九十七話目 怪物
お休みさせて頂いてありがとうございました。
5月18日の更新です。
本日も宜しくお願い致します!
2019年4月12日 誤字修正致しました
今にもSAN値ェックが入りそうなくらいグロい見た目になってしまった、カベルネの腰巾着ことガルネク。
もう既にポ○モンの域は越えて、どっかの国の神話の邪神様みたいだ。
身体中を覆い尽くし、ウジュウジュと気味の悪い音をたてて蠢き、軋む赤黒い茨。
茨の蔓の、真ん中から少し上くらいのところにギラギラ光る、2つの眼らしき赤い玉。
どこを取っても1D3くらいのチェックが入りそうなぐらいグロい。グロいったらグロい。
「ゆル、ユル、ゆるるるるるるるるるるる、許しませんーよぉおおお!!」
「うわっ!わっ!?わわわっ!?!?」
目の前の元魔族な怪物が《許さない》と吼える。
その怪物は、吼えると同時に、身体中の茨を次から次へと鞭の様に僕に向かって打ち付けてきた。
その威力たるや…。
「うっそ、石の床に穴開いたんですけど…」
茨が刺さった場所は茨の太さのままの形に丸く。それ以外の打ち付けられた場所は、茨の形に地面が抉れたんだ。
石の床が、割れずに、その形に抉れる事の恐怖!……考えたくないけど、もしあれが僕に当たってたら。とか、考えちゃうよね?
「うっわ、考えるんじゃなかった……。あぁんもうっ!皆忙しそうだな。ふっ、風華、実里!助けて?これは僕だけじゃちょっと無理!!」
助けを求めようと周りを見回してみるけど、亜栖実さんや月島さん達の所にも新手がやって来ていて、とてもじゃないけど助けてとは言えなかった。
『りょ~うかい!」
『任せとくだよ~!」
その代わりって訳じゃ決してないけど、僕は怪物の様子を伺いながら2人の名前を呼んだ。2人はすぐにお腹から出つつ、答えてくれる。
『何で姉さん達だけなんですか~?』
『じゅるいのぉ~!!』
僕の両脇に2人が降り立つと、途端にお腹の中から抗議が飛んできた。この非常時にブーブー言えるってうちのこ凄くない?
《いや、抗議されてもなぁ…。
だって茨って言ったら植物でしょ?咲良の能力が効くか分からないじゃないか。そこに、もれなく闇属性持ちの魔族にシャドまで出しちゃったら、目の前の化け物の体力回復してるみたいになっちゃうよ?》
『う~』
『うにゅ~』
《分かったら、僕の中で応援しててね?》
『『う~』』
「さて、では行きますよ?」
「はいな」
「了解だぁよ~?」
お腹の中の2人をパパっと黙らせた僕は、改めてガルネクに向き直る。
「クゥォオオオオン」
避けられたのが悔しかったのか、はたまた目の前に獲物が増えたことが嬉しいのか、どっちか分からないけれど、ガルネクは手に当たる部分の茨を2本持ち上げて鳴いた。
もう言葉にすらなっておらず、今の彼に言葉が通じるのかも分からない。
「グゥォオオ!」
《ブンッ》
「おっと!」
ガルネクの動きを警戒しながら見ていると、万歳していた手?をガルネクは鳴きながら凄い勢いで降り下ろしてきた!
慌てて避けた。けど、
《バシンッ》
「シエロ、危ないだよ!!」
「うわっ!?」
しなった茨が地面に当たってバウンド。僕の背中目掛けて襲い掛かってきた。
実里の声を受けながら、背中に来る衝撃を待っていたけど、いつまで経っても背中に痛みは走らない。
「もうっ!しなって危ないわねぇ!!」
それもその筈、風華さんが守ってくれていたからだ。
風華さん、流石です!!
ガルネクは、モン○ャラから邪神に進化したww
本日も此処までお読み頂き、ありがとうございました。
明日も18時頃更新致しますので、またお読み頂ければ嬉しいです。