⭕ 返してもらいたい 2
◎ 読者の皆さん、お早う御座います。
2月21日の6時に14のPV,20時に16のPVが有りました。
読みに来てくださった読者さん、有り難う御座います。
“ 黒歴史の産物 ” を暇潰しのお供に選んでくださって嬉しいです。
──*──*──*── ボンチ・ゼネラゴアの家
救世主:スドゥ
「 ──此処がロレンダのクーペを強奪したボンボンの家なんだね。
立派な家に暮らしてんじゃん。
此処の村長は相当な額をぼってるね! 」
ニュイ
「 にゅ~~?? 」
ロレンダ
「 ……………………スドゥさん…… 」
救世主:スドゥ
「 大丈夫だよ、ロレンダ。
ロレンダの素直な気持ちを正直に伝えたら良いんだ。
悪い事する訳じゃないんだから、胸を張りなよ。
勇気を出して!! 」
ロレンダ
「 う、うん…… 」
救世主:スドゥ
「 ──僕がロレンダの手を握ってるよ。
ロレンダは1人じゃない。
何か言われたら、ニュイちゃんと僕が論破してあげるよ! 」
ロレンダ
「 ろんぱって何?? 」
救世主:スドゥ
「 分らず屋を正論と武力で黙らせる──って事だよ★ 」
違うけどねぇ~~。
コミュ障のアタシが口喧嘩で他人に勝てる訳ないから、ニュイちゃんに武力行使で黙らせてもらうの!
これっきゃないでしょ!!
ロレンダ
「 スドゥさん、ボンボンじゃなくて、ボンチだからね? 」
救世主:スドゥ
「 あはは~~…… 」
アタシは笑って誤魔化しながら、立派な村長の家のドアをノックした。
ドアから出て来たのは、ブタヌキみたいな不細工で醜いガキ大将だと思ってたんだけど──、全然違った。
そう──、ドアから出て来た子供は、蜂蜜みたいな輝く金髪を生やした碧眼のハンサムボーイだったの。
やべぇ…………涎が垂れて来ちゃう様な美少年…………。
救世主:スドゥ
「 ええと…………君が……デボタ君かな? 」
ロレンダ
「 スドゥさん、ボンチだよぉ~~ 」
救世主:スドゥ
「 そうそう、君がボンチ君なの? 」
金髪碧眼の美少年
「 違うけど──。
ボンチに何の用? 」
違うんかぁ~~~~い!!
だったら誰だよ、全くぅ~~。
紛らわしいよね!!
救世主:スドゥ
「 ロレンダがボンチに話があるんだ。
ボンチを呼んでくれるかな? 」
金髪碧眼の美少年
「 話ねぇ?
一寸待ってて── 」
金髪碧眼の美少年はドアを開けると家の中へ入って行った。
救世主:スドゥ
「 ロレンダ、今のって誰さん? 」
ロレンダ
「 アレスだよ。
ボンチとは双子なんだ。
お兄ちゃんだよ 」
救世主:スドゥ
「 ボンチって双子なんだね。
じゃあ、ボンチも金髪碧眼なの? 」
ロレンダ
「 違うよ。
目の色は同じだけど、地味な茶髪だよ。
後……無駄に肥えてるかな? 」
救世主:スドゥ
「 あ~~そうなんだ。
弟のデボタは性格が歪んでるって事だね 」
ロレンダ
「 ボンチだってば…… 」
暫くするとドアが開いた。
???
「 何の用だよ?
僕はお前に用なんて無いんだよ 」
ドアから出て来て姿を現したのはたのは、まさにブタヌキの様な容姿の人相が悪いガキだった。
コイツは確かに、取り巻きを侍らせてガキ大将をしてそうな雰囲気を醸し出している。
嫌な感じぃ~~。
救世主:スドゥ
「 君がボンチか。
君に大事な話をする為に態々来たんだ。
君にはロレンダの話を最後まで聞く義務がある 」
ボンチ
「 あぁん?
お前は誰だよ! 」
救世主:スドゥ
「 言葉には気を付けた方が良いよ、少年。
僕は君より年長者だ。
目上の人に対する礼儀正しい言葉使いの教育は受けてないのかな? 」
ボンチ
「 偉そうに言うなよ!
僕は “ 村長の息子 ” なんだぞ!
僕にそんな言い方をしてパパとママが黙ってると思うのか! 」
救世主:スドゥ
「 …………君、勘違いするなよ?
僕はゼネラゴア家で働く使用人じゃないんだ。
年下で真っ赤な他人の君への言葉使いや態度に配慮する義務は一切無い。
第一、偉いのは村長である君のパパであって、君自身じゃない。
子供はパパのおこぼれで使用人達から礼儀正しく接してもらえているだけだ。
君自身には財力も権力も地位も名声も無いんだよ。
パパとママの名前を悪用して偉ぶるんじゃない。
身の程を弁える教育を受けた方が良いよ 」
ボンチ
「 お…………お前、教会の修道士見習いだろ!
