01話。あのクソガキ
「ピヨンーピヨンーピヨンー」
涼しい風が吹いて匂いを嗅ぐだけで心が晴れる10月秋の空気。
そしてそれを全部飲み込むそうにうるさい救急車サイレンの音。
人が多い東京中心街にもかかわらず遅い夜だから、音がさらに響き渡る。
ハンドルを握っている人から通りほとんどの人が救急車に向かって一瞬眺める。
救急車に乗っている緊急患者であり、
このすべての注目を一身に受けている人気人は誰かな?
誰だろうと予想した?
そうだ、それはまさに《俺》だ。
11時頃かな?読書室で勉強を終えて家に帰るところだった。
勉強が今日に限って妙にうまくいかなくて気分も良くないし、
ただ早くベッドに横になって寝たい気持ちだけだった。
今日覚えた英単語を頭の中に思い出して復習しながら歩いている途中、
ふと目の前の横断歩道に手を挙げて歩いている6歳,7歳くらいに見える幼い女の子が見えた。
そして、背後からから聞こえてくるうるさい車のドリフト音、おそらく飲酒運転者だろう。
人に迷惑をかけずどこかの街灯に打ち込んで一人で死んでしまえ
おそらく当時はそう思っただろう。
しかし、思ったことは違って車はそのまま直進し、横断歩道に向かって速いスピードで走ってきた。
方向を見ると99%女の子を打っていくのが目に見えた。
そして予想通り車は女の子に向かって突進した。
女の子は何も感じないまま平然と歩いていたところ、
俺はその女の子を押しのけた。とても強く。
1メートルくらい飛んでいったかな。
まあ、お前は膝に傷がついてるかもしれないけど命に別条はない、
とても運が良かったよ、お前は。
それにしても俺はどうなったか分かる?
車の突進を全身で受け、その衝撃で空中に飛び、
そのまま床に墜落、
肋骨がほとんど壊れて内臓も破裂したんじゃないかな?
床に落ちて頭も衝撃を受けたので、
まあこの程度なら死100%だ。
俺はそのまま気絶、まもなく救急車が駆けつけた。
そうだ、俺は死んだ。
いや、まだ死んではないけど、すぐ死ぬのは時間問題だ。
このように回想できるのも多分今死の世界へ行く途中だからだろう。
特に後悔はない。 本当にゴミみたい退屈な人生だったからだ。
今この状態になったのに別に思い出す人もいない。
ただ理解できない二つがある。
俺はすごく利己的な人だ。
家庭環境の影響でもなく、生まれた時からそういう人だった。
そんな俺がどうして知らない子供のため自分自身を犠牲しただろうか。
さて、本当何より理解できない最後の二番目
どうしてそのくそやろは最後に笑ったんだろう?
最後の最後の気絶直前、目が閉じる直前、
俺はあいつの微笑を見た。
口元が少し上がった、
分からない笑みを浮かべて汚く笑っていたあのちびっ子。
なぜなのか、
俺はお前のため犠牲になったのに、
お前はなぜ、
あ..あ..終わりだ..もうすぐ.............................................
「...?ここ..は?..」
「気がついた?ユウト..本当に...本当に...よかった..」
..?え?え?俺の母だ。
俺は死ななかった。
生命力がなかなかの粘り強いやつだと考える暇もなくもう涙がとめどなく流れていた。
本当怖かった。
痛かった。
冷たかった。
当然死ぬかと思った。
しかし、生きて帰ってきた。
そして母を見たら自分自身を制御できなかった。
ただ抱きしめてとめどなく泣くばかりだった。