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ホントのカラダを探しています  作者: keitas
トルネオ王国編
33/101

閑話。リリアンナの独白

騒動の原因のリリアンナsideです。

リリアンナ側から見たものを入れたいと前々から思っていましたが、本編が終盤になってきて、入れる場所が無くなりそうだったのでここに持ってきました。

2つに分けようかと思いましたが、この鬱回わけるとしんどくなりそうなので止めました(*_*)

なので長いです。

 私の名前はリリアンナと申します。


 裕福な商家に生まれ、父は上位貴族とも懇意にさせていただいており、母は元子爵令嬢。お互いの一目惚れから結婚に至ったそうです。優しく、美しい自慢の両親です。兄弟は4人。9つ上の姉、8つ上の兄、5つ上の兄、そして私。少し歳の離れた末っ子なので可愛がられて育ちました。


 特に下の兄は可愛がってくれ、その兄の友人も皆優しく、私を仲間にいれて遊んでくださいました。

 その中で一番私が懐いていたのが、同等の商家生まれで元男爵令嬢を母に持つケルトさんでした。

 スラッとした長身で、丁寧な口調、メガネがとても似合って、頭も良くて、お話をするときはいつも屈んで目線を会わせてくれる優しい人。


 中等科でも高等科でも、あまり長くは持たないようでしたが、お付き合いしている方がいたことは知っていましたし、兄から癖のある奴だから止めておけとは言われましたが、私にはいつも優しく沢山の事を教えてくれる、穏やかなケルトさん。

 憧れが恋にかわるのは容易なことでした。


 女性で大学まで行くのは稀でしたが、ケルトさんを追いかけ大学で民俗学を学びました。ヴァントレイン助教を訪ね、たまにケルトさんがいらっしゃるので、勉強や見目には気が抜けません。

 トップで大学を卒業しました。ケルトさんを想っていたのは周知の事実だったらしく、男性の影はありませんでしたが……。

 恥ずかしい話、友人のキャロルが言うには何人かに紹介を頼まれたことがあったそうです。


 同い年で結婚している人も沢山いましたし、見合いの話や大学院への薦めなどもありましたが、運良くケルトさんの勤めている民俗資料館で学芸員の募集があり、内定を頂きました。


 ケルトさんと旧知の仲ということで助手として働き始めました。

 働き始めてみると、ケルトさんの知識量、熱量に圧倒され、助手として恥ずかしくないように更に私も勉強を続けました。


 共通の話題を通し、いつか恋仲になれれば良いと思っておりましたし、働き始めてからケルトさんには女性の影などはなく、職場の仲間もそれとなくケルトさんと私の仲を後押ししてくれるような雰囲気でした。



 そんな日々がしばらく続き、ケルトさんの雰囲気が少し変わったことに気付きました。

 仕事に関しては相変わらずでしたが、休憩中など、心ここにあらずな事が増えてきたのです。

 私は底知れぬ不安を感じました。

 焦燥感から……だったと思います。私は長年の想いを打ち明けましたが、可愛い妹の様だと、受け入れて貰うことは叶いませんでした。


 何となく分かっていたことで、仕方がない。と自分に言い聞かせました。大学で助教として働き始めたキャロルにも誰か紹介するよ!と言ってもらえて、諦めるために頑張ろうとしていた矢先でした。

