七十二話目 マグマと大精霊①
4月7日の更新です。
本日も宜しくお願い致します
「あ~、涼しい。生き返る…」
「裕翔さん、これ、よかったら飲んでみて下さい」
マグマから少し離れた場所にあった、大きな黒くて穴だらけの岩に座り、自分で水のベールを纏った裕翔さんは、ホッと一息吐いていた。
裕翔さんの体全体には、魔力で出来た薄皮の様な透明なベールがうっすらと確認出来る。流石の裕翔さんは、ちょっとコツを教えただけですぐに体をコーティングする術を覚えてくれた。
その後ろでは、裕翔さんから顔が見えないのを良いことに亜栖実さんがまだ笑っていて、月島さんは、そんな亜栖実さんを見て呆れている。
そして僕は、と言えば。汗だくになってしまった裕翔さんに、とある新作の飲み物を手渡していたところ。
やっと最近作れる様になった飲み物で、その味は…。
「あっ、ありがとうシエロ君。《ゴクゴク》……おぉっ!?ヤバッ、マジポ○リじゃん!うっま!!」
そう、ポカ○。
清涼飲料水の代表格的なあの飲み物を、僕はもう一度飲みたかったんだ。水瓶座の方でもよかったんだけど、やっぱり最初は○カリだよね?
因みにサ○ダーとコ○ラの方も再現に成功していて、うちのアジトの冷蔵庫には常備されています。
特にコー○の方はうちの腹ぺこ隊長。狼族のアトラが気に入ってしまい、しばしば亜栖実さんと取り合いの喧嘩をしている姿が目撃されている。
さて、今回は一番再現するのに苦労したポ○リだけあって、裕翔さんは気に入ってくれたみたいでうれしい……え?汗かいてるから美味しいだけじゃね?
……それだけは言わないで下さいお願いします。結構大変だったんです。試作品が、ただただしょっぱいだけの水になるとか、味が薄くて不味かったりとか、得体の知れない物体Xが出来上がったりとか、見た目は美味しそうなのに味が恐ろしく違ったりとか、そりゃあもう……え?もう良い?…あっ、…はい。
「ふぅ。一気に飲んじゃった。シエロ君、ご馳走さまでした」
「お粗末さまでした。念の為、と思って持ってきましたけど、正解でしたね?あっ、よかったらお2人も如何ですか?」
「やった!」
「ありがとうございます。では、僕もご相伴に預からせて頂きますね?」
満足そうに笑う裕翔さんを見ながら、後ろの2人にも清涼飲料水を薦めてみる。
亜栖実さんは笑顔を隠さずに、月島さんは、何だか【研究者】みたいな顔つきで、僕からコップを受け取ると、亜栖実さんは裕翔さんと同じく一気に、月島さんは何か1つ1つ確かめる様にコップの中身を飲み出した。
……個性がでるなぁ。
そんな事をボンヤリ考えていたら、
「なんじゃ。外が騒がしいと思うて来てみれば、シエロではないか」
と、背後から声をかけられた。
「ん?うわっ!?」
「しっ、シエロ君!!?」
振り向く間も無く背後から抱き締められた僕を助けようとしてくれたらしき裕翔さんの指が、虚しくも僕の鼻先を掠めるだけに終わる。
「んん?わぷっ!?」
フニャリとした柔らかな感触と共に、いつのまにか体を回れ右されていた僕の視界は、一気に真っ赤に染まった。
やっぱり汗をかいたらポ○リですよねww
本日も此処までお読み頂きまして、ありがとうございました。
明日も18時頃更新致しますので、また宜しくお願い致します