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.  作者: あるまたく
9/10

1→3散 SS 人が消え、人が雑ざる日

『番組を御覧の皆様。中継の映像はVR等の合成ではありません。シェルターからの不要不急の外出を避け、軍の指揮に従ってください。』


 木星周辺のプラント等との連絡が途絶して以降、暗いニュースばかり流れるようになった。

 木星は豊富な資源惑星だった。黒い球体が現れるまでは。


 小惑星の資源を取り尽くした人類が、太陽系外へ進出し始めた昨今。宇宙人との邂逅であいも無く、我が物顔で太陽系の覇権を主張していた人類は、未曾有みぞうの人口減少に直面していた。


「1か月で50億人以上が行方不明、1億人以上が死亡、出現位置の予測も不可能。どこに逃げれば……。」


『情報管制が敷かれています。検索できません。検索内容は不適切と判断されました。以降、検索結果から削除されます。』


「どうなってるの……。」


 黒い球体に関する検索は、ことごと除外されるよう(けんさくすうゼロ)になった。火星表面での、あらゆる作業が禁止された事に関係しているのだろう。

 一部の居住区では銃火器を携えた兵士により、暴動の鎮圧が行われている。



 太陽系から()()、減っていく。



 今そこにある事実を知る事すら出来なくなっていた。居住区ちゅうそうから商業区じょうそうへ散歩でも——


『商業区への移動は禁止されています。居住区からは出ないようにお願いします。』


 面白くは無いが、制御区かそうでもどこでも——


『居住区外への移動は制限されています。権限を有するIDを提示してください。』


 ――技術者である私すら、権限が足りない現実。


「何が、起きてい」


 私の呟きに答えるかのように居住区全体が大きく揺れ、眠れない夜が始まろうとしていた。







――――――――――


『ダメだ、ダメだ。隔壁の外は危険だと報道されているだろ、どこに行くつもりだ!』


「放して! こんの!」


 技術者を舐めてはいけない。空気を運ぶための管(ダクト)の配管図くらい調べられる……移動中にバレるのは予想外だったけれど。

 腕を掴む兵士の腕に噛みついても、分厚い船外服かつどうするためのふくに阻まれる。


 ブロンドの髪を引っ張られても、諦めない。囲んでいる兵士の装備の違いから、外で起きた事を予想する。

 黒い球体が現れて以降、外での活動には軍を同伴させなければならない。


 用心のためにもっていかれないように


『シェルター外にて捜索中の二班が消息不明。ただ今より、ボツッ、非常事態を宣言する。繰り返す。非常事態を宣言する。各員は——』


 連行されそうになっていた私と兵士たちは、区内放送に狼狽うろたえた。

 非常事態って、星を放棄する時の……昔の戦時下でもないのに、二班が消息を絶った()()()で宣言する?


「非常事態? そんなヤベェのか。」


「早いとこ、こいつを追い出して戻るぞ。」


 あと少し、あと少しで出れたのにと隔壁を見た時。

 厚さ20センチの与圧壁と隔壁をほぼ同時にぶち破り、そいつは現れた。




 照明を反射しない黒い外皮、おそらく目だと思われる赤い筋、そして頭部から生えた肌色うで。ロボットのように見えるけれど、肌色の部分がビクビクと痙攣していた。

 あまりに、異様な姿に言葉が出なかった。


「お、おい! 壁が壊れたぞ? あの黒いのは何だ!」


「こっちを見てるぞ! 住民の避難を急げー! 隔壁を閉じろ!」


 兵士たちも見た事が無い侵入者らしい。銃弾を弾いたり、笑ったり、一瞬で違う場所へ移動させられたり。





 私が人であるか、モノなのかさえ分からなくなっテ……気づイたラ、タべていタ。



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