9話 紅い瞳
アルヘナはニコライを物凄い殺意で睨み、鞘から刀を抜く。
「貴様だけは必ず殺してやる」
アルヘナは右脚を負傷してるがそれでも、歯を食いしばりニコライの所に走り
向ってくるアルヘナの顔に右ストレートする。
ニコライの拳が顔に当たる擦れ擦れで顔は左に向け躱し、そのまま腰を低くしたまま、ニコライの右腹を切り裂く。
「うっ!素早いな娘だが、浅い浅すぎるそれではおれを殺すことは出来ないぞ」
ニコライはにやけながらアルヘナに言う。
アルヘナは右脚を右手で触り右脚を気にする。少しばかりまずいわ。さっきの
戦闘で右足が上手く力が入らない。こうなったら白兵戦に持ち込むしかない!
アルヘナは覚悟を決めた顔になりニコライと接近戦に入る。
アルヘナはニコライの拳をぎりぎりで避け、体を斬ってく。アルヘナとニコライの攻撃は攻防する。
しまった!アルヘナは瓦礫につまづき、態勢が崩れる。ニコラスはそれを見逃さず左の拳で顔を殴り飛ばす。
ジュリアスの近くまで飛ばされる。ニコライはゆっくり近づく。
「安心しろお前を殺したらすぐに王子も送ってやる」
アルヘナは座り込み泣きそうになる。ここで終わりなの?私はジュリアス様を
守れないの。
「----まだやれるかアルヘナ?」
アルヘナは後ろを振り返ると、ジュリアスが立っていた。
「・・・・どうして?生きてる?」
ジュリアスは座り込んでるアルヘナに手を差し伸べ手を取りアルヘナは立ち上がり不安そうな顔でジュリアスを見る。
「アルヘナパニックになって、脈確認しなかっただろ」辛そうに笑う。
「奴は気づいてただろう。俺が気絶してたことに」
ジュリアスは右目に付けてる眼帯を外し、右腕を押さえる。
「腕が痛いのでか?」
「ああ、右腕は折れてる」壁にうっ飛ばされた時に折れたのか。アルヘナも
怪我をしてる。戦いが長引けばこちらが不利だ。
ジュリアスは刀を左手で持ちアルヘナに言う。
「アルヘナ二人で攻撃るす。それと俺を信じろ」
「はい!」
二人はニコライに向かって広がり走り、ジュリアスがニコライの右横に行き
ニコライの振りかざされる手の甲を、背を低くして躱し振りかざされた右腕の上腕二頭筋あたりを左手に力を入れ切り裂く。
「痛いじゃないか、ガキー!」
ニコライは左拳でジュリアスの腹を狙いアッパーのような構えをする。
その瞬間にアルヘナはニコライの左ふくらはぎを刀で斬る。
ニコライはジュリアスを殴ろうとした左手をそのまま後ろに振りかざし
アルヘナに攻撃する。アルヘナは刀で防ぐが刀が折れる。
「しまった刀が!」柱に体が激突する。
ジュリアスは骨折した右腕の痛みに顔を歪ませ、一旦後ろに下がる。
「お前腕折れてるのか。仲間の女の刀は折れ、お前は右腕が折れてる。絶望的だな王子様よー」
ニコライは両腕を広げながら走り向かってくる。ジュリアスは目を瞑り、すぐに開け、右目の瞳が紅く綺麗に光る。
ジュリアスも真正面に走り出し、ニコライは急停止する。
「お終いだーー!」
ジュリアスは大きく股を広げてるニコライの下を滑り込みニコライの背後で
しゃがむ。ニコライは後ろを振り向く。
「よく躱したな。だが次で本当に息の根を止めてやる」
ニコライはジュリアスの左手に視線を送る。奴の刀はどこだ?滑り込んで落としたのか?
ジュリアスは冷たい瞳でニコライを見る。
「ああこれで本当にお終いだ」
ニコライは驚きの表情で顔を上に向ける。そこには刀を持った、アルヘナがいた。ジュリアスが滑り込む一瞬に空中に刀を投げ、ニコライの背後でしゃがんでる、ジュリアスの左肩を踏み台にしアルヘナが宙に舞い刀を掴んでた。
「お終いよーー!ニコライ」
ニコライの脳天に刀が刺さり、ニコライは膝から倒れる。
ジュリアスは右腕を押さえながら、アルヘナの元に近づく
「よく俺の意図がわかったな。もし気付いてくれなかったら、俺は殺されてただろう」
アルヘナは微笑みながらジュリアスに言う。
「信じてたので。・・・・ジュリアスが何も考えずに真正面から突っ込まないのと動きを見てたので」
二人は静かに微笑む。ジュリアスたちが居るホールの扉が勢いよく開く。
「大丈夫ですかボス!」シリウスが駆けつける。
「ぎりぎりかな。いやかなり危なかったけど、流石一様貴族になっただけはある」
「ご無事で何よりです」
アルヘナ刀をジュリアスに渡しシリウスに聞く。
「ニコライの家臣はどうなっりました?」
「敵兵と家臣は屋敷の外に拘束した後は指揮官であるボスが決めるだけです」
ジュリアスは頷き落ちた黒眼帯を左手で取りバルコニーに出る。二人もジュリアス一緒に出て両の後ろに立つ。
「ニコライ・アンドリアンは死んだ!だが私は無駄に命は奪わない。命の保証はリゲル・アルタイルの名に懸け安全を認めようこれより作戦を終わらせる!」
ジュリアスは屋敷の中に戻る。シリウスは慌ててジュリアスに言う。
「兵は殺さないのはわかる。だが家臣たちを生かしておくのはまずいだろ!」
ジュリアスは左手で眼帯を握りながら、シリウスに言う。
「ニコライを殺す目的は達したんだ。家臣たちは独房に入れとけばいい」
そう言い、ジュリアスは二人に背負向け一人で屋敷の外に向かい右目が紅く
光る。