✒ 君は生意気な奴だ 1-2
神父:キャロメンド
「 魔法の練習,訓練は裏庭で行う事になっている事は知っていますか? 」
救世主:スドゥ
「 はい。
魔法を使える修道士や修道士見習いが裏庭へ出て魔法の練習をしてるのを何度か見た事が有ります 」
神父:キャロメンド
「 神父ラウドゥルの教え子である修道士マイログ,修道士ヘレナム,修道士シュナド,修道士ゲイロンの4名は、大人しくて臆病そうな修道士見習いを魔法の的に使い魔法の練習をしていました。
然し、巧妙に隠されていた事もあり、証拠を掴めなかったんです。
今回、スドゥとニュイさんの活躍で彼等の悪事を明るみに出す事が出来ました。
御2人のお手柄ですよ 」
救世主:スドゥ
「 そんな……お手柄だなんて…(////)
鯔のつまり、ラウドゥル神父が裏で隠蔽工作を行っていた所為に証拠を掴めなかった──って事なんですか?
〈 大陸神コビダエニカ様 〉に遣える事を選んだ神父が隠蔽工作なんて──。
聖職者は “ 常に〈 大陸神コビダエニカ様 〉に行動を監視されている ” って教わっているのに何で平然と悪い事をしたり隠したりするんですか?
変じゃないですか?? 」
神父:キャロメンド
「 〈 大陸神コビダエニカ様 〉に遣える人生を選び、〈 大陸神コビダエニカ様 〉と共に生きる事を選んでも、本当に〈 大陸神コビダエニカ様 〉が実在している事を信じている聖職者は少ないと思いますよ 」
救世主:スドゥ
「 聖職者を統括するアスベイル神父が、それを言っちゃいますか? 」
神父:アスベイル
「 人間とは不思議な能力や現象に引かれるものです。
だからと言って、姿も形も味も匂いもしない、声を聞く事も出来ない存在である〈 大陸神コビダエニカ様 〉の実在を信じる事は難しいと思いますよ。
人間は自身の目で見たり体験した事しか信じる事が出来ない種族でもあります。
〈 大陸神コビダエニカ様 〉の大いなるお力を感じる能力が亜人種よりも鈍い事が関係しているのかも知れませんね 」
救世主:スドゥ
「 でもでも、生物が生きるのに絶対に必要不可欠な空気──丁度良い濃度の酸素を作って提供してくれているのは〈 大陸神コビダエニカ様 〉ですよね?
〈 大陸神コビダエニカ様 〉が大自然を使って生み出し続けてくれている酸素を吸って生かさせて頂けている訳ですよね?
これだけでも凄い事だと思うんですけど、パンチが弱くて駄目なんですか? 」
神父:キャロメンド
「 スドゥはちゃんと〈 大陸神コビダエニカ様 〉が定められた〈 宇宙大自然の法則 〉と〈 大陸の法則 〉が説かれている聖書を読まれている様ですね。
関心です 」
救世主:スドゥ
「 ニュイちゃんが教えてくれるんです 」
ニュイ
「 にゅにゅ! 」
ニュイちゃんは誇らしそうに鳴いてるけど、アスベイル神父には聞こえてないんだよね~~。
神父:キャロメンド
「 世俗から離れ〈 大陸神コビダエニカ様 〉の信徒として生きる聖職者も人間です。
誘惑に負け、悪事に手を染め、悪事に身を投じ、堕落してしまうのは人間の性かも知れません。
常日頃から己を律して、誠実に生きる事は案外に難しいという事ですね 」
救世主:スドゥ
「 そうかも知れませんね。
僕もニュイちゃんを連れて、彼此に散歩へ出掛けるのを止めれないですし! 」
神父:キャロメンド
「 何はともあれ、スドゥは少々素直で正直過ぎる様ですね。
もう少し状況を良く見て、思惟をして発言した方が良いでしょうね。
それが出来ていれば、修道士マイログ,修道士ヘレナム,修道士シュナド,修道士ゲイロンから、魔法を放たれる様な事態にもならなかったかも知れませんよ 」
救世主:スドゥ
「 …………それに関しては反省してます……。
僕も言い過ぎたと思います。
相手を煽るような事を言っちゃった自覚は有りますから…… 」
神父:キャロメンド
「 〈 大陸神コビダエニカ様 〉の信徒でありながら、〈 大陸神コビダエニカ様 〉の信頼を裏切った修道士マイログ,修道士ヘレナム,修道士シュナド,修道士ゲイロンに対しては相応の罰を与えましたが──、スドゥとニュイさんにも罰を与えなければなりません 」
救世主:スドゥ
「 えぇ゛……僕とニュイちゃんもですか!? 」
神父:キャロメンド
「 当然です。
〈 大陸神コビダエニカ様 〉は喧嘩に関して “ 両成敗 ” と説かれておられます。
加害者は先に絡み、手を出した修道士の4名ですが、今回の原因を作ったのは明らかに日頃のスドゥの行いです 」
…………ぐぅの音もでないわぁ~~。
確かに一理あるから言い返せない~~!!
