五十六話目 急な帰郷
3月18日の更新です。
本日も宜しくお願い致します。
壊しそうな勢いでギルドの扉を開けて入ってきたのは、僕ん家のお抱え庭師。ドーマさんだった。
彼は汗をダラダラかきながら、ギルドの入り口前の扉で体を支え、息を切らせながら、僕が居ないか!と叫び続けている。
「ドーマさん!ここに居ます!!」
周りの冒険者の人達がでかすぎて僕の声も体もかき消されていたらしい。
3回くらい僕が叫んだ辺りで、やっと周りの冒険者達とドーマさんが気がついてくれた。
「すっ、すいません薔薇姫!!おいっ!薔薇姫をお通ししろよ!邪魔だぞコラ!」
「あっ、わっ、悪いな!悪気は無かったんですぜ?って言うか、シエロさんって言うんですね?」
「すいません。どうぞおっ、お通りくだ、くだ下さい」
「いえ。此方こそすいません。通してくれてありがとうございます。ドーマさん!」
「おぉ、坊っちゃん!そんな所に!良かった、アジトの方へ行ったら、坊っちゃんは此処だとお聞きしたんでさぁ」
退いてくれた冒険者達にお礼を言ってからドーマさんの元へ駆け寄る。
スレ違いになるリスクもある為、いつものドーマさんならアジトで待っている筈だ。
そんなドーマさんがわざわざギルドまで駆け込んで来る理由は何だろう?
まさか、家族の誰かに何かあった!?
「詳しいお話しは道すがら話しまさぁ。先ずは出やしょう」
「うん」
◇◆◇◆◇◆
《side:???》
「良い匂いがしたな?」
「うん。初めて話せたな?」
「お礼まで、言ってもらったぜ?」
「「「笑顔、尊い!!」」」
うん。こいつら、馬鹿だな?
第一、シエロは男だぞ?と説明した奴等がどれだけあそこに混ざってやがるんだよ。
何べん説明しても信じようとしやがらねぇし、あいつも罪作りな面してやがるなぁ?俺だって、未だに面と向かって話す時にはドキッとさせられる事もあるくらいだ。
免疫もくそもねぇ奴等じゃ無理もねぇかもしれないな。
さて、シエロの方も気にはなるが、先ずはこいつらをどうにかしねぇとな?
全く、こう言う時だけはギルドマスター何て役職に就いた事を後悔するぜ。
俺は、ギルドの中に居る奴等阿呆共を見下ろして、深くため息混じりの深呼吸をしてから、デカイ声を出す為に大きく息を吸った。
「やかましいぞてめぇら!用がねぇならさっさと依頼を果たしに行きやがれ!!」
「うわっ!ギルマスがキレたぞ!?」
「やべっ!」
ふぅ。これでちったぁ静かになってくれるだろ。
俺は、慌てた様にギルドの外へと逃げ出して行く冒険者達の姿を見ながら、息を吐いた。
???の人物はギルドマスターでした!
やっぱりギルマスは顔が怖いので、怒鳴られたら蟻の子を散らしたかの様に逃げて行きますねww
本日もここまでお読み下さいまして、ありがとうございました。
明日も同じ時間に更新致しますので、またお読み頂ければ嬉しいです。