♥ 君は生意気な奴だ 1-1
──*──*──*── 3日後
アスベイル神父宛に渡されたきっしょい犯罪レベルのラブレター事件が解決してから3日後──、アタシはニュイちゃんを抱っこした状態で裏庭に居た。
何で裏庭なんかに居るのかと言うと──、先輩に当たる修道士達に呼び出されたからなんだよね。
何で呼び出されたのかは分からない。
救世主:スドゥ
「 ──あの、何の用ですか?
僕、花壇の水やりをしたいんですけど── 」
先輩修道士:A
「 スドゥ、お前は生意気なんだよ! 」
救世主:スドゥ
「 はい??
生意気……ですか??
…………僕には先輩達に対して生意気な態度なんて取った記憶はないんですけど…… 」
先輩修道士:B
「 お前だけ、キャロメンド神父を名前呼びしてるだろうが!! 」
先輩修道士:C
「 キャロメンド神父に特別扱いされてるからって、自由過ぎるんだ! 」
先輩修道士:D
「 自分が修道士見習いだって事を自覚しろよ!! 」
救世主:スドゥ
「 えぇとぉ~~~~これって、後輩1人を複数の先輩で集団リンチするって言う苛めですか?? 」
先輩修道士:A
「 なんだと?!
苛めな訳ないだろ!
これは先輩から後輩に対する “ 指導 ” だ! 」
4名の先輩修道士は顔をニヤニヤさせている。
残念だけど、イケメンは居ない。
何で顔をニヤニヤさせてるのか分からないけど、気持ち悪いんですけどぉ~~~~。
救世主:スドゥ
「 指導って──。
言葉を変えれば “ 問題にならない ” とか幼稚な事、思ってますか?
弱い後輩修道士に対して寄って集って “ 指導 ” するとか──、先輩修道士として恥ずかしい行為だとは思えないんですか? 」
先輩修道士:D
「 思わないねぇ!
見習いの分を弁えないお前が悪いんだぞ! 」
先輩修道士:C
「 テイマーだからって鼻に着せやがって!
毎日スライムなんかを抱き抱えて気持ち悪いんだ!! 」
先輩修道士:B
「 目障りなんだよ、そのスライムがな!
飼うなら教会の外で飼え!! 」
救世主:スドゥ
「 自分達より立場が低くて弱い修道士見習いに対して随分ですね。
神父を目指している修道士が情けないと思わないんですか?
〈 大陸神コビダエニカ様 〉からも〈 大陸神コビダエニカの御遣い様 〉からも見られてるんですよ?
姿も形も味も匂いもしなくても、存在しているし、実在しているし、遊在しているんですよ?
監視されてるのに、堂々と後輩苛めをするんですか?
そんな事をしていて立派な神父になれると本気で思ってるんですか? 」
先輩修道士:A
「 生意気な事を言うんじゃない!!
お前、魔法が使えないんだろ?
俺達の魔法練習の的にしてやるから有り難く思えよな! 」
救世主:スドゥ
「 えぇと──先輩達も教会へ入団する時に〈 大陸神コビダエニカの御遣い様 〉の石像の前で〈 大陸神コビダエニカ様 〉に誓いましたよね??
〈 大陸神コビダエニカ様 〉の信頼を裏切る行為をするんですか?
先輩達は〈 大陸神コビダエニカ様 〉の存在を実在を信じていないんですか?? 」
先輩修道士:C
「 生意気な後輩を指導するんだ。
これは先輩として正しい行為だし、後輩の為になる行為なんだよ。
〈 大陸神コビダエニカの御遣い様 〉も〈 大陸神コビダエニカ様 〉も御許しになるに決まってるだろ!
未熟者めがぁ!! 」
救世主:スドゥ
「 えぇ~~~……。
指導と称して後輩を魔法練習の的にする行為が本当に “ 許される行為だ ” って思ってるんですか??
先輩達は聖職者に向いてないと思います。
真面目に神父を目指して頑張っている修道士や修道士見習いに対して失礼ですし、悪影響しか与えませんよ。
それにニュイちゃんは飼ってないです。
ニュイちゃんは僕の大切な相棒──家族なんです。
ニュイちゃんに謝ってください! 」
先輩修道士:D
「 ふざけるな!
