八十四話目 誰っっ!?
5月3日の更新です。
本日も宜しくお願い致します
「おはよう!!いやぁ、良い朝だな?日差しが眩し過ぎて、目眩がしそうなくらい良い朝だ!!」
「「誰っっ!?」」
開口一番、ウザ五月蝿い程の爽やかさで朝の挨拶をしてきた男の人に、僕とスー君は思わず突っ込みを入れた。
「お早うございますシエロ殿。ムッ?此方の御仁はどなたですか?」
と、そこへ昨日の夜に情報収集から帰ってきたジェイド君がやって来て、僕を守る様に前へ出た。因みにスー君は僕の後ろに隠れているよ?隠れきれてないけど…。
「え~?誰も俺っちの事知らないの~?」
「存じませんな」
ジェイド君が僕を庇いながら答えてくれる。こんな僕をサッと守ってくれるジェイド君にはすっごくありがたかったんだけど、普通にアジトの中に居る時点で、僕は大体この人が誰なのかと言うのは予測はついていた。
だってさーーー。
「あーー!!??葵ー!!ちょっとあんた何時着いたんだい!??」
「チッス、あすみん!ついさっきやっと着いた。いやぁ~、俺っち、お前らみたいに転移の魔法使えないからさ~、最寄りの街まで来るのにメチャクチャ時間かかったわ~。転移門って超便利だな?」
いつも都合良く現れる人でお馴染みの亜栖実さんが、急に大きな声を出しながら、男の人の背後から襲い掛かった。もとい、背後から背中に飛び乗った。
そんな亜栖実さんの奇行に、【まもる】と呼ばれたその人は驚く事も無く受け止めて、そのまま何事も無かったかの様に亜栖実さんを背に乗せながら話し続けている。
名前が【まもる】だし、髪の毛真っ黒だし、何より平たい顔族だし、身長は宇美彦より低いけど、この、そこはかと無く軽~いノリは、日本人のノリっぽい。
あっ、この人ちょっと天パっぽいかも。プラスチックの黒いカチューシャで前髪を後ろに流しているから気付かなかったけど、後ろ髪が少しクルクルしてる。
……あれ?何でこの人両手に革の手袋なんてしてるんだろう?
「え~?適正はあったんだから頑張ろうよ~。あっ!じゃあさ、隠れ里のどっかに転移門つけちゃえばいいじゃん!」
「はぁ!?簡単に言うなよ~!転移門とか、どんだけお金かかんの?いやいやいや、それ以前に余所者村に近付けらんないっしょ?隠れ里って言ってんじゃん!俺っち、じいちゃんに出禁にされちまうよ?」
……何だろう。この人のノリは、日本人って言うか、男子高校生のノリっぽい。
ギャーギャー騒いでいる様子が、亜栖実さんのせいでよりそんなテンションっぽく見えてしまう。
えっ?亜栖実さんは女子だろって?いやぁ~、あの人も大概ノリが男子だから…。
「えぇ~?じいちゃんって村長さんの事でしょ?あの人僕には何も言わなかったじゃん?寧ろ歓迎してくれたよ?」
「いやいや、俺っちの【家族】は別っしょ?同郷の仲間だし、裕翔の作ったクランのメンバーは俺っちの家族じゃんか」
……こう言う事を真顔で言えちゃうのはズルい人だな。うん。いい人だって事は分かった。
裕翔さんが、出来るなら一緒に魔族領へ行きたいって言ってたのも少し分かる様な気がしてきた。
って言うか、僕ら清々しいくらいに蚊帳の外だなぁ…。展開に着いていけず、スー君もジェイド君もポカンとしながら2人のじゃれあいを見つめている。
そう言う僕も、話しに混ざるタイミングを完全に見失っているんだけど…。
「え~?クランが家族なら良くない?転移門……テレポート装置、仲間に設置してもらえば良いんだよ!そしたら行ったり来たり楽じゃん?」
「はぁ?クランのメンバーにそんな金持ちいねーべ?第一、結局装置取り付ける業者がいるじゃん?」
「か~ね~も~ち~じゃなくて~!!」
「うわっ!?あっ、アスミン!ちょっ!?亜栖実?危ない!俺っちの上で暴れんなってぇ!!?」
と、急に【まもる】さんの背中の上にいる亜栖実さんがゆらゆらと揺れ始めた。
当たり前ながら下の【まもる】さんにとってもたまったものではない。段々バランスを崩していく。
あっ、ヤバそう。あれは転ぶ…。
「お前ら何朝っぱらから騒いでんだよ?」
「あっ、宇美彦!」
宇美彦が亜栖実さんをまもるさんの背中から引き剥がした。
あからさまにまもるさんは助かった。って顔をしていた。
グッジョブ宇美彦ww
濃い人達が増えたせいで、最近シエロの影が薄くなっている気がしますww
本日も、此処までお読み頂きましてありがとうございました。
明日も同じ時間に更新致しますので、またお読み頂ければ嬉しいです☆