六十九話目 たまには冒険者らしい活動も④
4月3日の更新です。
本日も宜しくお願い致します
余りの衝撃的な光景に、静まり固まるおっちゃん達と僕。
スマートな体捌きで返り血を回避したジェイド君は、固まる僕達の姿を見つけると、満面の笑みを浮かべながら此方へ向けて駆け寄って来た。
「ソラタ兄さん!」
「「「はぁっ!??兄さん?こいつが?」」」
そこで僕を呼ぶ際に使われた敬称が、おっちゃん達の止まっていた時間を動かす事になった訳だが、ちょっと待て。
その呼び方については、僕も聞いてないんですけど!?
『マスター』
おっちゃん達と同じくらい驚いていた僕の頭に、咲良が直接話し掛けてきた。
良かった。これで謎が解けーー
『トカゲが、《やはりどうしてもマスターを呼び捨てになど出来ない!》と喚いたので、兄さんと呼んだら喜ぶよ?と言っておきました。話を合わせて下さい』
うぉい!!元凶お前かよ!?
いや、まぁ?後、原因作りそうなの居ないけれども!もっと何か無かったんかい!?【さん】をつけるだけとかさ?
『面白くありません』
おいコラっ!!
「おっ、おっ、おっ、おい、ソラタ、薔薇姫の兄貴って、どどどどどういう事だ?」
「うぇっ?えっと、えぇっと。そうっ!実はシエロとは同郷でさ?小さい時から一緒に遊んでたんだよ!だから、未だに【兄さん】なんて呼んでるんだ。だから、血は繋がって無くて…。後、おっちゃん。顔が近すぎるんだけど…」
真っ白になった頭ではこんな使い古された設定しか思い付かなかったが、おっちゃん達は何とか誤魔化されてくれた様で…。
「なるほど…」
「マジかよソラタ!うわっ、それ知ったらファンクラブの連中、血の涙流して羨ましがるぜ?」
「金色の薔薇姫が笑うとこなんざ、超が付くほどのレアショットだからな?ソラタ、背後にはくれぐれも気を付けろよ?」
何て、口々に納得していた。
って言うか、ファンクラブって何っっ!?いつの間に出来たんだそんなの!??
スコッチのおっちゃん、そこんとこ詳しく!知らない間に変なもん作られてるとか、恐すぎるんですけど?
「はぁ~。しかしサーペントタイガーを一撃とは、恐れ入ったぜ」
「本当にな?まさかいくら体の自由を奪われているとは言え、手をピッと横に動かしただけだったもんな?」
「金色の薔薇姫に助けられた、何て 酒場で話したら、袋叩きにあう…。」
更におっちゃん達は楽しそうに金色の薔薇姫の話しをしていたけれど、僕はもう半分以上聞いていなかった。
だって袋叩きにあうとか、金色の薔薇姫のファンクラブがどうとか、本人の前で話す事じゃなくない?精神衛生上宜しくなさすぎるでしょ?
だから僕はーー
「えっとさ、サーペントタイガーの毛皮は高く売れた筈だよね?」
「確か銀貨2枚。状態が良ければ3枚~5枚と言ったところだったと記憶しています。肉はどうするんですか?マスター」
「なら、上手くすれば皆で山分け出来るかな?えっ、肉?肉は勿論熟成させてからいただくでしょ?お金にしなきゃいけないなら買い取るくらいの持ち合わせはあるしね?」
ジェイド君が綺麗に血抜きまでしてくれたサーペントタイガーをこの後どうするか。と言う話しを、咲良を巻き込みながら話していた。
自分のファンクラブの話しとか、心底どうでもいいもんね!?って言うか、出来れば聞きたくなかったしね!!
「それでは、肉はキロ辺り幾らくらいになるかが分かれば良いんですか?」
「ん?まぁ、分かるに越した事は無いけど、肉の相場はコロコロ変わるからね?ギルドで査定して貰ってからの方が早いんじゃないかな?」
「なぁ、薔薇姫。あんたソラタとは仲良いのか?」
「ん?あぁ、兄さんには良くしてもらっていますよ?」
「へぇ~。それならあいつの飯は食った事あるかい?あいつの作った飯、どれも美味いよなぁ?」
「えぇ。正に至高の料理でした」
ほんの数メートルしか離れていない僕達は、暫く噛み合わない会話をそれぞれで楽しんだ。
まぁ、お互いが、現実を見てみぬふりをしていた。とも言う。
シエロがまた1人で突っ走った為、少し咲良は怒っていますww
本日も此処までお読み頂きまして、ありがとうございました。
お休みばかりで申し訳無いのですが、明日の更新はお休みさせて頂きます。
ちょっとバタバタしていまして、本当に申し訳も無いことです。
次回の更新は、4月5日の18時を予定しています。
また宜しくお願い致します