何で人間様が怪物に謝らないといけないんだ!! 」
先輩修道士:B
「 お前、先輩の俺達を侮辱したな!」
先輩修道士:A
「 身の程を弁えさせてやるよ!! 」
どうやらアタシは4名の先輩修道士達を完全に怒らせちゃったみたいね。
4名の先輩修道士達は、各々が魔法の呪文を唱え始めた。
これってぇ~~~~、超絶ヤバい展開かもぉ~~??
4名の先輩修道士達の利き手に魔法が集まる。
多分、自分が得意な魔法なんだろうね。
4名の先輩修道士達が利き手に集まった魔法をアタシとニュイに向けて投げ付けて来た!!
救世主:スドゥ
「 嘘でしょう?!
魔法を人に向かって使ったら駄目なんじゃなかった?!
頭、おかしいでしょう~~!! 」
魔法を投げ付けられた事なんて無いから、咄嗟の事過ぎてアタシは反応が出来ない。
アタシが唖然としているとニュイちゃんがアタシの前に飛び出して、飛んで来た魔法に体当たり!!
救世主:スドゥ
「 ──っ、ニュイちゃぁんっ!!!! 」
煙が凄い──!!
ニュイちゃんは無事なの?!
救世主:スドゥ
「 ニュイちゃんっ!! 」
アタシは煙に向かってニュイちゃんの名前を呼ぶ事しか出来ない。
「 いでっ 」とか「 あだっ 」とか「 もっへぇ~~ 」とか「 うぎゃ 」とかの痛々しい声が煙の中から聞こえて来る。
救世主:スドゥ
「 一体何が起きてるの?!
ニュイちゃん──、無事なのぉ!! 」
──*──*──*── 執務室
???
「 一体何事ですか? 」
???
「 キャロメンド神父──、貴方の教え子のスドゥ修道士見習いがテムモンに命令させ、私の教え子である修道士4名に怪我を負わせました!!
スドゥ修道士見習いに厳しい罰を与えさせてください!!
禁固室へ入れるべきです! 」
神父:キャロメンド
「 神父ラウドゥル──、スドゥは私が教育担当をしている修道士見習いです。
君にスドゥを罰する権利はありませんよ 」
神父:ラウドゥル
「 キャロメンド神父!
スドゥ修道士見習いは私の教え子を──4人に大怪我がさせたのですよ!!
それなのに “ 罰を与えない ” と言うのですか!! 」
救世主:スドゥ
「 誤解です!!
ニュイちゃんは僕を守ってくれただけです!
そりゃ……一寸やり過ぎたかも知れないけど…… 」
神父:ラウドゥル
「 何処が一寸だ!!
骨まで折っておいて反省もしないとは何事か!! 」
救世主:スドゥ
「 だって……、そっちが先に喧嘩を売って来たんだし、4人同時に魔法を投げ付けて来たからで── 」
神父:ラウドゥル
「 馬鹿を言うな!
私の教え子が人に向けて魔法を放つ訳がないだろう!!
嘘を吐くんじゃない!! 」
救世主:スドゥ
「 嘘じゃない!
何で僕が嘘を吐く必要があるんだよ!! 」
神父:キャロメンド
「 スドゥ──、黙ってください 」
救世主:スドゥ
「 でも、アスベイル神父── 」
神父:キャロメンド
「 神父ラウドゥル──、君の教え子達は〈 大陸神コビダエニカ様 〉の信頼を裏切った様ですね 」
神父:ラウドゥル
「 キャロメンド神父!
貴方まで何を言うのですか!
そのスドゥ修道士見習いの戯言を真に受けるのですか!? 」
神父:キャロメンド
「 修道士マイログ,修道士ヘレナム,修道士シュナド,修道士ゲイロン──、君達は自分が〈 大陸神コビダエニカ様 〉の信頼を裏切った自覚が無いようですね 」
神父:ラウドゥル
「 キャロメンド神父!
