⭕ 此方を見て! 2
──*──*──*── 執務室
神父:キャロメンド
「 ………………………… 」
救世主:スドゥ
「 ………………………… 」
ニュイ
「 にゅ~? 」
神父:キャロメンド
「 ………………………… 」
救世主:スドゥ
「 ………………………… 」
ニュイ
「 にゅ~にゅ? 」
神父:キャロメンド
「 ………………………… 」
救世主:スドゥ
「 ………………………… 」
ニュイ
「 にゅにゅ? 」
神父:キャロメンド
「 ………………………… 」
救世主:スドゥ
「 ………………………… 」
ニュイ
「 にゅいにゅ? 」
神父:キャロメンド
「 …………………………スドゥ…… 」
救世主:スドゥ
「 はい? 」
神父:キャロメンド
「 教育係りに賄賂を渡して買収するなんて、一体誰に吹き込まれたんですか? 」
救世主:スドゥ
「 吹き込まれてないですよ?
これは、あくまでも “ お土産 ” であって、賄賂じゃないです。
勿論、御世話になっているアスベイル神父を買収しようなんて考えた事もないですよ?
だよね、ニュイちゃん 」
ニュイ
「 にゅいにゅにゅ! 」
神父:キャロメンド
「 何故疑問系なのか聞いても? 」
救世主:スドゥ
「 えぇ~~とぉ~~…… 」
アタシはアスベイル神父と向き合う形でソファーに座っている。
テーブルの上にはニュイちゃんとアスベイル神父への “ お土産 ” と箱が並んでいる。
神父:キャロメンド
「 スドゥ…………。
貴女は少々自由過ぎる様ですね 」
救世主:スドゥ
「 …………御免なさい…… 」
ニュイ
「 にゅ~ 」
神父:キャロメンド
「 外で沢山食べて来た様ですし、今夜の夕食は必要なさそうですね 」
救世主:スドゥ
「 えっ? 」
神父:キャロメンド
「 スドゥ──、明日の朝食まで謹慎室で謹慎してください 」
救世主:スドゥ
「 えぇっ!?
謹慎ですか…… 」
神父:キャロメンド
「 そうです 」
救世主:スドゥ
「 そんなぁ~~!
折角美味しい賄賂を用意したのに、お咎め有りなんですか!? 」
神父:キャロメンド
「 スドゥ……。
ニュイさんと一緒に謹慎してください。
お土産はスドゥからの “ 差し入れ ” として夕食に皆さんと美味しく頂くとすます 」
救世主:スドゥ
「 あ~~はい……。
皆さんで仲良く分け合って食べてください…… 」
あ~~ぁ、賄賂で買収する作戦は失敗しちゃったかぁ~。
まぁ、成功するなんて思ってなかったけどね。
神父:キャロメンド
「 謹慎ついでに、此方の箱も持って行ってください 」
救世主:スドゥ
「 えっ?
でも…この箱はアスベイル神父宛のラブレターなんですよ。
アスベイル神父に恋しちゃってるファンクラブの人達がアスベイル神父への気持ちを書いたラブレターらしいんです。
読まないんですか? 」
神父:キャロメンド
「 …………スドゥ──、私は恋文アレルギーなんです 」
救世主:スドゥ
「 えっ?
アレルギー…………ですか? 」
神父:キャロメンド
「 はい……(////)
恥ずかしい話ですが…………私は恋文を読むと全身に蕁麻疹が出るんです。
全身が痒くなり…………高熱に魘されながら3日は寝たきりになってしまいます。
ですから私宛に来る恋文は全て断っているんです…… 」
救世主:スドゥ
「 …………高熱で寝たきりになるのは辛いですね……。
知らずに受け取ってしまって御免なさい…… 」
神父:キャロメンド
「 いえ……スドゥに話していなかった私も悪いですから……。
恋文に関してはスドゥに非は無いですよ 」
救世主:スドゥ
「 それじぁ、この箱に入ってるラブレターは──、どうしたら良いんですか?
穴を掘って、燃やして消し炭にしますか?
それとも── 」
神父:キャロメンド
「 燃やすのは流石に……。
私の代わりに 恋文を読み、差出人へ御断りの返事を書いてください 」
救世主:スドゥ
「 えぇっ?!
