7話 仕組まれた裏切
アトリアはシリウスに聞く。「ボスとはなんだ?」
ジュリアスはアトリアを真剣な眼差しで見つめ語る。
「騙してすいません。僕はリゲル・アルタイルではないのです。
本当の名は・・・・・ジュリアスクローディア」
アトリアは物凄く動揺し驚く。
「そんな事はない!フロリアン王の息子はジュリアス・クローディア
第二継承者は幽閉され、何者かの集団に殺されたと聞いたぞ」
アトリアは物凄い剣幕で立ち上がる。
「二人して私を謀るつもりだな!」
シリアスは落ち着くよう言い、ジュリアスは冷静にアトリアに事情を伝える。
「僕は、幽閉され十四歳の時にベルクックスに救われ二年間の間ベルクック邸
に身を隠してた」
アトリアは真剣な眼差しでジュリアスを見つめ、シリウスに確認する。
「それは誠かシリウス?」
「ああ本当の事だ戦って分かった」
アトリアは落ち着きを取り戻し冷静に言う。
「戦って分かった?」
「エンハンス王国に伝わる神に選ばれし王は未来を断片的に見る力与える。
ボスはその力で俺に勝った」
ジュリアスは右目にしてる黒い眼帯を外しアトリアに初めて未来を見た時を
言う。
「僕が初めて未来を見たのは、まだ幽閉されてた十三歳の時でした。雪が降る
冬に集団がサテライト城を襲い僕を外に出してる光景を」
アトリアは椅子に掛け考え込むように喋る。
「鮮やかな紅い瞳。確かにエンハンス王国に伝わる伝説は、選ばれた王は
未来視の力を授かり、未来視の力は様々だと言う」
シリウスは説得できたと思い、ジュリアスの肩に手を置きジュリアスは
右目に眼帯を付ける。
「だが・・・・仮にそうだとして私が力を貸すと?レグルス王は、弟ジュリアス王子を探してるはずだ。もし力を貸したと知られたら、私は処刑される」
シリウスは刀を抜き炎を纏わ慌てる。
「こいつ王国に密告するつもりですボス今ここで仕留めましょう」
ジュリアスとアトリアは沈黙に見つめ合い先に口を開くのはジュリアスだった
「刀を収めろ」
シリウスは慌てながら「こいつは危険です!」
ジュリアスはシリウスを見つめ落ち着きながら「大丈夫だ落ち着け」
シリウスは刀を収め、そのやり取りを見たアトリアはにやけ口を開く。
「力を貸してほしいなら覚悟を見せてほしい」
ジュリアスは不思議そうに「覚悟?」
「ああそうだーーーーニコライ・アンドリアンという男を殺してほしい。
そしたら力を貸そう」
シリウスは驚きながらアトリアに聞く。
「ニコライ・アンドリアンはシャウラの町の6名の貴族で俺たちと同じ
権力を持ってるなぜニコライの死を望む」
「奴は私の噂を嗅ぎまわってる目障りな存在だからだ」
ジュリアスはその言葉を聞き、アトリアに確認する。
「それは自分が帝国に王国の情報を売ってるてことでいいのですか?」
アトリアはジュリアスを見つる
「やるのか、やらないのか?王子」
「はあ・・・・やりますそのニコライは何処に居ますか」
「ニコライは町の中央の美術館にいる。絵にご執心だ話は終わりだ」
ジュリアスとシリウスはアトリア邸を退出する。アトリアは窓から
外を歩くジュリアスたちを見る。
1週間後
ジュリアスは一人で美術館の入り口に向かう。入口には護衛が二人居て
ジュリアスに立ち止まるよう伝える。
「止まれ美術館にはニコライ様がいる。他の者は入れることはできない」
「僕はリゲル・アルタイル。ベルクックス・アルタイルの息子です。
ニコライ・アンドリアン様にお会いしに来た」
護衛はジュリアスに待っているよう伝え一人が美術館に入り確認しに行く。
ニコライは大きな絵画を見ていた。確認しに行った、護衛がニコライの
耳元で言う。
「ベルクックス・アルタイル様の息子が会いに来てます。どういたしますか?」
「何!ベルクックスの息子がいいだろう通せ」
護衛がジュリアスに入るように伝える。
ジュリアスとニコライは対面する。
ニコライは太っていて口ひげを生やしてる男だ。ニコライはジュリアスに
拍手を求める。その手を掴み挨拶する。
「お会いしたのは、二度目ですねニコライ・アンドリアン様」
ニコライは高笑いしジュリアスに言う。
「そうですなベルクックス伯爵に紹介にされあなたを見た時なんて可憐な
見た目だと思いました。二人でゆっくりとお話しをしたいと思ってたんです」
ジュリアスはそれを聞き静かに笑った。ニコライは美術館に自分の
プライベートの部屋に案内すると言い案内する。
二人は部屋に入りソファに座り話にはいる。
「それで私に話とは何だい?」
ジュリアスは笑いながらニコライの噂について話す。
「貴殿の噂について事実を知りたくて」
「噂は事実だ」ニコライは躊躇なく言いジュリアスは驚く。
「随分と呆気なく言うんですね」
「別に隠すことはないですそれで噂の真意だけではないでしょう」
ジュリアスは前屈みになり真剣な顔をし話す
「アトリアは王国の情報を帝国に渡してるという噂を聞きそれが本当なら
許されることではない」
ニコライは少し唖然し笑う。
「まさかベルクックス伯爵の息子がこんなにも王国に忠誠があるとはまさに
王国を守る天使だな」
「天使だなんて僕は神などの類は嫌いなのです。それで本題なのですが
アトリアは用心深い」
ニコライも真剣になりジュリアスの話を聞き入る。
