王宮での出来事 ②
長らくあけてすみません。
何回か下書きが消えてしまい、時間がかかりました。
俺が思いの外豪華な部屋にビビって中々落ち着けずにいたが、なんとか落ち着いて眠りについた頃、玉座の間では………
「ふむ、どうだ?勇者殿はきちんと休んでおられるか?」
「はい、部屋に着いても中々落ち着かれなかったようですが、先程眠りにつかれたようです。」
「そうか、それはなによりだな。まぁ部屋のことは我慢してでも休んでもらわないとな。ハッハッハ」
「お父様、まさか勇者様を利用して何かよからぬことをさせるつもりですか?それとも早速闘いに?それはダメです!!まだこちらの世界に来たばかりで慣れていないでしょうし、それに危険すぎます!」
「そうか?ワシは大丈夫だと思うがな。まぁその辺をなんとかする意味でも勇者殿のお手並み拝見だな。ダメならダメで早いとこ分かった方が良いだろう。」
「私は勇者様の強さは心配ないと思います。でも、いくら強くても慣れてなければ意味はないです。」
「なぜ出会ったばかりの勇者殿にそこまで………。はっ!なるほどそう言うことか。そうならそうと早く言わんか。全く。ワシはお前のそういう噂を聞かないから心配しとったんじゃ。」
「な、何をおっしゃるのですか!全く関係ないですよ!何で、出会ったばかりの人とそんなんになるんですか!あり得ないでしょう」
パッチーン!!!!
静寂に包まれていた玉座の間に甲高い破裂音が鳴り響いた。
「お父様なんか知らない!!!!」
一際大きな音をたてて王女は玉座の間から出ていった。
「ふぅ~、行きおったか。ッ!全くおもいっきりやらんでもいいのにのぉ。これは明日にはあとが残るな………。さて、居るのであろう。」
「おやおや、バレていましたか。ただの老いぼれかと思いましたが、違ったようですね。これは人間の評価を改めなければいけませんね。」
「人間の評価だと!?貴様人間ではないな?」
「当たり前でしょう。私を人間という下等種族と同じにしないでいただきたい。虫酸が走ります。」
「言ってくれるのぅ。貴様は何者だ、そして何の用だ。すぐに言わねば後悔するぞ。」
王がそう言うと扉が勢いよく開き大量の騎士達がなだれ込んできた。その中にはあの一際豪華な鎧を纏った騎士もいた。
「はぁ~、いちいち名乗らなければいけませんか。これだから人間は面倒だ。はぁ。私は悪魔界におられます我らが王の忠実な僕。大悪魔序列10位グレイロード。炎熱のグレイロードと申します。以後お見知りおきを。」
「何!?炎熱のグレイロードだと!?」
「王よ、その名をご存じなのですか?」
「あぁ、確か一昔前に当時世界一の広さを誇ったテリア国という国があった。だがその国は突如として襲ってきた悪魔達によって一夜にして滅ぼされたのだ。そしてその悪魔達の中心だったのが、このグレイロードであった。」
「いやはや、あの時は最高に傑作でしたよ。あの国が私達悪魔を召喚したのですがね、召喚されたモノは召喚した方に絶対服従すると思い込んでいたみたいでねぇ。実力もないのに従うわけがないのにねぇ。それで呆気なく散っていきましたよ。」
「なるほど、それがテリア国の最後か。それで?この国も滅ぼすつもりか?」
「いえいえ、今はそんなことしませんとも。そう、今はね。まだ私達の軍も揃ってないですし、それにこちらの国には勇者がいるでしょう。」
「!?なぜ貴様がそれを知っている?」
「これはまだ知られてないことですが、勇者が召喚されると悪魔達には分かるようになっている用ですよ。」
「なんだと?それは本当か!?」
「当たり前でしょう。私達悪魔の天敵なのですよ?こちらが出現を察知できないとあれば不利でしょう。やり方は秘密ですが。」
「クッ、そう言うことか。これで勇者を召喚したらなぜかすぐに悪魔達が攻めてくるのがなぜなのかが分かったな。」
「さて、そろそろおいとましますか。このままここにいてもやることはないですし。」
「!?本当になにもしないで帰るのか?」
「そうですよ、しつこいですね。なんなら滅ぼしますよ?」
「クッ、もう何も言わん。早くいけ。」
「ええ、私は何もしてないので帰らせていただきます。それではごきげんよう。」
「何?私はだと?待て!」
王の叫びもむなしく悪魔グレイロードの姿はかききえた。
「クソ!騙された。もう少し悪魔の狡猾さを鑑みるべきだったか。おい、騎士達よ今すぐこの王宮の中で異変がないか調べよ。」
「「「「「はっ!」」」」」
騎士達がそう言うと玉座の間を出ていった。
数十分後………
「おい、そっちは何か怪しいモノはあったか?」
「いや、そんなものはなかったよ。いつもと何も変わらない。そっちは?」
「こっちも何も無かったよ。本当に何かあるのか?悪魔の嘘じゃあないだろうな?」
「そんなの知るわけないだろう。俺たちは王様に言われたから探しただけだ。」
「だよなぁ。はぁ~、これでペナルティとかあったら、やってられないよ。」
「本当にそうだな。」
結果が振るわずに、談話している騎士達。
「そういえば勇者様の部屋は調べたのか?誰も入ってないかのように見えたが…。」
「ああ、それなら大丈夫だそうだ。悪魔が施したモノなのだからそんなのが近くにある時点で気づくだろう、とのことだ。」
「ま、勇者だからそれもそうか。」
勝手に自分の力を大げさに評価されている勇哉。本人がここにいたら、「そんなことないから早く調べてくれ!」と叫び出すだろう。
…………一方その頃大げさに評価されていた勇哉の部屋では紫色の魔方陣が爛々と輝いていた。