神父:キャロメンド
「 ニュイさんに関してもです。
主人を守る為に立ち向かった事に関しては咎めません。
テムモンには主人を危険から守る権利が有ります 」
ニュイ
「 にゅ! 」
神父:キャロメンド
「 然し、やり過ぎたのは事実です。
ニュイさんならば、加減を出来た筈です。
骨を折る必要はなかったでしょう 」
ニュイ
「 にゅ~~…… 」
救世主:スドゥ
「 うぅ……確かにアスベイル神父の言う通りですぅ~~。
耳が痛いね、ニュイちゃん 」
ニュイ
「 にゅ~にゅ…… 」
救世主:スドゥ
「 アスベイル神父──、僕とニュイちゃんも禁固室で謹慎の刑ですか? 」
神父:キャロメンド
「 救世主様を禁固室に入れる訳にはいきませんよ。
謹慎室で夕食の時間まで謹慎して頂きましょう 」
救世主:スドゥ
「 う~~んと……、そういうのが “ 特別扱い ” って言うんじゃないですか? 」
神父:キャロメンド
「 救世主様は “ 特別扱い ” されるのは、お嫌いですか? 」
救世主:スドゥ
「 嫌じゃない……ですけどぉ~~。
“ 特別扱いされてる ” って、いちゃもんを付けられて絡まれるのは事実ですしぃ~~ 」
神父:キャロメンド
「 では溜まっている雑用を片付けて頂くとしましょうか 」
救世主:スドゥ
「 えっ? 」
神父:キャロメンド
「 此方がスドゥとニュイさんに片付けて頂きたい雑用のリストです。
宜しく御願いしますね 」
救世主:スドゥ
「 エゲつない量ですね……。
これを全部……ですか? 」
神父:キャロメンド
「 はい、全部です♪
謹慎中は此方の襷を付けてくださいね 」
救世主:スドゥ
「 えぇ゛~~!? 」
アタシはアスベイル神父からリストと襷を受け取った。
神父:キャロメンド
「 謹慎中は謹慎室で過ごす様にしてください 」
アタシはアスベイル神父から謹慎5号室の鍵を手渡された。
救世主:スドゥ
「 あれ、1号室 ~ 4号室は使用中なんですか? 」
神父:キャロメンド
「 最近、謹慎者が多くて困っています。
一体誰に感化されたのでしょうね? 」
救世主:スドゥ
「 ちょっ……何で僕とニュイちゃんを見るんですかぁ~~ 」
ニュイ
「 にゅ~~ 」
神父:キャロメンド
「 スドゥ、早速ニュイさんと一緒に雑用に取り掛かってください 」
救世主:スドゥ
「 は~~い……。
ニュイちゃん、一緒に頑張ろうね! 」
ニュイ
「 にゅ! 」
救世主:スドゥ
「 アスベイル神父、失礼しました 」
アタシはニュイちゃんを抱っこして執務室を出た。




