✒ 全ては挨拶から
──*──*──*── 3日目
昨日はアスベイル神父から滞在中に宿泊する部屋を用意してもらった。
アスベイル神父には自称を “ 僕 ” にしていたアタシが女子だって事は見抜かれていた。
そんな訳で、アスベイル神父から修道士の法衣を貸してもらえる事になった。
髪型も男子っぽく見える様にって、アスベイル神父がアタシの髪を編み込んでくれた。
アスベイル神父って指先が器用みたい。
歳の離れた妹さんが居て、髪を結っていた事があって手慣れていたみたい。
因みに妹さんの名前は、エステイルスと言って修道女見習いとして頑張ってるみたい。
妹さんの話をする時のアスベイル神父は本当に嬉しそうで、現在反抗期真っ盛りな妹さんが心配みたい。
アスベイル神父が世話焼きなのって、シスコンの気が有るからなのかも知れないね!
そんな訳で、アタシは一昨日から男装した姿で、修道士見習いとしてアスベイル神父の横に付いて回る事になったの。
勿論、ニュイちゃんも一緒にね!
アタシはアスベイル神父の横に立って、教会に入ってくれる村人達に声を掛けて挨拶をする。
にこやかに親しみ易そうな笑顔を心掛けて──ね。
人当たりが良くて村人達に好かれているアスベイル神父からのサポートのお蔭で、アタシは村人達に顔を覚えてもらえてみたい。
アスベイル神父は長身で綺麗な顔立ちをしているハンサムさんだ。
腰まで長く伸びている輝く銀髪は、後ろに1本に結ばれていてる。
使われているリボンはアスベイル神父の瞳の色と同じ紫色をしている。
銀髪美成年のアスベイル神父は、幼女から年配女性に幅広く人気があるみたいで──、アタシは男装していて良かったと犇々と感じている。
容貌が良過ぎると要らぬ苦労をするみたいで、少年時代から相当大変な目に遭って来たみたい。
聖職者になる道を決めた理由は、自身の保身の為と平穏な生活を送りたかったからみたい。
聖職者になると世俗と離れて暮らす事になるから、女性で苦労する心配も無いだろうって思っていたみたい。
結局は異性の修道女見習いだけじゃなくて、同性の修道士見習い達からも注目される事になって、アプローチをされる事が続いて辟易していたみたい。
ふざけた鼻眼鏡を掛けてれば誰も寄って来なかったかも知れないよね。
因みにアスベイル神父が左耳に付けている赤色のピアスは妹さんがくれたプレゼントみたい。
右耳のピアスは妹さんが付けてるんだって。
恋人同士かよ!
神父:キャロメンド
「 ──御疲れ様でした、スドゥ。
私達も切り上げで夕食にしましょう 」
救世主:スドゥ
「 はい、アスベイル神父──。
ニュイちゃんも手伝ってくれて有り難ね 」
ニュイ
「 にゅ~~♪ 」
神父:キャロメンド
「 では食堂へ行きましょうか 」
アタシはニュイちゃんを抱っこして、アスベイル神父と一緒に食堂へ移動した。
──*──*──*── 食堂
アタシが空いてる席に座って料理が運ばれて来るのを待っている間、アスベイル神父は部下の神父達にテキパキと的確な指示を出している。
アスベイル神父は仕事の出来る人みたい。
指示を出している時の顔はキリッとしていて格好いい。
修道女や修道女見習いが思わず見惚れちゃうのも分かる。
同性にも好かれるのも何と無く分かるかも知れない。
何でアタシは他の修道女や修道士みたいに、アスベイル神父に対して好意を抱かないんだろう??
