スドゥ
「 えっ? 」
パトゥリン
「 今の話を聞いたら、自分の気持ちを伝える事に対して、怖くなくなっちゃったみたい。
なんかね、勇気が湧いてきちゃったわ(////)」
救世主:スドゥ
「 そうなの?
そういうもんなの?? 」
パトゥリン
「 うん……そういうものみたい。
不思議よね(////)
“ 自分だけじゃないんだ ” って知れたからかも知れないわね。
今の自分にケジメを付けてスッキリする為に──。
有り難う、スドゥさん。
私ね、前向きに考えてみる事にするわ 」
救世主:スドゥ
「 パトゥリンさん── 」
パトゥリン
「 あぁ~~~~なんか、無性に絵を描きたくなって来たかも!
私、今から帰って絵を描くわ!
じゃあね、スドゥさん。
話を聞いてくれて有り難う! 」
パトゥリンさんはベンチから腰を浮かせて立ち上がると鼻歌を歌いながら公園から去って行った。
救世主:スドゥ
「 …………なんか…良く分からないけど、パトゥリンさんが元気になって良かったよね、ニュイちゃん 」
ニュイ
「 にゅにゅ 」
救世主:スドゥ
「 エイザックさんも女泣かせの罪な男だよね? 」
ニュイ
「 にゅ~にゅい 」
ふぅ……………。
パトゥリンさんがエイザックさんに自分の好意を伝えるかは分からないけど、もし伝える選択をしたなら、応援したいな──。
◎ 訂正しました。
今日は、パトゥリンさん! ─→ こんにちは、パトゥリンさん!
絵を描いていた時に掛けられて──、─→ 絵を描いていた時に声を掛けられて──、