僕が書くんですか??
大丈夫かなぁ~~。
字でバレたりしませんか? 」
ニュイ
「 にゅにゅ、にゅ~~い 」
救世主:スドゥ
「 えっ?
う~~ん……。
ニュイちゃんが言うなら……。
分かりました。
ラブレターへの返事は僕が書きます 」
神父:キャロメンド
「 助かります、スドゥ 」
救世主:スドゥ
「 良いですよ。
謹慎してる間、暇ですもん 」
アタシはソファーから腰を浮かせて立ち上がる。
ニュイちゃんの頭の上にラブレター入りの箱を乗せる。
アスベイル神父が執務室のドアを開けてくれる。
アスベイル神父の後ろを歩いて謹慎室へ向かった。
──*──*──*── 謹慎室
神父:キャロメンド
「 スドゥ──。
差出人への返事の件は任せます 」
救世主:スドゥ
「 は~~い。
あっそうだ!
断りの返事をだすなら、黒いチューリップを添えたらどうですか? 」
神父:キャロメンド
「 黒いちゅーりっぷ……ですか?
“ ちゅーりっぷ ” とは何ですか? 」
救世主:スドゥ
「 花言葉で “ 私を忘れて ” っていう意味の花なんです。
僕の故郷では──、恋が破局する時や別れの際,交際を求められて断る時のメッセージに使われてましたよ~~。
えぇと──、ユリ科のチューリップ属の黒花品種なんですけど、≪ コビダエニカ大陸 ≫には咲いてないですか? 」
神父:キャロメンド
「 その様な意味の花が有るのですね。
生憎と私は花に詳しくないので………… 」
救世主:スドゥ
「 黒菊も有るんですけど…… 」
神父:キャロメンド
「 くろきく……ですか? 」
救世主:スドゥ
「 僕の故郷で黒菊は白菊と一緒に御葬式に使われるんですよ 」
神父:キャロメンド
「 ……………御葬式に使われる花……ですか?
縁起が悪そうな花ですね? 」
救世主:スドゥ
「 黒菊は無いので作るんです。
簡単なのはプリンターインクを白菊に吸わせて黒くするんですよ。
あ~~でも、≪ コビダエニカ大陸 ≫にはプリンターインクなんて無いですよね?
墨汁って有るのかな??
白菊は咲いてるのかな?? 」
神父:キャロメンド
「 しろきく?
ぷりんたーいんく??
ぼくじゅう??
聞いた事の無い名前ですね 」
救世主:スドゥ
「 う~~ん……。
花を添えるのは無理っぽいですね。
残念かもぉ~~ 」
ニュイ
「 にゅ~~ 」
アタシはニュイちゃんと一緒に謹慎室の中へ入る。
神父:キャロメンド
「 ニュイさん、赤いリボンが似合っていますね 」
ニュイ
「 にゅい~~ 」
アスベイル神父がニュイちゃんのリボンを褒めてくれた!
ニュイちゃんは嬉しそうに体を揺らして鳴くけど、アスベイル神父にはニュイちゃんの鳴き声が聞こえないんだよね。
アスベイル神父にはニュイちゃんが体を揺らしている様にしか見えてない。
ニュイちゃんが喜んでるのが伝わらないのって残念だよね……。
アスベイル神父が謹慎室のドアを閉めて、廊下で鍵を掛ける音がした。
救世主:スドゥ
「 何度目の謹慎室だろうね、ニュイちゃん 」
ニュイ
「 にゅ~~ 」
救世主:スドゥ
「 よし──。
暇だし、ラブレターでも読もっか? 」
ニュイ
「 にゅにゅ~~い 」
救世主:スドゥ
「 ニュイちゃんもラブレターの内容が気になっちゃうの?
