⭕ 君は生意気な奴だ 2-3
──*──*──*── 物置部屋
アタシとニュイちゃんが物置部屋に到着した時には、南京錠で施錠をされていた鍵が解錠されていてドアが開いていた。
ドアの外にはニュイちゃんの分身体が見張りをしてくれている。
アタシもニュイちゃんと一緒に物置部屋の中へ入ると、神父同士で揉めていた。
主に揉めていたのは、問題を隠蔽して隠そうと企んでいたラウドゥル神父,グランディ神父と後から来たマクロイス神父,ライネイド神父みたい。
セシリミア神父は修道士副長,修道女副長から話を聞いている。
アスベイル神父も修道士長,修道女長から話を聞いているみたい。
修道女5名から一方的に苛められていたセイリアン修道女見習いはニュイちゃんの分身体に守られている。
一方の苛めていた修道女エンリルナ,修道女セリアンナ,修道女エーダリス,修道女シェドミラ,修道女ヨハンナの5名は──、5体居るニュイちゃんの分身体に見張られている。
スライムが恐いのか部屋の隅で震えているみたい。
セイリアン修道女見習いを楽しそうに苛めていた威勢は何処へ行ったのかしらね??
救世主:スドゥ
「 アスベイル神父── 」
神父:キャロメンド
「 スドゥ,ニュイさん──、お手柄ですね。
セイリアン修道女見習いを救護室へ連れて行ってください。
優先的に怪我の手当てをしてもらってください 」
救世主:スドゥ
「 分かりました 」
アタシはセイリアン修道女見習いに近付いて、身体を支えて立つのを手伝う。
脱がされた法衣は刃物でズタボロに切り刻まれていて、着る事は出来ない状態になっている。
セイリアン修道女見習いの姿は、ニュイちゃんの分身体が出した清潔な布を身体に巻いている状態だ。
下着も穿けない状態だからノーパンだね。
救世主:スドゥ
「 ゆっくりで良いからね。
救護室へ行こう 」
修道女見習い:セイリアン
「 ………………ありがとう…… 」
救世主:スドゥ
「 災難だったね……。
アスベイル神父は今回の問題を揉み消したりしないから安心して── 」
修道女見習い:セイリアン
「 ………………うん…… 」
セイリアン修道女見習いは涙を流しながら何度も頷く。
アタシはセイリアン修道女見習いを支えて物置部屋を出た。
──*──*──*── 救護室
アタシは救護室にセイリアン修道女見習いを連れて行って、修道女メイビィナへ最優先で手当てを御願いした。
セイリアン修道女見習いの身体をみた修道女メイビィナは驚いてショックを隠せないみたい。
セイリアン修道女見習いの身体には今日受けた傷以外にも痣があった。
やけに古い傷も有るのを見ると、子供の頃に産みの親から虐待でも受けていたのかも知れない。
古い傷よりも真新しくも痛々しい傷は、今迄も修道女達から苛めを受けていた痕かも知れない。
アタシもニュイちゃんも修道女メイビィナの手伝いをして、セイリアン修道女見習いの手当てを手伝った。
因みに救護室の修道女メイビィナは、アタシが事情があって男装している女子って事を知っている。
傷の手当てが終わったセイリアン修道女見習いは暫くの間、救護室で寝泊まりする事になったみたい。
アタシはニュイちゃんと一緒に救護室を出て、物置部屋へ向かった。
途中で修道士長,修道女長,修道士副長,修道女副長,セシリミア神父に連行されている修道女エンリルナ,修道女セリアンナ,修道女エーダリス,修道女シェドミラ,修道女ヨハンナの5名と通りすがりにすれ違った。
起こした事が事なだけに禁固室で謹慎かも知れないね。
ラウドゥル神父,グランディ神父はと言えば、両手首を縛られた状態でマクロイス神父,ライネイド神父に連行されている。
救世主:スドゥ
「 あ、そっか。
手錠が無いもんね── 」
ニュイ
「 にゅ~~ 」
神父:キャロメンド
「 スドゥ──、事情を聞きたいので執務室へ来てくれますか 」
救世主:スドゥ
「 えと……物置部屋で古着の整頓を── 」
神父:キャロメンド
「 物置部屋は当分、入室禁止にします。
物置部屋で行う雑用はリストから省いてください 」
救世主:スドゥ
「 分かりました… 」
やったじゃんね!
雑用リストに書かれてる雑用が減ったよ!
