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六十五話目 ドラゴンの顔色


3月30日の更新です。

本日も宜しくお願い致します。



◇◆◇◆◇◆


《side:シエロ》


「はっ!?」


 どうやら僕は気絶していたらしい。


 気が付くと、僕は咲良にもたれ掛かる様にして、ジェイド君の背中の上に座っていた。


 何時の間にか、ジェイド君の体には蔓で作られたらしき鞍や手綱みたいなものまでついていて、ちょっといい感じに格好良くなっている。ドラゴンライダーって感じだ。


 更には、後ろへと流れていく景色も先程よりずっと緩やかになっていて、何だか【快適な空の旅】って感じに様変わりしていた。


 下をチラリと見ると、雲では無くて森が見える事から、スピードだけでは無く、高度も大分下がっている事が分かる。


 おー。街道を行く人や馬車がゴミの様だ。なんつって☆


 誰も空なんか見て歩かないだろうし、雲の下とは言えこの高さなら誰も此方には気付かないだろうね?


「ん?マスター気が付きましたか?」


 もぞもぞ動いていたからか、後ろの咲良から声を掛けられた。


『シエロ殿?お気付きになられたのですねっ!?もっ、申し訳も御座いませんでした!!私、シエロ殿を我が背に乗せられた事が嬉しすぎて調子に乗っておりました!!如何なる罰もお受け致します!!ですから、帰れ等とは仰らないで下さいませんかぁああ!?』


 それを受けて、ジェイド君から凄まじい勢いで謝罪を受ける。


 分かった!分かったから空を飛びながら首をブンブン上下に振らないで?そして叫ばないで!?流石に下の人達にバレるから!?


「ぎぃやぁああああああああああああ!」


 バレる以前に、キリモミ旋回し出したジェイド君のせいで、僕は今日一の悲鳴をあげる羽目になったのだった。


 結局、僕が一番五月蝿かった。



ーーーーー

ーーー


「はぁ。今度こそ落ちるかと思った…」


『重ね重ね申し訳も無く…』


 何とか咲良と2人で説得し、ジェイド君を落ち着かせる事に成功。ジェイド君の為にも僕の為にも、一度地面に下りる事になった。地面って偉大だ。本当に偉大だ!



 とまぁ、そんな訳で、僕達は地面に降りた訳なんだけど、此処はシュトアネールの街と王都を繋ぐ街道から少し離れた場所。


 流石に街道に大人のドラゴンがいきなり降り立ったりしたら騒ぎになるので、僕達はジェイド君の体が隠せるであろう森の中にこっそりと降りて、一息吐いていたのです。


「いやいや、僕の方こそあそこまで君が速いとは思わなかったから驚いちゃって…ゴメンね?でもさ、火竜って凄いね?あんなスピードで飛べるんだもん。もう少し歩けば、すぐ王都に着いちゃうよ?」


「いえ。私は…。あぁ、まだ詳しくお話ししておりませんでしたね?私は火竜と風竜の間の子なのですよ」


「え?うん。それは知ってるけど…?」


 僕が呑気に凄いなぁ~と感心していると、ジェイド君からそんな事を言われた。思わず口から疑問の言葉が漏れる。


「何だ【トカゲ】、マスターに仕えたいって奴が、まだ自分の売り込みしてなかったのか?」


『悪かったな?【草】。色々お話ししたい事が多すぎて、ついつい後回しにしてしまっただけだ!』


 ポカンと話しの続きを待っていると、木にもたれ掛かりながら、咲良がニヤニヤと笑った。


 からかう様に、ニヤニヤしながら咲良がジェイド君を【トカゲ】呼ばわりしているけど、ジェイド君はジェイド君で、そんな咲良に怒るでも無く、寧ろ【草】呼ばわりしながら和やかに話しをしている。


 あれ?何時の間に仲良くなったの?


 何だか僕だけおいてけぼりを喰らった様な心持ちにさせられてしまった。


「マスター、トカゲは母親が風竜で、父親が火竜なんだそうですが、こいつは火の方が色濃く受け継いだから火竜を名乗っているだけで、風も上手くコントロール出来るみたいですよ?」


『そうなんです。実はこの様に鱗の色も汚いのも間の子の証なのですが、火の方が色濃く受け継がれたので私の鱗は少し赤が強いのですよ。母様に似れば綺麗な黄緑色だったのですがね?でも、お蔭で両方の能力を受け継ぐ事が出来ました。先程、速く空を飛ぶ事が出来たのは、風竜の力です。火竜では、あそこまで速く飛ぶ事は出来ませんから』


「へぇ~。お父さんとお母さんの両方の能力が使えるって凄いね?それに、僕はジェイド君の鱗の色、暖かくて好きだよ?青いラインも格好良いじゃない?」


「っっっ!?あっ、ありがとうございます…」


 僕にはドラゴンの顔色なんて読めないけど、この時だけはジェイド君の顔が真っ赤になったのが分かった。そんな気がした。


 しかし、風と火の能力を自在に扱えるドラゴンか…。魔族はこの辺りも知っていて、ジェイド君を拐ったのだろうか?だとしたら…。


「マスター、顔が怖いですよ?先ずは、王都に戻ってからにしたらどうです?」


「えっ?あぁ、そうだね…」


 ハッとして顔を上げる。流石にドラゴンと精霊が居る場所を狙う魔物はいないだろうけど、【もしも】はいつだって付き物だから、こんなところで考え事してたら危ないもんね?


 僕は、咲良に謝りつつ、これからの事をもう少し話し合ってから移動する事にした。




こんな話を書いておいて何ですが、私はジェットコースターが死ぬほど苦手です。

怖すぎて、本当に一瞬気が飛んだ事がありますww


本日も此処までお読み頂きまして、ありがとうございました。

明日も18時頃更新させて頂きますので、また宜しくお願い致します。


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