好きだねぇ~~ 」
ニュイ
「 にゅにゅい 」
アタシは両手で箱を持ち上げて、ベッドの上に置く。
ベッドの上に腰を下ろして座ったら、箱の上蓋を外してラブレターを1枚出した。
ラブレターなんだから、アスベイル神父に対する愛の告白文だよねぇ~~。
プププぅ~~、どんな事が書かれてるのか楽しみぃ~~。
封筒を開けて、中身の便箋を出して広げる。
救世主:スドゥ
「 ではでは、ニュイちゃん、読んじゃいまぁ~~す♪♪ 」
ニュイ
「 にゅにゅ~~い♪♪ 」
アタシはラブレターの内容を声に出して読み始めた。
ざっとラブレターを読んでみたけど、どの内容も胸焼けしちゃうくらい胸糞悪い内容だった。
確かに相手に想いを綴ったラブレターなんだけど──、どの内容も癖が強くて過激だから、モザイクを掛けないといけないレベル。
未成年には、お見せ出来ない──お聞かせ出来ない内容になっていた。
片想いを拗らせた女性の恋心って恐いわぁ~~。
アタシには到底書けない内容ばかり。
厳密に言えば、アスベイル神父はファンクラブの女性会員達,男性会員達から “ 激しく歪んだ愛情で愛されまくってる ” っていうのが分かった。
救世主:スドゥ
「 …………毛髪で刺繍されたハンカチって恐いね。
これは返してあげないとだよね? 」
ニュイ
「 に゛ゅ~~…… 」
ニュイちゃんもラブレターの内容にドン引きしてるみたい。
このラブレターをアスベイル神父が読まなくて良かったと思わずには入られないよ。
救世主:スドゥ
「 ニュイちゃん、封筒に同封されてる贈り物は返しちゃおうね。
ヤバい贈り物が同封されてるなんて想定外だよ。
これは “ 絶縁 ” を仄めかせる黒菊を添えて返したいよ。
黒リボンを付けてね! 」
ニュイ
「 にゅにゅ!
にゅーにゅ、にゅにゅにゅ 」
ニュイちゃんがアスベイル神父の操の危機を心配してる?!
そう言えば──、聖職者になったら身心共に〈 大陸神コビダエニカ様 〉へ捧げる誓いを交わすから、恋人も作っちゃ駄目なんだっけね?
………………女性は兎も角、男性はどうやって処理とかしてるんだろうね??
…………やっぱり個人でひっそりと済ませるのかな??
処理するだけなら同性同士で協力し合って──なんて事も有るかも知れないけど……、アスベイル神父の場合は異性だけじゃくて同性からも好意を向けられちゃうから──、やっぱり1人で処理してるのかも??
流石に幼い子供を使って処理なんてしないよね?
それだと、最低な性職者になっちゃうしぃ~~。
お風呂なんて入れないから、身体を清める時にでも処理してるのかも??
ハッ!!(  ̄□ ̄;)!!
や…嫌だな~~、アタシったらぁ~~(////)
何を考えちゃってるんだか!!(////)
べ…別にアスベイル神父の性処理行為の方法なんて、どうでも良いじゃんね?!
そ…そうだよ──、考えちゃ駄目だぞ、アタシ!
乙女はそんな下世話な事を気にしたりしないんだぞ!!
良いじゃないのよ、アスベイル神父にだって他人様に知られたくない秘密の10や20は有るよ!!
勘繰りしちゃ駄目だぞ、アタシ!!
……………………あれかな~~~~…………非番の時に風俗店みたいな所へ行って済ませたり──。
………………う~~ん……何か想像が付かないな。
非番のアスベイル神父が性処理する為に風俗店で働く女性を抱いたり、男性を抱いたりするかな??
ニュイ
「 にゅにゅ? 」
救世主:スドゥ
「 えっ?
あ……えぇとぉ~~黒菊と黒リボンだったよね?
用意が出来るの、ニュイちゃん?? 」
ニュイ
「 にゅ! 」
救世主:スドゥ
「 有り難ね、ニュイちゃん!
頼りになるぅ~~ 」
ま、まぁね──、アスベイル神父の下世話な話題は一旦、横に置いとこう!
気を取り直したアタシは、差出人達へ1枚1枚丁寧に断りの返事を書く事にした。
この作業は予想外にも気が滅入っちゃうなぁ~~。
アタシ──、アスベイル神父みたいに美文字で文章なんて書けないんですけどぉ~~。
救世主:スドゥ
「 ふぅ~~……。
やっとこさ書き終わったよぉ~~。
字の書き過ぎで手が痛いよ…… 」
アタシは書き終えたメッセージカードを確認する。
書き終わって気付いちゃったけど──、アタシ……日本語で書いちゃってた!!
