九十一話目 気を取り直して…
5月10日の更新です。
本日も宜しくお願い致します。
「じゃあ、スー君の心が空っぽなのは、ちっちゃい子が思ってる事をズバズバ口に出すのと同じだからって事?」
「おそらくは、そう言う事かと。現に、私には未だに彼の心の中を読む事が出来ません。【楽しい】と言う感情は伝わってきますが、それだけです」
「そっか…。あっ、因みに葵君の心の声は?」
「ーーーとても口には出せない様な、お花畑な言葉が飛び交っておりますね。全く、葵ときたら……」
「葵サイテーだな……」
さっきまでニコニコしていた裕翔さんが冷たい目で見ていた。ちょっ!冷気が此方まで来るよっ!?物理的に体から冷気出してんのっっ!?
「さむっ!??」
あっ、葵君のところにまで冷気が飛んでったみたい。ブルッとした葵君は、ゆっくりと裕翔さんの方に顔を向けた。
ギギギと音がしそうなくらい不自然な動き方してるけど、いや~。此方は見ない方が良いんじゃ~。
「あっ」
あっ、裕翔さんと葵君の目があった。
裕翔さんの顔はニッコリ笑っているが、目は1ミリも笑っていない。
「まぁもぉるぅくぅん。君はぁ~。何しにぃ~。ここへぇ~。来たのかぁ~。分かっているのかなぁ~?いい加減にしないと、アルミナちゃんに言いつけるからね!!」
「ぎぃやぁああああああああああああ!!」
爽やかな筈の朝のアジトの中に、葵君の悲鳴が響き渡ったのでした。合掌。
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「じゃあ、改めて明後日の朝の確認をするよ?僕と宇美彦が前衛、シエロ君と誠治は後衛。亜栖実は葵の護衛って事で中衛をして下さい」
「「「「了解」」」」
「……ふぇい」
「で、葵だけど、施設近辺の情報を読み取ったり、内部を攪乱させたりして下さい。大変なところを君に任せて申し訳ないけど、宜しく頼むよ」
「ふぁい……」
「それじゃあ、それぞれ準備があるだろうから今日は解散ね?他の仲間達には俺から説明しておくから「あっ、いや、お前も準備したい事があるだろう?皆への説明は俺とソラとでやっておくから、任せておけ」……そう?それじゃあ宇美彦とシエロ君にお任せするね?宜しくお願いします」
「あぁ」
「分かりました」
「じゃあ、また明日もう一度ミーティングして、いよいよ明後日は殴り込みです!皆、今回も生き残るよ!!」
「「「「おぉっ!」」」」
「ふぉ~」
そんなこんなで、皆それぞれの役割を果たす為に食堂から出ていった。
食堂に残ったのは、僕と宇美彦の2人だけ。
「さて、じゃあ俺らも行くぞ?」
「あっ、うん。でもちょっと待ってて?」
「あ~。全部治すなよ?裕翔に怒られるぜ?」
「分かってる」
《トトト》
僕は、食堂の一角に近付いていった。そこには、何やら半分凍ったみたいなオブジェがあって、その中にはギャグ漫画みたいに顔を腫らせた葵君が入っていた。
……うん。裕翔さんを怒らせるのは本気で止めよう。
僕は、そんな自戒の念を込めながら、【お仕置き中】と氷の上から貼られた紙をソッと剥がして葵君の手当てをする為に、彼の新たな体みたいになってる氷のオブジェを端っこの方から削っていく事にした。
因みに彼を氷から出すだけで2時間近くかかった。
氷の硬さに、裕翔さんの怒りの度合いを見た。そんな気がした。
葵君、遂に処刑されましたww
本日も此処までお読み頂き、ありがとうございました。
お休みばかりして申し訳ないのですが、明日の更新はお休みさせて頂きます。
次回の更新は、5月12日土曜日の18時を予定しておりますので、また宜しくお願い致します。