八十六話目 2度目の作戦会議①
5月5日こどもの日の更新です。
本日も宜しくお願い致します!
葵君がようやく到着したから。と言う事で、急遽、朝ごはんの後で再び食堂に昨日のメンバーが集まる事になった。
集まったメンバーが昨日と同じく日本人組プラス、スー君だけなのは、葵君の能力が関係しているらしくて、実は色々お世話になっているこの国の王様ですら、葵君の能力については詳しく知らないんだそうだ。
まぁ、勇者ご一行としてこの国に登録した時に、ステータスカードに使える魔法やらある程度の個人情報やらは抜き取られたんだけど、葵君の魔法以外の能力に関しては、スキルの欄にも記載されなかったから、そのまま黙っていたんだってさ。
何で黙っていたのか理由を聞いた時、【「魔法で目立つならともかく、こっちの能力で目立つとか、マジでごめんッスよ」】と、葵君は苦笑しながら教えてくれた。
向こうの世界でも嫌な目に散々あってきたから、王様だけじゃなくて例えクランの仲間にも、能力を見せびらかすみたいになるのは嫌。なんだそうだ。……僕、本当に此処にいて良いのかな?
「んじゃあ、スー君?アジトの食堂で、俺っちと握手!」
「あくしゅ?」
「そうそう。シェイクハンーズ♪」
「しぇ、くはん?」
1人もやもやしながら彼らの様子を見つめている。
すると、明らかに頭の周りにハテナマークを飛ばしているスー君の手を、葵君はニコニコしながら取った。ってかその言い回しェ。
まっ、まぁ、葵君の発言はスルーするとして、今、彼はあの分厚い手袋を左側だけ外している。
何で左側だけなのかは僕には分からなかったけど、葵君はサイコメトリー能力を使って、スー君の潜在的な記憶を読み取るつもりなのだそうだ。
別にこれはスー君を疑っている訳じゃなくて、スー君やスー君の持ち物に染み付いた記憶を読み取る事で、スー君が居た研究所の大体の場所や、その状況何かを知る為には、必要な事。らしい。
だから、スー君との握手が終わった後は、彼が最初に着ていたぼろ雑巾みたいな元服の記憶も読み取るんだって。さっき、そう言って裕翔さんがスー君が着ていた服を持ってきた時に聞いたんだ。
因みに、その服は葵君とスー君が座る椅子の前のテーブルに広げて置いてあって、葵君が読み取ったものを書き出す紙と一緒に並べて置いてある。
この配置を見て、おぉ、何かこんな光景テレビで見た事ある!何て、いらんミーハー魂を出してしまったのは内緒だ。
ちょっと、いや大分wktkが止まらないのも内緒ね?
ん?心を読むなら精霊達も出来るだろって?
ん~。一応皆にはやってもらったんだけど、スー君の心の中は空っぽらしくて、誰も心の中を読むことが出来なかったんだ。
空っぽ。って、どういう事なんだろうね?
「はい、握手~♪」
「あくしゅ~♪」
他の皆が息を飲む中、スー君だけは葵君と握手をしてもらってご機嫌に笑っている。
どうやら、手を上下に揺らしてもらうのが楽しいらしい。身長的には大して変わらないスー君と葵君だけど、やっぱりスー君の方が大分精神年齢は低そうで……。
ん?
キャッキャしながら手を上下に揺らす葵君と、スー君の様子をじーっと見つめていると、急に2人の繋がれた手が、青く光りだした。
ポワポワと淡く青く光るそれは、徐々に強さを増して、葵君の手から腕へ、腕から二の腕へとゆっくりと光の道を伸ばす様に登っていく。
そして、眉間の少し上くらいのところまで登ると、光はそこで止まった。
手からおでこの辺りまでが光の線で繋がった葵君は、すんごく光っているのに、何事も無いかの様に普通にスー君と戯れている。
ゆらゆら煌めく光の線は、ゆっくり明滅しながらも消える事無く葵君の左半分を照らしていた。
もしかして、これが超能力ってやつなのかな?何て誰かに今すぐ聞きたかったんだけど、あまりに真剣な空気を壊すのは流石の僕でも自重しました。
……終わったら絶対聞いてみよう。
あれ?またシエロ変なもの見えてない?と、お思いの事とは思いますが、もう少し後に説明回がありますので、そこまでもうしばらくお待ちくださいませ!!
本日も、此処までお読み頂きましてありがとうございました。
明日もまたこの時間に更新致しますので、また宜しくお願い致します。