第7話 最上は本当に優しいな、やっぱり好きになって正解だった
「今日は買い物に付き合ってくれてありがとな」
「どうせ暇だったから別に構わないぞ」
「妹も多分喜んでくれはずだ」
ゲームセンターを後にした俺達は家路へと向かって二人で歩いていた。しばらくは普通に雑談をしていたわけだが桐生さんは突然真剣な顔になって口を開く
「なあ、最上は何で学校で腫れ物扱いされてる私なんかに優しくしてくれるんだ?」
「ぼっちだから別に失うような人間関係がないからってのも勿論あるけど、一番はやっぱり桐生さんが寂しそうに見えたからかな」
「私が寂しそうに見えた?」
「群れて馴れ合うつもりなんてこれっぽっちもないとか今日の朝も言ってたけど本当は皆んなと仲良くしたいんじゃないか?」
「そ、それは……」
俺の言葉を聞いた桐生さんは動揺したような表情になった。この反応的にほぼ間違いないだろう。
「もし本当に群れたりするつもりが一切ないなら俺とこうやって話したりとかも絶対してないだろ」
「……そっか、最上にはバレバレか」
それから桐生さんは今まで俺に話した事が無かった気持ちを打ち明け始める。桐生さんは昔から友達を作りたかったが不器用でコミュニケーションが苦手な上に周りから怖がられて誰とも仲良くなれなかったらしい。
だからその辛さを必死に誤魔化すために孤高の一匹狼を演じていたのだ。だが俺という自分を怖がらないイレギュラーが現れた事により人生で初めて話し相手ができた。
それが嬉しくて俺に頻繁に絡んでくるようになって今に至るというわけだ。
「それで桐生さんはこれからどうしたいんだ?」
「クラスの皆んなと仲良くなりたい……でも私なんかにできるかな?」
不安そうな顔でそう言葉を漏らす桐生さんに対して俺はにこやかに声をかける。
「桐生さんなら大丈夫だ、だって俺っていう友達がもう既にいるんだから」
「でも最上は他の奴らと違って私の表情を正確に見分けられるから仲良くなれただけだし……」
「確かに周りの奴らに俺と同じレベルを求めるのは酷かもしれないけど、それなら桐生さんが頑張って変われば良いだけだろ」
「……そんな事本当に出来るのか?」
「桐生さんなら絶対出来ると思ってる」
俺は強い口調でそうはっきりと告げた。
「そっか、最上がそう言ってくれるならなんか大丈夫そうな気がしてきた」
「俺も桐生さんを精一杯サポートしてやるから」
桐生さんの顔からはさっきの不安そうな表情はすっかり消えており、むしろ自信に満ち溢れているようにさえ見えるくらいだ。
「最上は本当に優しいな、やっぱり好きになって正解だった」
「そうだろうそうだろう……えっ、今何て言った?」
私が好きになった男と聞こえたような気がしたのだが。
「好きになって正解って言ったんだよ、こんな事を二度も言わさせるな」
「おっ、おい。それって一体どう言う意味だ……?」
いや、多分昼間の私と付き合え発言と同じでつい紛らわしい発言をしてしまっただけだろう。
「勿論さっきの好きの意味はライクじゃなくてラブの方だからな」
「き、急にどうしたんだよ!?」
突然の愛の告白に俺は驚き過ぎてパニックを起こす寸前だった。
「最上が私を惚れさせるような事ばかりするから悪いんだ」
「別に大した事なんかしてないだろ、それに俺よりも良い男なんて世の中に星の数ほどいると思うけど」
「確かに最上は顔も普通で背もあんまり高くないヒョロヒョロ体型だから男としてはイマイチ……いや、むしろダメな方か」
「……おい、高いところに上げてから思いっきり最下層まで叩き落とすなよ」
「でも家族以外で本当の私を理解してくれたのは最上だけだ」
そう口にした桐生さんは本当に嬉しそうな顔をしている。どうやら俺は無自覚イケメンムーブをかまして桐生さんをベタ惚れさせてしまったらしい。
「クラスの皆んなと仲良くなるのと同時に最上を私に惚れさせてやるから覚悟しておけ。手加減は一切しないからな」
「お、お手柔らかに」
今日一日で色々な事があったが、本当に大変なのは明日からだ。皆んなからヤンキーと勘違いされている桐生さんの誤解を解くのはかなり大変に違いない。
でも俺と桐生さんの二人でならきっと出来るはずだ。俺なんかを好きになってくれた桐生さんのために全力を尽くそう。俺は強くそう心に決めた。
これにて本作は完結となります、ありがとうございました!
続きを望む声があれば書きたいと思います〜
また新たに新作である
【どうやら今どきギャルな幼馴染の姉は何でも完璧にできる双子の兄の劣化版と呼ばれている俺の事を病的に愛しているヤンデレらしい】
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