修道士見習い如きが偉そうに言うな! 」
救世主:スドゥ
「 確かに僕は修道士見習いだけど、悪い事をしといて平然と暮らしてる奴に文句なんて言われたくないな 」
ボンチ
「 悪い事だぁ?
何の事だよ!!
僕は何も悪い事なんてしてないぞ!! 」
救世主:スドゥ
「 自覚が無いなんて、とんだ困ったちゃんだね。
頭の悪い坊やに分かる様に、ゆっくり丁寧に話してあげなよ、ロレンダ 」
ロレンダ
「 う…うん…… 」
ボンチ
「 ロレンダぁ!
修道士見習いに何を吹き込みやがったんだ!! 」
ロレンダ
「 …………ボンチ、僕のクーペを返して! 」
ボンチ
「 クーペだぁ??
何の事だよ! 」
救世主:スドゥ
「 ロレンダ──、ボンチには理解力が無いんだから、ちゃんと親切に教えてあげないと分からないよ。
ほら、もう1度── 」
ロレンダ
「 …………1週間前に僕から取り上げた犬のヌイグルミだよ!
いい加減に返して!
クーペは僕のお祖母ちゃんが作ってくれた大切な友達なんだ!
大好きなお祖母ちゃんが僕に残してくれた形見のヌイグルミなんだよ……。
もう、返してぇ!!
クーペを返してぇ!! 」
救世主:スドゥ
「 ボンチ、人様の私物を取り上げた上に1週間経っても返さないなんて、悪質にも程があるんじゃないのか?
君のヌイグルミじゃないんだから、素直に持ち主へ返すんだ。
今なら未だ、鼻に割り箸を差し込んで裸踊りの刑で許してやるよ。
有り難く思いなさい! 」
ロレンダ
「 ………………わりばし??
はだかおどり??
スドゥさん…………何を言ってるのか分からないよぉ~~ 」
救世主:スドゥ
「 悪い事をしたんだから、相応の報い──罰を受けさせないと本人の為にならないんだよ。
公衆の面前で恥ずかしい裸踊りを披露させれば、2度と人様の大切な私物を奪ったりしないでしょ?
これ以上、ロレンダの様な被害者を出さない為にも、加害者の再犯を防ぐ為には必要な事なの! 」
ロレンダ
「 ……………………うん…… 」
救世主:スドゥ
「 ほらっ、ボケッと突っ立ってないで奪ったクーペを持って来なさい! 」
ボンチ
「 …………………………あんな…小汚ないヌイグルミなんか、もうねぇよ!! 」
ロレンダ
「 え……?
無いって……どういう事なの!
僕のクーペは何処なのぉ!! 」
ボンチ
「 お前のヌイグルミなんか、家に持って帰った後、ロッシーが咥えてどっかに持ってたんだよ!
ロッシーの玩具になったんだから、ボロボロになってらぁな! 」
ロレンダ
「 ロッシー……って何なのぉ!! 」
アレス
「 ロッシーはペットの犬だよ。
僕も見たけど、確かに見慣れないヌイグルミを咥えて遊んでたのは知ってるよ。
まさか──、ロレンダのヌイグルミだったとはね。
御愁傷様だよ 」
ロレンダ
「 そんなぁ…………お祖母ちゃんの形見なのにぃ~~!! 」
ボンチ
「 ケッ、知るかよ。
文句ならロッシーに言えよな!
大体、そんな大事なヌイグルミなら持ち歩いてんじゃねぇよ、馬鹿が!! 」
ロレンダ
「 うぅぅ………… 」
救世主:スドゥ
「 ボンチ、自分のした事を棚上げしてロレンダを責めるんじゃない!
奪い取っただけじゃ飽きたらず、ペットの玩具にしただって?
他人事みたいに言うんじゃない!
君は立派な加害者で、犯罪者で、当事者だろう!!
ロレンダを責めるより、先ずは自分の仕出かした過ちを悔い改めて、ロレンダに『 ごめんなさい 』だろう!!
御両親から人として大事な教養すらも教わってないのか!! 」
ボンチ
「 な……何で……何で僕がロレンダなんかに謝らないといけないんだよ!!
僕は “ 村長の息子 ” なんだぞ!! 」
救世主:スドゥ
「 “ 村長の息子 ” なら尚更だろう!
君はゼネラゴア家や御両親の顔に泥を塗りたいのか!
自分の仕出かした非を認めて謝る事も出来ない奴が、偉そうに威張るんじゃない!!
お前みたいな人の痛みや辛さが分からない奴は、人の上に立つ資格は無いっ!! 」
ロレンダ
「 ボンチ…………。
僕…………ちゃんと言ったよ。
クーペは大好きなお祖母ちゃんの形見だから “ 貸せない ” って、ちゃんと言ったし断ったよ!