 ケルトさんが結婚したと上司から皆に報告があり……。

 あぁ。やっぱり。と思いました。

 胸は痛んだけど、上司の隣で幸せそうに笑うケルトさんを見て、心からおめでとうと言うことができました。


 奥さんに初めて会ったのはしばらくしてからでした。

 ケルトさんが奥さんと住むために決めた新居は資料館と私の自宅の帰り道にありました。


 奥さんは中庭の道路に面した小さな花壇に水をくれていました。

 同僚の奥さんと知っていて無視するのもおかしな話なので、多少緊張しながら柵越しに挨拶をしました。

 顔を上げた彼女は、都会の華やかさは無いけれど、とても綺麗な人でした。

 もしかしたら自分がこうなっていたかも……なんて未練たらしく思ってしまいました。

 水やりが終わり、それでは。と、挨拶をして、勝手口に向かい歩いていく奥さんのお腹は膨らんでいて、すぐに妊娠しているんだとわかりました。

 好きな人と結婚して子供ができて……とても羨ましかった。

「あのっ! 元気な赤ちゃんを産んでください!」

 そう言うと奥さんは、ありがとうと微笑んでくれました。

 私はそのときの違和感には全く気づきませんでした。


 数日後、大学で一緒だった女グループで食事会があり、私も参加しました。

 ケルトさんとの事を聞かれ、振られたこと、結婚したこと、奥さんが妊娠していてお腹が大きいことを伝えると一様におかしな顔をしました。

 結婚4ヶ月ではそんなにお腹が大きくならないと。皆が引っ掛かったのはそこでした。


 それからしばらくして、どこで調べたのか奥さんの身の上が聞かれるようになりました。

 両親が他界されているだとか、最終学歴が小等科卒業だとか…

 その後、聞こえてきたのは悪い噂の数々でした。


 本当にそんな人なのかな……そんな感じには見えなかったなぁと呑気に思っていると、私が嫉妬してセリナさんを敵視しているという話まで聞こえてきました。


 知人の間では私がケルトさんを好ましく思っていたのは知られていたので、面白おかしく尾ひれが付いたのでしょう……私には全く覚えはありませんし、全く面白くありません。


 実状を知らず噂を信じる方から窘められる事もたまにあり、否定をすれど噂は消えず……。

 そんな状態が2年ほど続いた頃、奥さんが出身の村に子どもを連れ帰ったと聞きました。

 ケルトさんは気丈に振る舞っていましたが、やはりどこか寂しそうでした。


 奥さんは悪い噂に耐えられなかったのだろうか。

 私は耐えているのに……まだケルトさんへの思いを拗らせていた私は「私なら彼を一人にはしない」そうキャロルにこぼしたりもしましたが、ケルトさんが一緒に居たいのは他の誰でもないセリナさん。

 ケルトさんが寂しそうにしているのが耐えられなくて、どうすればセリナさんを王都に戻せるか必死で考えました。

 ケルトさんには2人の問題だから……と言われてしまいましたが……。


 それもこれも原因はあの食事会での私の発言。

 大好きな人の幸せを壊してしまった責任をとりたかったのです。


 戻ってきてと説得しようと、数回セリナさんに会いに村に行きましたが、いざ会おうとなると、ケルトさんから釘を刺されていましたし、勇気が出ませんでした。



 何か方法はないだろうかと探していたら、とある文献に入れ替りのお話が残る国があることがわかりました。

 新しい王が即位すると人が変わったかのようになると、まるで前王になってしまったようになるのだと……。


 私がセリナさんになれば、なんて興味本意で調べてみることにしました。


 遠い国なので年に一度長期で休みをもらい、コツコツと調べ始めました。そうすると、お話は実話だということがわかり、13年後、やっとその王家に使えていた呪術師の末裔を見付ける事が出来ました。

 その家に伝わる石盤を言い値で買い取り、王国に持ち帰りました。


 すると、女の人の声が聞こえました。

『それをどうするつもり?』と。


 彼女は最後の呪術師のジエンタさんでした。石盤が心配で魂になってからずっと見守っていたそう。


好きな人(ケルトさん)好きな人(セリナさん)と居るために私は彼女になりたい。私が彼女になれば悪い噂にも耐えられるもの」


 ジエンタさんには『それは違うんじゃないか』と言われたけれど、私の家族はみんな優しいし、セリナさんもきっと幸せになれると説得し、石盤の使い方を教えてもらいました。


 すぐにでも試したかったけれど、隣の国からケルトさんに出版の仕事依頼が来ていて、助手の私も同行しました。

 その途中、セリナさんが他界されたと電報が入りました。

 すぐに王国に戻ろうと思いましたが天候が荒れ、迂回して戻ることになりました。


 その日の夜、ケルトさんが心配で宿の部屋を訪ねました。

 すると、テーブルの上には沢山の写真。その娘さんの成長の様子からセリナさんとのやり取りがかなり頻繁だったことを伺わせます。

 写真の女の子はどれも可愛らしい笑顔。

 私はふと思いました。もしあのまま親の酷い噂だらけの王都で育ったらこの子は笑顔ではいられなかったのではないかと。


 ケルトさんとセリナさんは親として動いていたことに気づき、女としての考えしか持ち合わせて居なかった自分が恥ずかしくなりました。


 そして、次の日あの事故に遭いました。

 体が浮き、ケルトさんが受け止めてくれたのがわかりました。

 そして間髪おかずに、ゴッという鈍い音。

 体を起こしたとき、ケルトさんは起き上がらず、私は血だらけでした。

 死ぬんだということが何となくわかり、目眩と息苦しさ、フラッシュに襲われ動くことが出来ませんでした。

 その時、背後に人が降りてきたのがわかりました。

 何か話しかけられましたがそれどころではありませんでした。


 ケルトさん死なないで。


 ケルトさんから魂を抜き取り、そこにいた男性に押し込みました。


「ごめんなさい」


 ごめんなさいケルトさん。

 あなたの幸せを願っています。

読んでいただきありがとうございました。

誤字脱字ありましたら申し訳ありません。


次は本編に戻ります。

ガラタナ戻すよりオジさん達を早く仲直りさせてあげたいです。


また読みに来ていただけると嬉しいです。

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