五十五話目 ご指名入りま~す
3月17日の更新です。
本日も宜しくお願い致します
「では、魔石が無くなった頃、また来ますね?」
「キヒ、その前に、シャーロットちゃんと遊びにおいでよ?約束だからねぇ?」
「あはは、勿論!また来る時にでも連絡するから」
「あぁ、絶対だからねぇ?」
そんな会話を交わして、僕は学園を後にした。
マンドレイク君の移植が終わった事は、さっき通信用の魔道具を通じてクレアさんには連絡したし、依頼達成のサインはリーマさんのお宅から出て来る時に、予め貰ってある。
だから後はギルドに書類を提出して、事の次第を軽く報告すれば本日のお仕事はおしまいだ。
ふぅ。何か、今日は1日が長かったなぁ。
魔力的にはまだ余裕があるものの、何だかくたびれちゃったよ。
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「はい、確かに依頼の達成を確認致しました。えーと、此方が成功報酬の銀貨5枚です。お疲れ様でした」
「それでは確かに受けとりました。カトレナさん、ありがとうございます」
目の前の窓口のお姉さんにニッコリと微笑む。
「えっ、あうぅ」
免疫?が出来ているいつものお姉さんのフィオーネさんとは違い、今日の窓口のお姉さんことカトレナさんは、すぐ真っ赤になってしまうのが可愛らしい。
紫色のフワフワした髪の毛を揺らしながら真っ赤になるカトレナさんは、とてもイジリがいがあ…ゲフンゲフン。
「なぁ?あそこにいるの薔薇姫じゃね?」
「本当だ!うわっ!俺、今日の事、絶対忘れない!!」
……相変わらずギルドは騒がしいところだなぁ。
今僕はカトレナさんに癒されているんだから、静かにしなさい!
そんな事を心の中で考えながら、カトレナさんから受け取った銀貨をしまう。
依頼人のリーマさんには、マンドレイク君を学園へ運ぶだけなんだから、報酬はいらないって断ったんだけど、《ならば治療代として是非お納めください!》って押しきられてしまったんだ。
まぁ、それにしても金貨2枚は多すぎるので、銀貨5枚だけ受け取って、後はギルド側から返しておいてくださいってお願いしておいた。
これからあのお屋敷で暮らすんだから、何かと物入りになるだろうしね?
僕は何だかんだ人工魔石で稼いでいるので、お金に今のところは困っている訳では無いし、あんまりにも多すぎる報酬を貰っちゃうのは何となく違う気がしたからさ。
「じゃあ、また宜しくお願いします」
「ひゃい!おっ、お待ちしております!」
噛んじゃったカトレナさんに手を振りながら、また野郎共に声を掛けられる前にギルドから出ようとした。その時だった。
《バンッ!!》
「此処に、シエロ・コルト様はいらっしゃいますでしょうか!!」
ギルド内によく響き渡るバリトンボイスの男性が飛び込んで来た。
何だろう?今日は僕、人気あるね?
何て呑気な考えが一瞬頭を過ったけど、男性の声に聞き覚えがあったのと、やけに切羽詰まった声だったのとで、慌てて返事を返す。
「はい!此処にいますが…。あれ?ドーマさん?」
人混みの先に見えたのは、見覚えが有りすぎる顔の傷。
額から唇にかけて縦断する様についた刀傷の様な傷の中年男性がそこには居た。
彼はドーマさん。
コルト家お抱えの庭師兼馬車の御者を担当している、コルト家にかけがえの無い人物の1人である。
次から次へと問題が起こるシエロですwwさて、マンドレイクの次は何が出てくるのでしょうか!
本日もここまでお読み頂きありがとうございました。
明日もこの時間に更新致しますので、また宜しくお願い致します!