それなのにボンチが無理矢理……僕からクーペを取り上げて持って行っちゃったんじゃないか!!
お祖母ちゃんと僕のクーペを返してぇ~~~~!! 」
ボンチ
「 しつこいんだよ!!
もう無いって言ってるだろ!!
お前から取り上げた日にヌイグルミはゴミになったんだよ!!
馬ぁ~~鹿ぁ~~!! 」
ロレンダ
「 うわぁ~~~~んっ!!
僕のクーペぇ~~~~…………。
クーペが返って来ないよぉ~~~~………… 」
救世主:スドゥ
「 ロレンダ…… 」
にっくきブタヌキ──じゃなくて、ボンチはロレンダとアタシに向かって、アッカンベーをするとドアを開けて家の中へ入ってしまった。
なんて悪質な悪ガキなのかしらね!!
ロレンダ君に謝る事もしないで家に入っちゃったわ。
救世主:スドゥ
「 ニュイちゃん──、釘バットをチラ付かせとくべきだったよね? 」
ニュイ
「 にゅ?!
にゅい~~………………にゅにゅ~ 」
救世主:スドゥ
「 全然反省してないデブタに鉄拳を食らわせてやりたいよね、ニュイちゃん 」
ニュイ
「 にゅ…………にゅにゅい………… 」
救世主:スドゥ
「 ニュイちゃん?
武力行使するよ!! 」
ニュイ
「 にゅ~~ 」
ニュイちゃんは乗り気じゃないみたい。
何でよぉ~~~~!!
ニュイちゃんはアタシの相棒で、アタシの味方の筈でしょう~~~~!!
救世主:スドゥ
「 ニュイちゃん、何で協力してくれないの?
ニュイちゃんは── 」
ロレンダ
「 スドゥさん……スドゥさん………… 」
救世主:スドゥ
「 どうしたの、ロレンダ?
待ってて、反省してないボンチを家から引き摺り出して── 」
ロレンダ
「 スドゥさぁん──!!
神父さまが来てるんだよぉ~~ 」
救世主:スドゥ
「 うん?
神父さま??
神父様がどうかし── 」
???
「 今回は、そのくらいにしときませんか、スドゥ 」
救世主:スドゥ
「 へ?? 」
アタシは背後から聞き慣れた声を聞いた。
幻聴かな??
ニュイ
「 にゅい………… 」
ニュイちゃんはバツが悪そうに大人しくなっている。
あれれんれぇ~~~~??
幻聴じゃない??
空耳でもない??
アタシの背後に居るのって──、正真正銘の………………アスベイル神父ぅ??
アタシは勇気を出して、後ろを振り向いてみた。
アタシとロレンダの背後に立っていたのは、正しくアスベイル神父だった。
救世主:スドゥ
「 アスベイル神父…………どうして此処に?? 」
神父:キャロメンド
「 ボンチ・ゼネラゴアの家へ行くと行っていたので、様子を見に来たんです。
今日は帰りましょう 」
救世主:スドゥ
「 えっ……でも…………未だ…… 」
神父:キャロメンド
「 スドゥはボンチ君を威嚇し過ぎました。
今日は帰りましょう。
続きは後日、教会でしましょう 」
笑顔で言うアスベイル神父から圧は感じられない。
ロレンダ
「 キャロメンド神父さま………… 」
神父:キャロメンド
「 ロレンダ君、1人で家へ帰れますか? 」
ロレンダ
「 はい……。
スドゥさん…………あの……色々と有り難う御座いました…… 」
救世主:スドゥ
「 ロレンダ…… 」
ロレンダ
「 キャロメンド神父さま、さようなら……。
スドゥさんも…………バイバイ…… 」
盗人ボンチから最愛のクーペを返してもらえなかったロレンダ君は元気を無くした状態で家へ帰って行った。
救世主:スドゥ
「 ロレンダ…… 」
ニュイ
「 にゅ~~………… 」
アタシはニュイちゃんと一緒に両肩を落として落ち込んだロレンダ君を静かに見送るしか出来ない。
なんて無力なんだろう。
焚き付けたのはアタシなのに、何の成果も上げる事も出来ずに──、なんて様なのかしらね?
神父:キャロメンド
「 スドゥもニュイさんと一緒に教会へ帰ってください 」
救世主:スドゥ
「 はい…… 」
今日は此処迄か──。
まさか、ロレンダ君の大切なクーペが取られた日に悲惨な目に遭ったなんて、一体誰が想像する事が出来たって言うの??
こんなのあんまりじゃないのよ!!
人様の私物に対して酷過ぎるんですけどぉ~~!!
アタシはニュイちゃんを抱っこして、ボンチ・ゼネラゴアの家を後にした。
◎ 訂正しました。
黒歴詩 ─→ 黒歴史
ヌイグルミだったとわね。─→ ヌイグルミだったとはね。