言葉を慎んで頂きたい! 」
神父:キャロメンド
「 魔法とは生活を助ける為の能力であり、弱い者を守る為に使う能力です。
他者を傷付ける為の能力であってはならないと〈 大陸神コビダエニカ様 〉も聖書にて説いています。
聖職者であり、神父を志す〈 大陸神コビダエニカ様 〉の信徒である修道士が、後輩である修道士見習いへ魔法を放つ等──、許される事ではありません。
これは再々、私が皆さんへ伝えている事でもあります。
どうやら君達には右から左だった様ですね。
残念な事です…… 」
救世主:スドゥ
「 ………………アスベイル神父……僕とニュイちゃんを信じてくれるんですか?? 」
神父:ラウドゥル
「 キャロメンド神父!
貴方はスドゥ修道士見習いを特別扱いし過ぎではないのですか!!
テイマーだからと言って自由にさせ過ぎです!!
長年修道士として頑張って来た4人より、新人の見習いの戯言を信じるのですか!! 」
くぅう~~~~……痛い所を突いて来る神父~~。
折角、アスベイル神父がアタシとニュイちゃんの事を信じてくれてるのにぃ~~~~!!
神父:キャロメンド
「 ──ニュイさんは知能が高く賢いテムモンです。
理由が無いのに他人を襲ったり怪我をさせたりしません。
テムモンが動く時は主人に危険が及んだ場合のみです。
魔法を使えない丸腰のスドゥに魔法を投げ付ければ、ニュイさんは主人を守る為に動きます。
ニュイさんに攻撃をされ、深傷を負わされても文句の言えない事をした自覚は君達には無いのですか?
君達が負った重傷はテムモンを連れているテイマーに魔法を投げ付ける愚行を犯した結果です。
反省しなさい 」
神父:ラウドゥル
「 ぐっ…………では、スドゥ修道士見習いとスライムには咎めは無しという事ですか! 」
神父:キャロメンド
「 修道士マイログ,修道士ヘレナム,修道士シュナド,修道士ゲイロン──、君達には〈 大陸神コビダエニカ様 〉の信頼を裏切った罰と魔法を使えない弱き後輩に対する魔法による暴力を振るった罰として、60日間の謹慎を言い渡します。
己の招いた愚行に反省し、〈 大陸神コビダエニカ様 〉へ懺悔しながら悔い改めなさい。
神父セシリミア,神父グランディ──。
修道士マイログ,修道士ヘレナム,修道士シュナド,修道士ゲイロンの4名を禁固室へ連れて行きなさい。
手当ては不要です 」
神父:ラウドゥル
「 キャロメンド神父!
禁固室だと?
手当てもしないで2ヵ月も謹慎させるのか!! 」
神父:キャロメンド
「 彼等4名には対告衆となってもらいます。
〈 大陸神コビダエニカ様 〉の信頼を裏切った聖職者に対する見せしめです。
私の決定に異議を唱えるならば、教え子達と共に神父ラウドゥルも共に禁固室へ入り謹慎でもしますか?
私は構いませんよ 」
神父:ラウドゥル
「 ──結構だ!
さっさと4人を禁固室に連れて行け! 」
ラウドゥル神父は怒りながら執務室を出て行ってしまった。
呆れた様子の顔をしたセシリミア神父,グランディ神父は、修道士マイログ,修道士ヘレナム,修道士シュナド,修道士ゲイロンの4名を禁固室へ連れて行く為に執務室を出て行った。
神父:キャロメンド
「 スドゥ,ニュイさん──、怖い思いをさせてしまいましたね 」
救世主:スドゥ
「 いえ…………あの、信じてくれて有り難う御座いました…(////)」
神父:キャロメンド
「 礼には及びません。
彼等の悪事を明るみに出せたのです。
私の方が感謝をしたいくらいですよ 」
救世主:スドゥ
「 えと……それってどういう事なんですか? 」
神父:キャロメンド
「 座って話しましょう 」
アスベイル神父に促されたアタシは、ニュイちゃんをソファーの上に下ろして、ソファーに腰を下ろして座った。
◎ 訂正しました。
未熟物目がぁ!! ─→ 未熟者めがぁ!!