「それで武力行使をするんです。王国の法では地方の貴族同士のいざこざは
半数以上の著名が必要だと」
ニコライはジュリアスの言葉を聞き不安な顔になりジュリアスに尋ねる。
「確かにいい案だと思うが私は男爵他の貴族と違って身分が下、他の者が
著名するか?」
「他の貴族たちは確かな事実がないと著名しないでしょう。そこでシリウス卿にも協力してもらいます」
「確かにシリウス卿はフロリアン王から仕えてる。忠誠心は他の貴族も認めてる」
ジュリアスは紙を机に出し自信満々気にニコライに静かに語り掛ける。
「この紙に貴殿の名前を書いてほしい。後から僕の名とシリウス卿の名も
付けておきます」
ジュリアスが出した紙はアトリア・エルザ卿に武力行使する協定だった。
ニコライは協定書に名を書きジュリアスに確認する。
「リゲル卿本当に大丈夫なんだろうな」
ジュリアスは微笑みながらニコライに言う。
「ええ大丈夫です。私は王国の為にそして貴殿は昇進の為にそれでは僕は
これで失礼します」
ニコライとジュリアスはもう一度握手しジュリアスを見送る。
1週間後
エルナトがシリウスに問いかける。
「シリウス卿なぜニコライ卿が居ない?それに緊急会合で呼びつけた理由
を知りたい」
シリウスは自分以外の他の貴族に緊急会合の理由を話す。
「はい今回の会合の理由は、ニコライ・アンドリア卿がアトリア・エルザ卿
を武力行使をすることを知り呼びつけました」
シリウスの言葉を聞き、一同が騒めつき始める。ベルクックスがシリウスに
聞く。
「それは本当の事か」
「はい。それについてですがリゲル卿がお話しします」
ベルクックスが座る横に居るジュリアスが話す。
「それについてですが、ニコライ卿の配下が私の元にこの紙を渡してきました
皆さんも知ってる通りニコライ卿の噂を」
ジュリアスはベルクックスに紙を渡しベルックスはその紙を見て溜息をし
紙に書いてある文字を読み上げる。
「アトリア・エルザ卿は帝国に情報を漏洩した罪でエンハンス王国の
反乱分子としニコライ・アンドリアの名に懸け武力行使する」
ジュリアスは大きな声で貴族たちに呼びかける
「何の確信もなくアトリア様を攻撃するのは、認めざる得ない。これは
アトリア様を落としえる罠!ほっとけばシャウラの町は崩壊する」
ジュリアスの言葉を聞いたアトリアは少し口角が上がる。エルナトはそれを
聞き笑いながらジュリアスに言う。
「口が上達ですな。だが本当にアトリア卿が情報を渡してたらどうする」
シリウスがエルナトに説明する。
「それは大丈夫です。私がアトリア卿の屋敷を調査した所、それらしき物は
見当たりませんでした」
それを聞きダミアンという貴族が納得したように喋る。
「確かにシリウス卿が言うなら間違いないでしょう」
ベルクックスは目を瞑り他の貴族に判決を聞く。
「それでは判決を下そう。ニコライ・アンドリアに制裁を下すか否か制裁を
下すに賛成は手を」
全員が手を挙げそれを見たベルクックスは判決を下す。
「全員一致でニコライ・アンドリアに制裁を下す。指揮はシリウスに任せる」
それを聞きシリウスは瞬時にベルクックスに自分よりリゲル卿に指揮を任せる
ように伝える。ベルクスっクスはそれを聞き悩みエルナトはベルクックスに
言う。
「ご自分の息子に任せてみたらいいのでは?シリウス卿を副指令にすれば問題はないかと」
エルナトの言葉を聞きベルクックスは納得する。エルナトはにやけながら
心の中で思っていた。もしもベルクックスの息子が失敗したら失敗の
責任はシリウスに取らせればいいとエルナトは思っていた。
ベルクックスは全員に言う。
「リゲル・アルタイルを指揮官とし、副指揮官はシリウス・ジルベールとする2日後に決行とし会合は終了する」
貴族たちが解散しアトリアはシリウスに近づきにやけながら静かに言う。
「よくやったもんだ・・・・これは王子の作戦か?」
「そうだ全部ボスが考えた」
アトリアはそれを聞き立ち去る。
ジュリアスはベルクックスと屋敷に戻り話をする。ベルクックスは真剣な眼差しでジュリアスに問う。
「これはお前が仕組んだのか?」
「いや俺は何もしてないよ」
ベルクックスは納得しアルヘナも2日後に連れて行くよう伝え、ジュリアスは
部屋を退出する。
2日後の夜
シリウスの配下300名がニコライの屋敷を囲み、窓からシリウスとジュリアスの姿を見る。
ジュリアスが大声でニコライに呼びかける。
「ニコライ・アンドリア貴殿は何の根拠もなくアトリア卿に武力行使をしようとした。他の貴族全会一致となり私リゲル・アルタイルが貴様に制裁を下す」
ニコライはそれを聞き屋敷の三階のバルコニーからジュリアスたちを睨む。
「あの小僧め!この私を騙したな絶対に許さん!」
ニコライは自分の家臣に迎撃するよう伝え、ニコライは籠城する。
ジュリアスはアルヘナに命令する。
「アルヘナ200名連れて一階の奴らを制圧してくれ。・・・・気お付けて
「わかりました。ジュリアスもご武運を」
アルヘナは200名を連れ屋敷を制圧しに行く。
ジュリアスは不敵に笑い独り言に喋る
「ニコライ籠城戦するつもりか、まあいいだろう。精々隠れるがいいさ愚か者
・・・・さあ始めようか」
ここまで読んでくださりありがとうございます。
次回はジュリアスの初陣を楽しんでくれたら嬉しいです。