ラッキー♪♪
アタシはニュイちゃんを抱っこしたまま、アスベイル神父と一緒に執務室へ向かって歩いた。
どうやらニュイちゃんの分身体の1体は物置部屋のドアの前で、引き続き見張りをする事になったみたい。
──*──*──*── 執務室
アタシはニュイちゃんを膝の上に乗せた状態でソファーに座らせられている。
執務室の中には、セイリアン修道女見習いを苛めた修道女エンリルナ,修道女セリアンナ,修道女エーダリス,修道女シェドミラ,修道女ヨハンナが、両手首を縄で縛られた状態で床に両膝を付いて座らされている。
ラウドゥル神父,グランディ神父も床に両膝を付いて座らされている。
抵抗しない様に修道士長,修道士副長,修道女長,修道女副長,セシリミア神父,マクロイス神父,ライネイド神父が近くで見張っている。
神父:キャロメンド
「 スドゥ──、君は何の用があって物置部屋へ行きましたか? 」
救世主:スドゥ
「 えぇ~~。
何で尋問されてるんですか…… 」
神父:キャロメンド
「 スドゥ──、〈 大陸神コビダエニカ様 〉と〈 大陸神コビダエニカの御遣い様 〉に誓い、正直に答えてください 」
救世主:スドゥ
「 …………僕はアスベイル神父から渡された雑用リストを見ながら、ニュイちゃんと一緒に雑用を片付けていました。
“ 古着の整頓 ” をする為に物置部屋に向かったんです。
物置部屋のドアには鍵が掛かっていませんでした……。
僕はニュイちゃんと一緒に古着の入った箱を探す為に物置部屋の中へ入りました。
そうしたら話し声が聞こえて来て──。
奥へ進んでみたら──5人の修道女が寄って集って1人の修道女見習いを囲んでいて──。
…………僕は尋常な雰囲気じゃないって思いました。
どうしたら良いのか分からなくて動揺していた僕とは違って──、ニュイちゃんは分裂をして分身体を物置部屋の外へ向かわせたんです。
ニュイちゃんの合図で僕も物置部屋から出て、直ぐに執務室へ走りました 」
神父:キャロメンド
「 スドゥ、それは確かですか?
〈 大陸神コビダエニカ様 〉と〈 大陸神コビダエニカの御遣い様 〉に誓えますか? 」
救世主:スドゥ
「 勿論です!
僕は嘘なんて吐きません!
〈 大陸神コビダエニカ様 〉と〈 大陸神コビダエニカの御遣い様 〉に誓います! 」
神父:キャロメンド
「 スドゥ、救護室へ連れて行ったセイリアン修道女見習いの具合はどうでしたか 」
救世主:スドゥ
「 …………暫くは救護室で過ごす事になるそうです。
………………セイリアンさんの身体には今日、付けられた傷だけじゃなくて…………古い傷痕も見られました。
それだけじゃなくて…………真新しい傷も有って……頻繁に身体に傷を付けられた様な痕や黒ずんだ痣が出来ていました……。
痛々しくて酷い有り様でした…… 」
神父:キャロメンド
「 そうですか。
話してくれて有り難う御座います、スドゥ。
──さて、修道女エンリルナ,修道女セリアンナ,修道女エーダリス,修道女シェドミラ,修道女ヨハンナ──、君達がセイリアン修道女見習いを物置部屋へ連れ出した理由を詳細に話してもらいましょうか。
君達は何故、5人でセイリアン修道女見習いを取り囲み、〈 大陸神コビダエニカ様 〉の信頼を裏切る聖職者にあるまじき犯罪行為に及んだのですか?
黙秘する事は許しません。
〈 大陸神コビダエニカ様 〉も聞いておられます。
皆に事実を話なさい 」
聖職者統括って立場なだけあって、アスベイル神父から感じる覇気が凄い。
アスベイル神父って、こんなに恐い人だったの??
修道女達はアスベイル神父が恐いのか、全身をカタカタと震わせている。
まるでドラゴンに睨まれた蛙みたいだわ。
4人の修道女達は顔面蒼白なのに対して、リーダー格の修道女は悔しそうに唇を噛んでいる。
自分達が悪い事をしたっていう自覚が無いみたい。
救世主:スドゥ
「 あの……、セイリアン修道女見習いが “ 娼婦の娘 ” ──とか言われて貶されていたみたいなんですけど…………。
何でセイリアン修道女見習いが “ メス豚 ” なんですか?? 」
アタシは如何にも申し訳なさそうな、か細い声で聞いてみる。
このまま黙りなんてさせないんだからね!!
アタシが発言した事に対して、修道女長は「 なんて酷い事を──。修道女としての自覚を無くしてしまったと言うの? 」って困惑しているし、修道女副長は「 どうしてそんな──。誰から聞いたのですか! 」って随分と御立腹みたい。
修道女長,修道女副長の言葉を聞いた修道女達の顔色が一変した。
こぞって「 そんな事は言ってない!! 」って真剣に弁解を始め出した。
修道士長は「 修道女の質が落ちたと感じてはいたが、よもや此処迄とは…… 」って頭を抱えているし、修道士副長は「 セイリアン修道女見習いの出生が気に入らなくて虐待をしていたのか? 」って驚いている。
セシリミア神父なんて「 再教育の必要が有りそうだな…… 」とか眉間に皺を寄せて首を左右に振っている。
マクロイス神父,ライネイド神父は修道女達を軽蔑する様な目で見ている。
アタシの発した言葉が、彼女達の立場を悪くしたみたいね。
でも事実だし、ちゃんと聞いてたもんね!
アタシは嘘なんて吐いてましぇ~~ん。
神父:キャロメンド
「 スドゥはニュイさんと謹慎中でしたね。
雑用を片付けるのは明日からにしなさい。
今日は謹慎室へ戻り、大人しく謹慎していなさい 」
救世主:スドゥ
「 分かりました。
失礼しました…… 」
アタシはソファーから腰を浮かせて立ち上がると、ニュイちゃんを抱っこしたまま執務室を出た。
救世主:スドゥ
「 ニュイちゃん、謹慎室に戻ろっか 」
ニュイ
「 にゅ~~ 」
アタシはニュイちゃんと一緒に謹慎室へ向かって歩き出した。
◎ 訂正しました。
このまま黙りなんて ─→ このまま黙りなんて




