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ホントのカラダを探しています  作者: keitas
トルネオ王国編
37/101

34。(仮)

ブックマークありがとうございました(*´∇`*)

 キラキラ輝く水を眺めながらベンチで昼ごはんを食べたあと、宿へ向かう。

 ガラタナは足りなかったようで、クレープを食べている。

 村ではあり得ない人混みに、私は人を避けながら歩くのが精一杯で食べ歩きは諦めた。

 周りは食べ歩きしてる人も結構居て、いつかきっと私もやりたいと恨めしく周りをながめる。


 少し歩いていると、露店を横目に見るくらいの余裕も出てきた。

 ガラタナに何か贈りたいけれど、何を贈ったらいいのか……今贈っても男性ものは身に付けられないしな……うーん。


「露店ばっかり見て歩くと危ないよ」

「──っ」

 当然のごとく自然に繋がれた手。ガラタナはさっきの様に照れている風でも無いので、彼の中では彼女(仮)と歩くときに手を繋ぐことは普通のことなんだろう。

 ガラタナを眺めていると、最後の一口にしては大きなサイズのクレープを頬張った。ガラタナは2人でいると所作が男らしくなるので結構ときめく。


 ……ふと、思い付いた事を聞いてみた。

「ガラタナはさ?」

「ん~?」

「今まで何人の女の人と付き合ってきたの?」


 グッっ何か詰まる音が聞こえた。

「ブゴホッ! ゴホッ!!」

「えっ何!?」

「ゴホッ……クリームが鼻と気管ゴホッ」

「だっ大丈夫!?」

 端によって(うずくま)るガラタナの背中をさする。




「───大丈夫。ありがとう。急にどうした?」

「え?あぁ。女慣れしてるなぁって」


 立ち上がったガラタナは、すぐ脇にあった街頭にこちらを向いてもたれ掛かった。


「女慣れって何か嫌な言い方だけど……付き合った人か。それは……ちゃんと好きだとお互いに確かめてってことだよね?」

「?……それ以外何があるの??」

「え゛っ!? いや、その……セノオは相手の過去は全部知りたいタイプ?」

 予想外の質問返しにポカーンとしていたら、ガラタナは酷く焦った様子だったけど、すぐいつもの笑顔に戻った。


「へ? 私は……うーん。そうでもないかな…あまり過去にはこだわらないかも。思い付きで話しただけだから気にしないで?」

 ガラタナの慌てる様子からして聞かない方がいい気もするし。


「俺は……セノオの過去はちょっと気になるかな…」

「私!? 私は全然ないよ! 村の同年代は女ばっかりだし、話したことある男子なんてトールとトールの友達の2、3人くらいで悲しいくらいモテなかったよ」

「……トール、頑張ってたんだな」

「え?」

 ガラタナは腕を組んでボソッと何かを呟いたが上手く聞き取れなかった。


 ガラタナがまた手を出してきたので、その手を取り、また歩き始める。

「手だって男の人と繋いだのはガラタナが初め……て……ん?」

 ……何か、誰か忘れて……


「あっ!トール!」

「え?」

「昔、小等科卒業してすぐの夏にトールにお祭りに誘われて、確かあの時も危ないからからって手を繋がれて」

「へぇ」

「トールと手を繋いだのなんて小さい頃から無かったから、手が大きくなってて、ちょっとドキッとしたんだよね」


『ちょっとセノオ!』


「男の子の成長ってすごいよね」

『セノオ止めなさい!!』

「え、何? ジエンタさん」

『───ガラタナが怖いから!』


「へ?」

 少し前を私の手を引き歩くガラタナの背中からは、不穏な怒りのオーラがユラユラと出ているのが見える気がする。

「トールに男を感じてしまったと……」

「ちょっ! その言い方なんかや───ひっ!」


 これを理不尽と言わずになんと言おう。聞きたいと言うから絞りだして話したのに、振り向いたその顔には鬼の形相が張り付いていた。

 カナエ婆さんの宿でも思ったけど、ガラタナは結構ヤキモチ焼きな気がする。13歳……子どもの頃の話なのに。


 ガラタナのオーラに完全に怯えるジエンタさんを眺めながら手を引かれ歩いていると、自警団の詰所の方向から大きな声が聞こえてきた。


「何か騒がしいね」

「──これは……」


 女の人の大きな声がハッキリと聞こえてくるけれど、何を話しているのか全くわからない。


「外国語だよね?」

「俺の国の言葉だ。財布を無くしたって言ってる。ちょっと行ってきていい?」

「うん」


 急いで自警団まで来てみると、昨日の厳ついおじさんが、捲し立てるように話す20代半ば程のお姉さん相手に、困り顔で対応していた。

 おじさんは私たちに気付くと、縋るように此方に手を上げた。


「昨日のお嬢ちゃんたち! 外国語話せたりしねぇかい!? ちょっと助けてくれねぇか! このお嬢さんの言葉がどこのものかもわかんねぇんだ!!」

 厳ついおじさんの声に反応し、お姉さんもこちらを向いた。


 色白で大きく緩く巻いた黒髪、赤い口紅がよく似合う、濃く綺麗な容姿。露出は少ないが、出るとこ出て絞まるところは絞まっている体がハッキリとわかるタイトなワンピースを着ている。


 何とも羨ましい体型……そう思ったとき、隣から聞こえた。

「ルナ……」


 ガラタナは信じられないというような顔をしていた。

「ガラタナ、知り合い?」

「あ、あぁ」


 私がガラタナの名前を口にしたとき、お姉さんがツカツカと近寄ってきて、ガラタナに何かを話した。

 辛うじて“ガラタナ”という言葉は聞き取れた……。

 ガラタナは少し困った顔でお姉さんと話している。


 何を話しているんだろう。

 すると、お姉さんはこちらにチラチラ視線を寄越したと思ったら鼻で笑ってきた。

 これは……完全に敵意だ!!

 何?何?


『訳してあげましょうか?セノオ』

 斜め上からジエンタさんの声がした。私は全力で頷き、ジエンタさんと話すために少し離れた。


『彼女はディアナ。ガラタナとは前の国の仲間みたいよ』

「ルナって言ってたけど」

『ルナはガラタナだけが呼ぶ愛称らしいわ。何でこの国にとか、その体は何だとか。ガラタナは色々あったけど戻れるから心配するなって濁してる』


 ガラタナだけが呼ぶ愛称……それって……。


 2人に目線を戻すとディアナさんがこちらに近づきて来た。慌ててガラタナも追ってくる。

 ディアナさんは私より5センチは背が高く、今のガラタナと同じ位だった。

 彼女は高いヒールを履いているから目線はもう少し高い。

 目の前まできたディアナさんを見上げると、彼女はにっこりと私を挑発するように笑った。


 その笑い方はガラタナが青年の学者を相手ににしたときのモノによく似ていた。

 ガラタナは……この人を真似していたとハッキリわかった。




 過去が気にならないなんて何で思ったんだろう……。

 呆然とディアナさんを見ていた。


「ルナ!────!」

 ガラタナがディアナさんの肩を掴んで何かを話す。


 その瞬間、ディアナさんは私に見せつけるように、ガラタナに押し付けるようなキスをした。


読んでいただきありがとうございました。

誤字脱字ありましたら申し訳ありません。


次回は仲直りさせたいなと考えていますがどうなるか…


また読みに来ていただけると嬉しいです。

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