銀髪で紫瞳の美丈夫な美男なんて、どストライクの大好物なんだけどな~~。
救世主:スドゥ
「 不思議だよねぇ、ニュイちゃん 」
ニュイ
「 にゅい~~? 」
救世主:スドゥ
「 スライムのニュイちゃんには色恋沙汰なんて分からないかな? 」
ニュイ
「 にゅ~? 」
神父:キャロメンド
「 御待たせしてしまいましたね。
いただきましょうか 」
救世主:スドゥ
「 大丈夫です。
未だ、運ばれて来てませんから 」
ニュイ
「 にゅにゅ 」
救世主:スドゥ
「 ニュイちゃんは此方ね 」
ニュイ
「 にゅ?!
にゅ~~にゅ~~ 」
救世主:スドゥ
「 ニュイちゃん、其処にはアスベイルさんが座るから! 」
ニュイ
「 にゅにゅ~~ 」
何でか退くのを拒むニュイちゃんを持ち上げて右側の椅子の上に乗せる。
強引に退かせたからなのか、ニュイちゃんは不貞腐れてるみたい。
救世主:スドゥ
「 拗ねたニュイちゃんも可愛いよ♥️
癒されるぅ~~(////)」
神父:キャロメンド
「 ニュイさんは拗ねているのですか?
スライムも妬いたりするのですね。
実に興味深いです 」
救世主:スドゥ
「 ニュイちゃんの声が僕にしか聞こえないのが勿体無いです。
声も可愛いんですよ 」
神父:キャロメンド
「 そんなに可愛いのですか?
聞けないのが残念ですね 」
料理が運ばれて来る。
今晩の料理はスライスされたパンとシャバシャバなシチューぽいスープ,太くて長いウインナーとスクランブルエッグの4種類。
スライスされたパンにスクランブルエッグを乗せて食べたり、シャバシャバなシチューぽいスープに付け食べたりするの。
はぁ…………普通のシチューが食べたい。
救世主:スドゥ
「 …………ウインナーは絶対に輪切りにして出した方が食べ易いと思うんですよね。
何で毎回、このままで出すんだろう?
手間を省いてるのかな?? 」
あ~~あ……、悲しいかなアタシには分かっちゃってるんだよねぇ。
太くて長いウインナーは必ず毎晩、メニューに入っているらしい。
これだけで卑猥な想像をしてしまう。
どうやら聖職者の皆さんは、如何わしい妄想しながらウインナーを食べるのが御好きらしい。
聖職者が聞いて呆れちゃうけど、人間だものね。
想い人の逞しい●●●●を想像しながら食べたい衝動に駆られるのは仕方無い事だと思うの。
オカズにされてる本人さんは気付いてるんだか、敢えて知らない振りをしてるんだか分からないけど、後者なら佛様じゃない??
救世主:スドゥ
「 明日から僕の分だけでも切ってもらえないかな? 」
アタシだってウインナーは大好きだし、小さいウインナーよりも食べごたえのあるウインナーは大好きだよ。
だけど、かぶり付いて食べるのには抵抗が有るんだよね。
だってほら、アタシは14歳のピッチピチな乙女だからね!!
一寸恥ずかしかったりするんだよね!
特に左隣に美丈夫な美男が座っていると余計にね!!
神父:キャロメンド
「 数が多いから仕方無いと思いますよ?
食べ難いのは確かですけど、食べていれば慣れます 」
救世主:スドゥ
「 ………………そうですね…… 」
そりゃ、毎日食べてれば慣れるのは当たり前だけどぉ~~~~。
料理の味が薄口過ぎて現代っ子の口に合わないからって理由で、用意してもらった料理を残すなんて勿体無くて出来なかいから、ちゃんと完食しなくちゃ──。
スクランブルエッグにも何の味も付いてなくて食べに難いんだよねぇ……。
味塩コショウなんて無いのは分かってるけど──、せめて塩とか胡椒とか無いのかな??
これは何とかしたいかもぉ~~。
うぅ~~味テロするにも飯テロするにも、料理の知識が無いと出来そうもないし…………。
漫画やアニメみたいには上手く行かないよね。
前途多難かもぉ~~。




