七話目 回想②
1月19日の更新です。
本日も宜しくお願い致します!
あれは確か…裕翔さん達のホームへ初めて行った日の事でした。
まぁ、では卒業式のすぐ後、と言うことですのね?
えぇ、そこでーーー
ーーーーーー
ーーー
「僕達はシエロ君を歓迎するよ!!」
6年前のあの日。裕翔さん達に迎えられて、僕は彼らのパーティー…。
いや。あの頃からパーティーよりも人数的に規模が大きかったから、【クラン・きなこもち】って感じだったかな?の一員となった。
そして、彼らのクランに入った僕の、最初に与えられた仕事は、冒険者ギルドに登録する事だった。
実は学園に在学中でもギルドに登録する事は許されていたから、授業でパーティーを組んだ段階で登録する人は居たけど、何となく僕は今まで登録を先伸ばしにしていたんだ。
まぁ、部活やその他の事が忙しくて、冒険の方に気持ちが向いてなかった。って言うのもあるんだけどね?
まっ、まぁともかく。
僕はそこで初めて、憧れの【冒険者ギルド】と言う所に足を踏み込んだんだ。
で、ね?
《ざわっ!?……シーン》
この時、裕翔さんと一緒じゃ目立つから。って言われて、代わりに宇美彦に付き添って貰って入った初めての冒険者ギルドは、騒がしいを通り越して、静まり返っていた。
それはもう、シーンって音が聞こえそうな程に…。
「なっ、なぁ宇美彦?ギルドっていつもこんなに静かなのか?僕の思ってた場所と大分違うんだけど?」
「いやぁ?いつもはお前が想像している通りの、冒険者ギルド!って感じの場所だぜ?騒がしいし、なんなら軽い喧嘩も起きる時あるし…」
可笑しいなぁ?と、首を捻る宇美彦の隣を付いて歩きながら、僕はギルドの中をキョロキョロとおのぼりさん全開で見回していた。
中へは初めて入ったけど、冒険者ギルドの外観は思っていたより清潔そうで、比較的大きな町の公民館みたいだなぁ。と思ってたんだよね。
入り口の間口が広くて、入り口の両端にはそれぞれ小さな花壇もあったりして、意外と開放的な雰囲気だったから、余計にそう思ったのかもしれない。
まぁ、ここは僕が見ていた王都のギルドよりも小ぶりで、冒険者ギルドの他に教会も併設されている建物らしく、確かに厳つい冒険者達の中に、チラホラ修道着を着た人達の姿も見受けられた。
で、中だけど。中は取り扱っている事柄毎に窓口が別れていて、それぞれの窓口には【新規入会受付】、【依頼受付】、【昇進試験受付】、【買い取り受付】等、パッと見ただけで何処へ行けば良いのかが分かりやすい仕様になっていた。
あっ、受付の奥に階段がある!もしかして、上はギルマスのお部屋があったりするのかな?
ちょっと【ギルマス】って単語にわくわくしたのも束の間、窓口の人達も含めて誰も喋らず此方をただ見ているって状態は変わらず、比較的混んでるのに誰も一言も発しないのは不気味でしょうがなかった。
え?もしかして僕、何か知らないうちにやらかしたのか?
「えぇっと、マリーさん?新規入会したいんだけど…」
「よっ、宜しくお願いします…」
唯一誰もいなかった窓口。【新規入会受付】と書かれた窓口の前まで来た宇美彦と僕は、そこに居たマリーさんと言う猫人族の女性に声をかけた。
彼女もやっぱり無言で、何かすっごく驚いた様な顔をして固まっていたけれど、僕達が声をかけたら何とか再起動してくれた。
良かった、反応してくれた。……何かの呪いとかじゃなくて良かった。
意外とまだギルド登録していなかったシエロですが、何故か静かなギルドに困惑していますね。
何で静かなんだろー(棒)
此処までお読み頂きありがとうございました。
明日もこの時間に更新致しますので、また宜しくお願い致します