六話目 回想①
1月17日の更新です
本日も宜しくお願い致します
「全く。昔から、シエロ君には驚かされてばかりですわ?」
「あはははは」
クレアさんのため息混じりの抗議と、僕の乾いた笑いが混ざりあう。
《カチャッ》
「あら?このお紅茶、香りが良くて、とても飲みやすいですわね」
「お口に合ったのなら良かった。このお店おすすめのハーブティらしいですよ?」
ここは、僕が王都に来た際には良く通っているカフェで【猛禽達の止まり木】というお店。
せっかく6年ぶりの再会だと言うのに、いつまでも路地裏で話し込んでいるってのも味気ないので、僕の行きつけのお店にご招待してみた。と言う訳だ。
このカフェ。
名前は【猛禽達の止まり木】!なんてゴツい名前だけど、繊細で細やかな気遣いがされたスイーツ類はどれも絶品で、てっぺんに飾られた果物達は、まるで宝石の様にキラキラと輝いている。
そんなうっとりする様な美しさのケーキは、スイーツの腕を競う大会で何度も優勝した経験のある、確かな腕を持ったオーナー兼パティシエのルーベンスさんが、毎日丹精込めて作っている逸品達。
元冒険者。と言う異色な経歴を持つルーベンスさんの、筋骨粒々な丸太の様な腕から生み出されるクリームは特に絶品で、いくら僕が猿真似してみたところで、絶対に同じ味に等ならない。いや、作れない。
何故なら、同じ材料を聞いて作ったところで、素人では素材本来の味すら引き出せず、食材を無駄にするだけ。
と言う無駄にハイスペックな材料を使っているから。……うん。流石元冒険者は違うよね?え?感心するポイントが違う?気のせい気のせい。
そして、そんな、子供が泣き出す様なボディとフェイスを持ったおっさんが紡ぎだす、神のスイーツとも言える菓子類が、何とも良心的なお値段で食べられるんだから、僕じゃなくても通いつめるってなもんだ。
内装もシックな感じでゴテゴテしていないから入りやすいし、それでいて、飾ってある小物類はどれも可愛いものが多いから、目の保養にだってなる。
そんな美味しいスイーツを、賑わいつつも落ち着いた雰囲気の店内でゆったり食べられる幸せ…。あ~、今日もケーキが美味い。
そうそう、店の内装が全てルーベンスさんの趣味だって言うのは、ここだけの秘密だぞ☆
「でもシエロ君。何故あの様な格好をなさっていたのです?」
おっと、ついついクリームに夢中になりすぎて、すっかりクレアさんをおいてけぼりにしてた。
「あ~。それにはですね?ふか~い訳がありまして……」
「?」
「!」
「………!?」
僕は、笑顔からみるみるうちに呆れ顔に変わっていくクレアさんの顔を見ながら、卒業してから今までの事を、簡単に話していった。
おかしいな、ケーキ屋の情報しか書いてない…。
こんなところで申し訳ありませんが、明日の更新はお休みさせて頂きます。
1月19日はまた18時に更新させて頂きますので、また宜しくお願い致します__