肉を求めて
終末世界の朝は早い、十時に起きてお姉ちゃんが作ったほぼ野菜のご飯を食べて、昼寝して、散歩して、昼寝して、ご飯を食べて、一日が終わる。
一週間が過ぎたころ、
「肉、肉が食いたい!、お姉ちゃん!肉を食べたい」
私はよだれが出るほど、肉を欲していた。
お姉ちゃんは私の手を握った。ああっ、なんて柔らかいんだ。なめたい、そして撫でてほしい、全身をくまなく、理性よ、保て、
「そうだよね、ごめんね、動物性たんぱく質必要だよね!お姉ちゃんに任せて」
私を真剣に見るそのまなざし、いいっとってもいい、ずっと見ていてほしい!
「あじぃ」
私とお姉ちゃんは肉を求めて東京の街をさまよった。しかし、肉など、どこにもなかった。
「づがれだ」
「少し、休もうか」
ふと休憩がてらにサバイバルグッズの店に入った。店ではサバイバル用のナイフなども置いてあった。お姉ちゃんはニヤッと笑って、
「きょうか、お姉ちゃん、強硬手段に出るね」
お姉ちゃんはサバイバルナイフを片手に店を飛び出し、野生のイノシシに向かって走っていった。勢いをつけて飛び掛かり、イノシシの体にナイフを突き刺し、血にまみれながらイノシシと格闘し、イノシシを倒して帰ってきた。血にまみれながら満面の笑みでイノシシを運ぶ様子を見て私は体の中が熱くなるような興奮を覚えた。
夜、イノシシの肉は晩御飯の分厚いステーキになった。
「いっただきまーす」
私は笑顔でステーキにかぶりつく、硬かった、獣臭かった、美味しくなかった。お姉ちゃんは満面の笑みで私を見ている。
「おいしいょ」
不味いなんて言えなかった。