救世主:スドゥ
「 そうだった──!!
アタシ、コビダエニカの大陸文字なんて書けないんだったよ!
読めはすれど、書けないのを忘れてたぁ~~!!
どうしよう………… 」
ニュイ
「 にゅにゅ~~ 」
救世主:スドゥ
「 えっ?
ニュイちゃんが何とかしてくれるの?? 」
ニュイ
「 にゅ!
にゅにゅいにゅ~~ 」
救世主:スドゥ
「 分かったよ、ニュイちゃん。
ニュイちゃんに任せるね 」
アタシは書き終えたメッセージカードと封筒をニュイちゃんの体内へ入れた。
ニュイちゃんは体を左右や上下に動かし始める。
何をしてるんだろうね??
ニュイ
「 にゅ~~い 」
救世主:スドゥ
「 終わったの? 」
ニュイちゃんはベッドの上にメッセージカードと封筒をペッ──と吐き出す。
救世主:スドゥ
「 一体何をしたの? 」
メッセージカードと封筒を見るとアタシが書いていた日本語がコビダエニカの大陸文字に変わっていた。
然もだよ、アスベイル神父が書いたかの様な美文字に変わっていた。
救世主:スドゥ
「 ニュイちゃんは体内で翻訳まで出来ちゃうの?!
文字まで変わってるしぃ~~。
有能っ!!
ニュイちゃん、不思議過ぎぃ~~!! 」
ニュイ
「 にゅにゅ! 」
ニュイちゃんは何処と無く誇らしそうに胸を張ってるみたい。
救世主:スドゥ
「 有り難ね、ニュイちゃん♪
何時も助けてくれて有り難う♥️ 」
アタシはニュイちゃんを抱きしめて、軽く口を付けてチュッチュッしてあげた。
救世主:スドゥ
「 感謝の気持ちだよ~~♥️ 」
ニュイ
「 にゅ~~(////)」
ニュイちゃんは嬉しいのかアタシの胸元にスリスリして来る。
らぁぶりぃぃぃぃ~~(*≧▽≦)♥️♥️♥️
救世主:スドゥ
「 後は封筒の中に返却する贈り物を入れて、封をしたら終わりだね 」
ニュイ
「 にゅにゅ! 」
救世主:スドゥ
「 それもニュイちゃんがしてくれるの?
有り難ね 」
──という訳で、ニュイちゃんの厚意に甘える事にして、アスベイル神父から任された作業は無事に終わった。
ニュイちゃんはメッセージカードの中に入るサイズの黒菊を用意してくれた。
小さな黒菊だね。
その黒菊の茎に黒リボンを蝶々結びをして、必要な数だけ作った。
黒リボンには、白糸で花言葉を刺繍してもらった。
これで黒菊を添えたメッセージの意味も伝わる筈だよ。
アスベイル神父のファンクラブが無くなっちゃうかも知れないけど、歪んだ愛情を手紙に入れて出す様な行き過ぎたファンクラブが消えても構わないよね?
有害でしかないとファンクラブなんだし、別に良いと思う。
救世主:スドゥ
「 ふぅ~~。
終わったねぇ、ニュイちゃん。
箱に入れ直したくど──、読み終わった手紙の処理だけど、どうしようね? 」
ニュイ
「 にゅいにゅ 」
救世主:スドゥ
「 そうだよね!
物質を変換さする事が出来るんだったよね。
じゃあ、宝石にでも変えとこっか? 」
ニュイ
「 にゅい 」
アタシは読み終えた手紙を全部、ニュイちゃんの体内の中へ入れた。
後はニュイちゃんにお任せだね!
この箱は明日にでもアスベイル神父に渡そう。
あぁ゛~~~~疲れちゃったぁ~~。
明日の朝食の時間まで、ゴロゴロしてゆっくり過ごそ~~っと!
救世主:スドゥ
「 ニュイちゃん、おいで。
ベッドの上でゴロゴロしよ~~ 」
ニュイ
「 にゅ~~い 」
ベッドの上にジャンプしたニュイちゃんと一緒にアタシはゴロゴロして過ごすのだった。
謹慎室ってゴロゴロ寛ぐ場所じゃないんだけどね~~。
◎ 訂正しました。
おとがめ ─→ お咎め